ライトノベル - それいゆ文庫作品一覧

  • それいゆ文庫 マダム・ベンゼルクの読書係
    4.8
    ベンゼルク伯爵夫人の読書係になったアマーリエは、夫人から20年前の思い出を聞かされる。それは、彼女と同じくキーガン大学出身で読書係だった女性の数奇な運命についてだった--。 ベンゼルク伯爵夫人の読書係に応募したアマーリエは、通された居間の天井まで届く本棚にぎっしりと詰められた本に見入っている。キーガン大学で文学研究をするアマーリエに、夫人は朗読を所望する。アマーリエが手に取ったのは、ミンレイの『そして彼女は去りゆく』。かつて発禁になったこともある、女性の自立を描いた作品だ。読み終え、夫人から感想を求められたアマーリエが忌憚のない意見を述べると、「あなたほど、はっきりと意見を述べる子は、そうはいなかった」とほがらかに笑う。そして夫人は20年前にアマーリエと同じ意見を述べた読書係の思い出を語りはじめるのだった。同じキーガン大学の出だったその女性は、家の都合で大学を辞めて、子供を持ちながら再び通学し、卒業して、今は公爵夫人となったという――
  • それいゆ文庫 傾国の美姫はステータス変更で素手喧嘩無敗になりました
    4.5
    口では勝てないが、タイマンでは負けない! 絶美の令嬢が強くなりたいと望んだ結果、女神からステータスを変更されて脳筋に? 蜂蜜のように艶やかな髪、大きなエメラルドグリーンの瞳、ふっくらとしたピンクの唇――それでいて、引っ込み思案で自信なげなスカーレットは、異様に男に好かれ、女に嫌われる美貌の乙女。アルスター王国の第二王子で異母兄のアベル殿下からも寵愛を受け、魔法学園の女生徒たちからは嫌味を言われる日々を送っている。今日も、瞳を潤ませるだけで何も言い返せない。落ち込むスカーレットは、学園からの帰り道、神殿で「強くなりたい」と祈りを捧げる。するとどこからか「授けましょう」という女神の声が! かくしてスカーレットは、「傾国の美姫(けいこくのびき)」から「素手喧嘩無敗(すてごろむはい)」にステータス変更された。ミッションは、傾国を阻止すること。手はじめに、不正が蔓延る屋敷を制圧すべく、素手で騎士と戦い、素手で魔法をぶち破る。すっかり脳筋になったスカーレットは、ついには召喚された魔物とも素手喧嘩で対決することに?
  • それいゆ文庫 健やかなる時も、死した後も、花嫁は家具屋を守り続けます
    -
    だめ。わたし、まだまだそっちには行けない! 結婚式を控え事故で急死した加奈子。目を覚ますと、そこは家具屋だった── 加奈子は家具屋で暮らしている。なぜなのかはよくわからない。気がついたらここにいたのだ。19世紀初頭の四柱式ベッド、オーク材のボウフロントナイトテーブル、お気に入りのマホガニー材のヴィクトリアンドレッサーなど、ヨーロッパから買い付けてきたアンティーク家具に囲まれ、加奈子は買い物客と一緒に店を見て回ったり、店員たちの働きぶりを観察したりと、毎日それなりに、気分よく過ごしている。買い付けた家具には、幽霊が憑いてくることも……。ピアノと一緒にやって来たピアニストのアルベリク、15世紀の飾り棚の女中・ヘルガ、黒檀の衣装箱の少女・ミナ。彼らと話をするうちに、加奈子は生きていたころのことを少しずつ思い出していく……
  • それいゆ文庫 箱庭の歳時記 ~この人を、愛そうと、決めた~
    5.0
