「犬」に至る発想からプロットの練っていく過程、そして、制作にいたるまでを作家自身が語ります。
この作品は自分が学生だった当時、『ホラー・ドラコニア少女小説集成』の「ジェローム神父」の表紙および挿絵になっていて、書店でも異彩を放っていて、衝撃を受けたことを覚えています。いわゆる「芸術」っぽいタッチ(
...続きを読む非エロ漫画的)なのに、淫靡な匂いがする。グロテスクで絶望的なシチュエーションのはずなのに、少女の顔は朗らかで陰惨さを感じさせない。なんだろうこれは、としばらくずっと本の前で立ち止まった記憶があります。後年、美術の勉強をするにつれて、彼が日本を代表する現代芸術家の一人であることを知りました。
彼は日本社会を批評的に見る作品を多く制作していて、つまり、この作品もそれと同列に見る必要があります。それは「美少女趣味」であったり「アニメ文化」であったり「ポルノ」であったり「画壇」であったり「美術史」であったりするわけで、そのためにこのSM的なモチーフや日本画という技法が選択されたということです。
それが良いことか悪いことかは置いておいて、会田誠および「犬」シリーズは、現代日本美術史の中に組み込まれる作品なんだな~ってそんなことを思いました。
会田誠も本書の中で、この絵を見て「愛でればいいのか」「眉をひそめればいいのか」分からなくなって立ち止まらせることを意図して制作したと書いてあるが、そういう意味では、当時の自分はまんまと彼の策略にハマってしまっていたということになる。
でも、後半の色ざんげは、長文のはてなブログを読んでるみたいな読後感で、、、うーんとなっちゃった。