    父を亡くし、天涯孤独となったいばらを引き取って夫となった扇唯一。だが23歳年上の夫が父の話をする時、いばらの胸は微かに疼く・・・・・・。 大晦日の昼下がり。高校生の扇いばらは、温かなマンションのダイニングであんこ作りに取りかかっていた。ザルに小豆をあけ、さっと水洗いする。手で豆を掻くと、ジャキジャキと小気味好い音が響く。これを雪平鍋に移し、たっぷり水を入れて、ガスコンロの火をつけて煮込む。高校の先輩たちに初詣に誘われたいばらだったが、保護者の同伴なしに深夜に外出するのは駄目だと、夫の唯一に止められた。沸騰してきた鍋を流しに運び、小豆をザルにあけた。いばらにとっては、初めて経験する日本のお正月になるはずで、すべてが新鮮だった。長くイギリスで暮らしてきたいばらは、日本の文化や行事をよく知らない。幼い頃に母と死に別れ、4か月前に父も亡くしたいばらを迎えにきたのが、父の大学の後輩の唯一だった。23歳年上の唯一と結婚して日本で暮らすことになったのだ。玄関の開く音がする。唯一が帰ってきた。「おかえりなさいませ、あなた」。棒読みの挨拶。唯一は「それ、やめなさい」と嫌がるが、いばらは夫婦らしいやりとりというものを試してみるのが好きだった。いばらと唯一、二人は秘密を抱えている――
  • それいゆ文庫 後宮まじない珈琲店 ~新入り妃、猫アタマ皇帝の謎に挑む~
    3.0
    辺境の少女・莉莎が拝謁したのは猫頭の青年皇帝。漆黒の飲み物で帝の心を掴んだ莉莎だが、宮廷に暗躍する邪術との対決が迫る! 辺境から特産品の「珈琲」なるものを売り込みに来た少女・莉莎(リーシャ)。即位したばかりの若き皇帝・思遠(スーユアン)は、商いに熱心だと聞き及んでいる。宮殿の品評会で皇帝のお墨付きがもらえれば、宮廷御用達となり、村おこしだって夢じゃない。さらにその皇帝、猫神を信仰するあまり、猫アタマの被り物をしているとか……。いざ皇帝への拝謁を許された莉莎は、まるで本物の黒猫と見まごうほどの被り物の精巧さに感心するばかり。だが、莉莎が奉った珈琲を試した皇帝は、呻き声を上げると人間の顔に変貌! 莉莎はその場で取り押さえられてしまった。檻から出された莉莎を待っていたのは、なんと皇帝本人!? 聞けば、皇帝は即位後、何者かの術によって猫アタマに変えられてしまっていたという。どうやら、莉莎が淹れた珈琲を飲んだときだけ人間に戻れるらしい。皇帝の秘密を知った莉莎は、秘密を漏らさぬよう、また皇帝にいつでも飲み物を捧げられるよう、後宮入りを命じられる。やがて皇帝以外の宮廷人たちも珈琲に魅せられ、莉莎の桜桃宮は「珈琲店」と呼ばれて繁盛する。が、宮廷に巣食う邪術の使い手が莉莎を狙って動き始めた。
  • それいゆ文庫 あなたの願いを叶えます ~神獣琴子のよきかな成長譚~
    -
    よきかな、よきかな──女子高生・琴子が転生したのは、神獣(鹿)のミコ!? 今日も仲間たちとナラの人々の願いを叶えていく。 トラックに轢かれた琴子。気がつくと、公園のような場所で鹿に囲まれていた。違和感を抱えたまま水たまりに映った自分の姿を覗いてみると……私、鹿になってるーーーーー!!!! 琴子は鹿に転生していたのだった。どうしよう!? え、私、今からどう生きればいいの!? パニックを起こす琴子の前に現れたのは、2頭の若い鹿。彼らに森の中の寂れた神社に案内されて、ここがあなたのお住まいだの、当代のミコ様だの言われたところで、琴子の理解はまるで追いつかない。どうやらミコというのは、この町「ナラ」の神獣である鹿の最高位らしい。そしてその使命は「自然」と対話できる能力を使って、人々を助けること。そこに迷子の捜索願いが舞い込む。琴子たちは鹿たちの協力を仰ぎながら男の子を見つけるべく奔走する。果たして日没前に解決できるのか? ずぼらな琴子がお世話役の日和と葵、守護者の刻夜(ときや)とともに力を合わせて人々の願いを叶えていく──
  • それいゆ文庫 あなたの、そして誰かのお弁当 ~あけぼの町三丁目 みんなのお弁当物語~
    -
    ここは、あけぼの町三丁目。『コウスケの弁当屋』にやって来る人々の、時にあたたかく、時にせつない、お弁当をめぐる物語―― 幼稚園に通いはじめたかわいい息子・つかさのため、毎朝せっせとキャラ弁を作る有純。つかさの喜ぶ顔もさることながら、インスタで『いいね』や賞賛のコメントがつくのも嬉しくて、ますます腕を上げていく。一方、同じクラスの遥斗は、ふりかけごはんとウインナー2本という簡素なお弁当が毎日つづいている。母の縁は表情も少なく、ママ友など友人を持つ様子もない。そんな縁に、担任の里香はやきもきしている。里香は、お弁当ひとつで子どもの心は幸せにもなれば、淋しくもなると考えている。なぜなら、自分自身が母親からお弁当を作ってもらった記憶がないからだ。里香の恋人・雄太はその真逆で、大学生になった今も父が手作りのお弁当を持たせている。そんな雄太ら父子も最近のお気に入りは『コウスケの弁当屋』で……
  • それいゆ文庫 異世界とりかえばや 王女と地味子 王女の入れ替わりは突然に ~王女、スマホを手にする~
    -
    婚約を祝う茶会で、マカロンを喉に詰まらせた王女。目覚めるとそこは豊島区巣鴨なるところ。鏡に映る姿は……これが、わたしか? 婚約を祝う茶会で、マカロンを喉に詰まらせた王女。目覚めるとそこは豊島区巣鴨なるところ。鏡に映る姿は……これが、わたしか? 王太后である厳格な祖母に育てられたレティシアは、自分がひそかに『氷の王女』と呼ばれていることを知っている。婚約を祝う茶会に集まった令嬢たちがよそよそしいのも相変わらずだ。やがて趣向を凝らした演出とともにマカロンが提供され、レティシアはそれを口にすると、喉に違和感が……。息ができず苦しんでいるうちに意識が遠のいていく。目覚めると、そこは見たこともない部屋だった。「ここは、どこだ?」と侍女のビビに尋ねると、これまで聞いたこともない響きを持つ声が『ここは豊島区巣鴨です』と答える。鏡を見れば、髪も瞳も黒く、地味な顔立ちでまるで別人である。『あなたは長谷川環、二十八歳。誕生日は三月九日です』とレティシアに告げたのは、侍女のビビと同じ名前のバーチャルアシスタントだった。やがてビビと会話をするうちに、レティシアはどうやら別世界の『はせがわたまき』と入れ替わってしまったらしいことに気づく。『はせがわたまき』として生きるために、レティシアは日記を読み、配信ドラマでこの世界について学び、ビビに日常を教えてもらいながら街に出て、『はせがわたまき』の転職先で『はせがわたまき』として仕事に就く。だが、つい素が出てしまい……
  • それいゆ文庫  一角瑞獣のいるスコーン店 ~人見知りの店長は神の使いに守られています~
    -
    御厨恵璃、25歳。スコーン店店長。コミュ障系女子。ボディガードは平安系もののけ。額から角が生えている。 恵璃(めぐり)の前に珍しく姿を見せた義兄。結婚報告かと思いきや、これを機に縁を切ろうと言い出した。 さらには、恵璃が営む住宅兼店舗のスコーン店を更地にして売るという。事業に失敗した義兄には、まとまった金が必要だったのだ。 コミュ障気味の恵璃は、誰にも相談できぬまま、新しい住まいと新店の準備もひとりで対応し、『スコーン専門店 クロテッドクリーム』移転の目途も立ってきた。 そして引っ越し前日、恵璃は15年間住んだこの家を目に焼き付けようと、全ての部屋を見て回った。 幼いころから手を合わせた、敷地の片隅にある祠にも別れを告げようと足を向ける。すると、祠の後ろに鍵穴があることに気づく。 もしや、と義父から預かった鍵を差し込んでみたものの、恵璃は過って祠を壊してしまった。 台座の中央に残った小箱だけが無事で、家に持ち帰って開いてみる。そして中の勾玉を手に取ってみると、30歳前後の体の透けた男性が現れたのだった。 いや、でも、まるで平安貴族か陰陽師のようないでたち、しかも額から角が生えている……!?
  • それいゆ文庫 おにぎりはいかがですか? ~越後のほっこりお宿 雪柳旅館へようこそ~
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    優しさを詰め込んだおにぎり、ふんわりと包み込んでくれる越後湯沢の風景。雪柳旅館の出会いは傷つき固くなった心をほぐしていく。 会社を辞めて引きこもっていた朱里は、ひょんなことから新潟の温泉宿「雪柳旅館」へ一人で行くことになった。そこは、大学時代に“意地悪な人”という印象を持っていた先輩・壮真が家族で経営している宿だった。気乗りしないまま旅館を訪ねると、親切な女将に対して、壮真の態度は相変わらず。やはり一人で来るべきではなかったと後悔する朱里だったが、雪柳旅館名物のおにぎりを口にした時、ふいに涙がこぼれた。温泉に浸かり、心が洗われていく感覚を覚えた朱里は、ぶっきらぼうだがなにかと気にかけてくれる壮真の優しさに、はじめて気がついた。宿泊後、気持ちが軽くなり、前向きになった朱里は、壮真から「うちで働かない?」とまさかの誘いを受ける。旅館で働くなど想像もできなかったが、季節がひとつ過ぎた頃、「雪柳旅館」には朱里の姿があった――。移りゆく越後の四季と、やさしさの詰まったおにぎりが、誰もの心をほぐしていく物語。
  • それいゆ文庫 狐格子 ~ためたね流御師 真坂野ゆり~
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    川崎市役所「くら特」所属、祓い屋一族「ためたね流」御師・真坂野ゆりが怪事件に挑む! 新感覚ホラーミステリ開庁。 「しぐさ」に籠められた念を使って祓う「ためたね流」の御師・真坂野ゆり。川崎市役所の「くらし文化特殊支援室」略して「くら特」で特殊案件を担当している主任分析官だ。そこへ入庁2年目の“今時の若者”と揶揄される緒方太一が異動してきた。楽な方に逃げる癖のある太一は、真坂野のパートナーにぴったりなのだという。かくして、太一の「くら特」初公務、「獣憑き」の調査がはじまった。狐面を被ったずぶ濡れの女性が、両手の指を組んだ間――「狐格子」から市民を見つめ息を吹く。すると市民は突然意識を失ってしまう――多摩川周辺で多発する怪事件だ。怪異の痕跡を探す真坂野と、心霊現象が大嫌いな太一が、事件の真相に迫る。そこには悲しい過去の記憶と現実の行方不明事件が交差して……? 凸凹コンビによる新感覚ホラーミステリ開庁。
  • それいゆ文庫 恋じゃなくてもいいですか? ~あなたの隣にいたいだけ~
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    愛とか恋とか結婚願望とか、ぜんっぜんわかんないの。わかんないけど、だからきっとあなたの苦しい気持ちは、わかると思う―― 和風コンセプトバー「養花天」で働く翔太は、容姿の美しさばかりが注目され、自分の本質を見てもらえないことに息苦しさを感じてきた。だが、彼女だけは違った。高校時代、翔太の内面を表現したイラストを描いてくれた同級生の恵津子。卒業して6年経った今でも、あの時の感動は鮮やかに覚えている。一方、古本店でアルバイトをする恵津子は、推しのイラストを描き、SNSにアップして満足する日々を送っていた。そんな二人が偶然再会。またイラストを描いてほしいと頼む翔太と、戸惑いながらも自分のイラストが認められたことが嬉しい恵津子。二人の距離は少しずつ縮まっていき、特別な存在になっていく。でもこれを恋と呼ぶには、少し違うような気がして……。
  • それいゆ文庫 事なかれ主義の地味子でしたが、異世界お江戸に転移して元愛犬の女侍と悪に立ち向かっています
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    あなたは前世というものを信じますか? 異世界で生まれ変わった愛犬ハルと再会した理恵は、かつての自分を取り戻していく―― 愛犬ハルの死をきっかけに、理恵の家庭は崩壊した。正義感の強かった理恵も、今はすっかり内気になり、目立たないよう地味に徹している。そんなある日、亡くなった祖母から禁じられていた、学校の裏山にある社の像に触れてしまった理恵は、気がつけば、道行く者たちは和服姿に獣耳という、江戸らしき街並みに迷い込んでいた。怪しい男たちに捕らわれ、得体のしれない男のもとに売り飛ばされそうになった理恵だったが、何とか逃げ出すことに成功し、匿われた旗本の家でかつての愛犬・ハルを名乗る女侍との再会を果たしていた――
  • それいゆ文庫 蟲毒のルパン、寺の刑事 ~警視庁盗品特別管理課~
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    幼馴染だったはずの千手と響。だが、響は千手を裏切った。やがて成長した二人は、刑事と窃盗団の総帥の息子として対峙する―― 宗教絡みの犯罪の増加に伴い、警視総監の一存で設置された特命課・盗品特別管理課は、警視庁の誰もが認める閑職の部署。配属されたのは、寺の息子の千手のほか、神社の息子、新興宗教の教祖の息子の三人の刑事。発足以来仕事といえる仕事もなく、日々『お茶会』をしながらヒマをつぶしている。そんなある日、千手は幼馴染でもあり一課の刑事でもある健介に声をかけられた。病弱だった千手と、ガキ大将タイプだった健介。見た目も性格も正反対の二人だが、千手が唯一気軽に話せる相手でもあった。軽口をたたき合ううち、健介が一枚の仏像の写真を取りだした。一目でそれを騨拝奥元郷寺の虚空菩薩像と見抜いた千手は、健介から殺された六本木の貿易商のコレクションルームにあったものだと教えられる。なぜそんなところに虚空菩薩像が……? 健介からの情報に違和感を覚えた千手は、さっそく騨拝奥元郷寺に向かった。だが、途中で不良グループに襲われてしまう。失いかけた意識の中で千手は、かつて千手の初めての友達だった響が自分を裏切り、寺の千手観音像をすり替えたことを思い出していた……
  • それいゆ文庫 サラサ木蓮の庭 ~愛しきドラァグクイーンに捧ぐ~
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    「ドラァグクイーンになりたい」「あの人の愛の真相を暴きたい」――シェアハウスで開花する、本当の自分と二つの愛の行方。 大学進学で上京した恭は、祖父亡き後に祖母がはじめたシェアハウスの住人になった。ここには、顔面国宝級の美形にただならぬオーラをまとう慎之介をはじめ、フランス人のリタ、台湾人のチュンメイ、祖母の咲子に、恭を加えた5人が暮らしている。ピンク色のサラサモクレンが咲き誇る自慢の庭で、住人たちはテーブルを囲み、笑顔あふれる生活を送る……一方で、慎之介と咲子には隠された関係があった。 ある日、駅で慎之介を見かけた恭は、思わず後を追う。新宿二丁目の店で恭が見たものは、圧倒的なステージで魅せる慎之介――ドラァグクイーン・マグノリアだった。「自分もドラァグクイーンになりたい」極度の人見知りで内向的な恭が、はじめて強い意志を抱く。 美しいサラサモクレンの下、本当の自分を見つける恭と、慎之介と咲子の交錯する想いが開花していく、胸熱ヒューマンドラマ。
  • それいゆ文庫 世界は明日、滅びました。(きみのせいで)
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    愛が憎悪に相転移する――彼女に告白すると必ず刺し殺される。繰り返し俺を襲う悪夢とデジャ・ヴュにどんな意味が……? 「す、す、す……好きなんだ! 俺と付き合ってください!」 一世一代の告白。彼女が微笑む。なのに、彼女は俺を包丁で刺す。にっこり笑いながら。死んでよ、宇佐美くん。そうすれば終わるから、世界が――。高校生・宇佐美隼人は憧れの上月日実花に告白すると必ず刺し殺されてしまうという、リアルすぎる悪夢に悩まされていた。ゾンビのような徘徊者が近所の公園に現れ、謎の易者に「女難の相が出ている」と告げられ、既視感に次ぐ既視感、隼人の現実は悪夢に侵食されつつある気配。告白を決意した夏休み前日、日実花は実に可愛らしく、買い物デートに誘われていい雰囲気に。だが、またまた刺し殺される悪夢。いや、そもそも悪夢ではなく、これが現実? 夢と現、その境目があいまいになっていく中で、隼人は自分が夏休み前日の半日を何度も何度も繰り返し経験していることに気づくのだった。そしてついに日実花の包丁から逃れた時、「わたしのこと『好き』って言ったら、わたしに刺されて死んでくれないと世界が終わらないよ」という日実花の言葉とともに隼人の周囲の世界が音を立てて変貌していく――
  • それいゆ文庫 憑かれた僕らはワケあり物件に癒されたい ~足立不動産「沈められたファイル」~
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    古びた商店街に店を構える足立不動産は、不思議と客足が絶えることがない。今日もまた一人、悩みを抱えた客が訪れる。 宙が勤める足立不動産の社長が亡くなった。新たに社長に就任したのは、先代の孫でまだ二十代の櫂。葬儀で初めて会った時は笑顔の素敵なイケメンだと思っていたのだが、初七日を終えてからはまるで鬼。お茶汲みと掃除くらいしか取り柄のない宙は、櫂からポンコツ呼ばわりされている。ある日、睡眠障害がひどくて朝起きられないと訴える客がやってきた。カウンセラー運上の紹介だと聞いた櫂が、事務所の奥から持ち出してきたのは……『沈められたファイル』!? げ! 思わず声が出てしまった宙。幸い、客には聞かれなかったようだが、そこに収録されているのは瑕疵物件。櫂は、堂々と心理的瑕疵物件であることを明かしたうえで、客にあるアパートを勧めるのだった――
  • それいゆ文庫 秘密。そして、それから
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    こんなことがバレたら、僕たちは今までのままではいられない、きっと。誰にも言えない秘密を抱える三人の男女の青春模様。 新型コロナウイルスが蔓延しはじめた春。高校三年に進級した吉良は、始業式の日だけ登校したものの、すぐに休校。4月7日に緊急事態宣言が発出されたその夜、いつも帰宅の遅い父親が珍しく早く帰ってきて、久しぶりに家族五人で食卓を囲むことに。明日からリモートワークになるのだそうだ。父に家にいられると級友の利喜の家に遊びにいきづらくなると考えた吉良は、リモートワークについて、つい父にいろいろ尋ねてしまった。食事を終えると、疲れた顔をした父親に仕事の話をするものじゃないと兄から窘められた吉良。だが……父さん、どんな顔をしてたっけ? 父親がどんな顔だったのか、思い出せない。たった今、自分の目の前から去った兄の顔さえも。これまで自分は他人に興味がないだけなのだと思っていた。でもどうやらそうではないらしい。これはもしかしたら何か大変な病気なのかもしれない。オンライン授業も違和感だらけで不安になる。検索サイトで調べてみると、ヒットしたのは「相貌失認」というキーワード――。
  • それいゆ文庫 姫さまはいつも、死体の上に立っている。 ~後宮入りで最強になりました!~
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    なにしろ姫さまは、死体と聞けばなにをおいてもすっ飛んでいくのだから――。変わり者の姫さまと侍女を待ち受けるのは……? 鏘明国の名門貴族の娘・佩琴は、変死体の死因解明が大好きという変わり者の姫さま。死体発見の報を聞けば、なりふりかまわず飛び出していくので、腹心で乳姉妹でもある雪娜は振り回されてばかり。そんなある日、変死体の偽装を佩琴が見破ったことから、二人は事件に巻き込まれていく。次々と見つかる変死体、巡捕官衙(警察署)に現れた美しい青年、不審すぎる状態の死体、そして闇から現れた謎の獣。鍵は後宮にあると見抜いた佩琴は、雪娜を伴って入内を決意。真っ赤な花嫁衣装に身を包んだ佩琴と嫁入り行列一行が宮殿の門をくぐろうとすると、そこにも変死体が! 怪しい帥哥《イケメン》たちや、何やら企む嫣然たる美女、そして謎の獣が入り乱れる伏魔殿で、佩琴と雪娜が大暴れ!!
  • それいゆ文庫 二子玉川ソレイユ ~犯罪一族の王子より愛をこめて~
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    歌舞伎町のホストクラブで翻弄される樹林。世間知らずの朴念仁で御曹司の裕一朗。二人が二子玉川でトラブルに巻き込まれ…… 新宿、歌舞伎町屈指のホストクラブに飛び込んだ樹林は、風変わりな大秀才で御曹司の裕一朗の高級マンションに居候中。犯罪一族に生まれたという過去を振り払い、普通の社会人になるべく奮闘している。だが、客のプライドがぶつかり合うホスト稼業に翻弄されっぱなし。毎晩無理矢理飲まされすぎて意識を失い、原因不明の発疹に悩まされていた樹林を救ったのは、カフェ「二子玉川ソレイユ」の美佐子手作りの有機野菜メニューだった。大都会でやっと居場所が見つかりそうな樹林だったが、その二子玉川ソレイユをめぐって不審な出来事が。同じビルのガールズ・バー軍団がソレイユの営業を妨害。ビルのオーナーはどうやら札付きのワル。ソレイユを閉めようか、と言っていた矢先、大家が血まみれの刺殺死体で発見され、ソレイユのマスターに嫌疑がかかる。普段は浮世離れしている裕一朗が一念発起、ITを駆使して真相に挑む。樹林も犯罪一族譲りの才能を生かして探偵となり、ソレイユを守るため立ち上がる。
  • それいゆ文庫 平安なずな陰陽譚 ~お困り姫を癒す庶民ごはん~
    4.0
    安倍晴明に見出され、なずなと名付けられた少女。陰陽術と野山育ちの創意工夫で華やかな貴族社会に巣食う闇に挑む! 平安京の秩序を司る陰陽道、その権威・安倍晴明は、山中で怨霊と対決し負傷したところを謎の少女に助けられる。野生児だが聡明な少女は「なずな」と名付けられ、晴明に育てられて陰陽師見習となった。初仕事は、橘大納言邸に見え隠れする不吉な影を探ること。緊張の面持ちで向かった大納言の屋敷で、一人娘の桜子姫付女房を命じられたなずな。先輩女房の浄梅に連れられ挨拶に上がる途中、なずなは、湯あみの水が熱すぎるとわめき散らしながら、世話をしていた女房に湯を浴びせ、桶を投げつけようとする桜子姫の姿を目の当たりにする。女房を庇うなずなの頭に桶がぶつかっても、桜子姫は悪びれもしない。浄梅の作った氷菓を、遅いと言って投げ捨てる。噂には聞いていたものの、桜子姫の気性の激しさを目の当たりにしたなずなはげんなり。しかしだからといって、桜子姫に怨霊が取り憑いているというわけでもなさそうである。木登り禁止、虫を摘まんで食べることも禁止、と申し渡されてきた元野生児のなずなが、都人の生活に不自由を感じながら晴明のいう『凶の兆し』を探っていく――
  • それいゆ文庫 僕が僕を取り戻す、幽霊と過ごした6日間
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    ひきこもりの僕が出会ったのは、子どもの幽霊……?“愛される”をはき違えた青年と、“愛される”を知らない幽霊少年の魂の邂逅。 もう嫌だ、ここから抜け出したい――浜岡大輔、大学四年。大学に行く気力が枯渇して就職活動も放棄、現在ひきこもり中だ。そんな僕を見かねたおせっかいな叔母から、貸別荘でのアルバイトを依頼された。都会から原付バイクで三時間もかからない。山の斜面に建つ家はもともとは祖父の別荘で、小学生のころよく遊びにきたなつかしの場所。まずは電波が届かないフリをしてスマホの電源をOFFにした。「無視をしていたら仲間から外されるかも」――そんな不安を抱きながら。 そうして別荘の掃除をしていると、突然、押し入れからカーテンをかぶった子どもが飛び出してきた。「いーちゃ」と名乗るその子は、探検が好きで、トマトが嫌いだ。僕が作ったホットケーキをおいしそうに食べるし、足だってある。でもいーちゃが幽霊なのは間違いなくて……。 ひきこもりの僕が出会ったのは、子どもの幽霊……?“愛される”をはき違えた青年と、“愛される”を知らない幽霊少年の魂の邂逅。心震わす再生と回帰の物語!
  • それいゆ文庫 僕たちの祈りの言葉 ~神職見習い水島華山、千年伝説に挑む~
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    石之守家の者は、56歳になると死ぬ。1000年前に交わしたという「覚書」の謎に、世代を超えた三人が迫る壮大なファンタジー。 石之守家の者は、56歳になると死ぬ。例外なく死ぬ。村の大地主で石之守酒造の社長・石之守清はまもなく56歳になろうとしている。清を助けたいと行動を起こしたのは、代々緑王神社で宮司を務めてきた家の一人息子で、まだ高校生の水島華山と、幼馴染みの長谷川泉子だった。世代を超えた三人の奇妙な友情。神職見習いの華山は祈りを込めて祝詞を上げ、泉子は願掛けをして、何とか清の命を永らえようとしているが、石之守村では1000年前の神との約束がまだ続いている。泉子が時折口にする「太古の記憶」とは? 石田衣良と「裏」名著を味わう文学サロン「もっとも危ない読書会」主催第5回ショートショートコンテスト石田衣良賞受賞作「直葬のオラトリオ」を元に加筆修正した表題作と、三人のその後を描く連作。
  • それいゆ文庫 リトルスターへようこそ ~想いを伝えるキッチンカー~
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    亡き祖父は言った。人は死んだら星になると。でも、なかなかなれない人もいる。そんな幽霊たちがなぜか集まるキッチンカーの物語。 タウン情報誌『かながわモダン』の契約写真家・瑠香は、「うわさのテイクアウト特集」でキッチンカー・リトルスターを取材することに。リトルスターは瑠香にとっても思い出深い洋食店『綺羅星』の直営店で、何度か訪れるうちに二人のイケメンスタッフと親しくなる。愛想のいい拓斗とそっけない柊矢。お互いに軽口を叩き合う様子が微笑ましい。いよいよ写真を撮りはじめると、ファインダー越しに人ならざるものが!? 驚く瑠香に幽霊は憑依してしまうが、霊感が強い柊矢が霊を瑠香の身体から追い出してくれる。拓斗にはまったく見えないらしい。そもそも瑠香だって、霊感があるわけではなかったのに、どうして? 不思議がる三人に、幽霊は十年前の事件の話をはじめるのだった―― 事件や事故に巻き込まれて突然断たれた若い命。幽霊たちは遺してきた恋人たちへの想いを伝えるため、瑠香の身体を借りたいと願い出る。そして瑠香、柊矢、拓斗の三人は、それに協力するのだが……
  • それいゆ文庫 Naked!!!! ~無職になったその日に男性ストリッパーにスカウトされました~
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    脱ぐだけの簡単なお仕事です――てなワケがない。ライブハウス救済に動いた大我がスカウトされたのは、なんと男性ストリッパー!? ライブハウスがなくなる。怪我で楽器が弾けなくなった元ミュージシャンの川瀬大我は、バンド脱退後にライブハウスの経営者の今野から声をかけられ、ブッキングマネージャーとして勤めてきた。その今野が愛し育ててきたライブハウスが、廃業せざるを得ないところまで追い込まれたのだ。理不尽なこと、このうえない。行きどころのない怒りをビルのオーナーに向けた大我は、直談判に乗り込んだ。だが現れた相手は、このビルを一棟まるごと買い取ったというタチの悪そうな相馬という男。大我は交渉相手でもある相馬から、メンズストリッパーとしてスカウトされ…… ひと肌脱ぐつもりがひと肌ではすまなくなった大我と、元アイドルや元アスリートら再起を賭ける男性ストリッパーたちとの切磋琢磨なステージが幕を開ける!
  • それいゆ文庫 花街の萬屋 あやかし奇譚 ~物言う櫛~
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    花街に巣くうは鬼かあやかしか。失せ物、揉めごと、よろずごと。青藍と蘇芳、二人のあやかしにお任せあれ。幻想時代怪異譚、開幕。 帝都を流れる湯埜川の中洲に広がる花街・湯ノ都。絢爛たるにぎわいと色恋のもつれが毎夜くりひろげられる遊郭地帯である。ろうそくからしたたるろうのように、涙と嫉妬、怨みと悲しみが日々流れ、あやかしたちを吸い寄せる。そんな花街を悩ませる揉めごと困りごとを引き受けるのは、あやかしが営む萬屋である。人ならぬ美青年・青藍は、今日も今日とて萬屋に舞い込んだ依頼“物言う櫛”の一件で櫛屋を訪れていた。櫛屋に代々伝わる“物言う櫛”は、それを授かった遊女を花街一の花魁に出世させる魔力を持つという。こともあろうに花魁見習いの雛櫛はそれを自分の客に契りとして与えてしまったのだ。青藍は櫛を回収して不始末を片付けたのだが、せっかく取り戻した伝説の櫛を、少年のような謎の禿・蘇芳が横から「俺に譲ってください」と奪おうとする。一目で蘇芳が人ならぬ者であると見抜いた青藍は、訴えを退けて持ち主である雛櫛へ櫛を戻す。だが、櫛の声を聞いた雛櫛は、櫛があやかしであると訴え、真っ二つに折ってしまう。手放せば、災いを招くかもしれないと囁かれた呪いか否か、雛櫛は盗みを暴かれ、折檻を受けた末に自ら縊り死んだ──ほの暗い行燈の灯りに浮かび上がる幻燈のようなあやしい世界。温泉の河から立ちのぼるのは湯気か、魂魄か。ひそやかな火花を散らすは妖火か、人魂か。廓(くるわ)から離れられない幽霊・夕霧が指した方角に蘇芳が見たのは、枯れ柳にまとわりつく雛櫛の亡霊だった! 妖火、なぞの失せ物、花魁の虚言、そして人を喰らう鬼の噂……つぎつぎと現れる廓の難事。よるべない孤独なあやかし・蘇芳は萬屋見習いとして花街に居場所を見つけられるのか。廓に生きる女たちの涙はむくわれるのか。幻想時代怪異譚、開幕――
  • それいゆ文庫 番町呪物奇譚 ~針供養童子 戀々~
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    呪物と化した九十九本の「針供養」を行う戀々。十二年前の事件を追う泰。二人が出会った時、針女の呪いが解き放たれる―― ふわりふわりと夜の学校を服が歩く。窓の外には漆黒の目をした女が浮かび…… ここは番町、武家屋敷の跡地。警察官の泰(たい)は、今春から番町署地域課の配属となった。同じく警察官だった父を十二年前の不可解な事件で失った彼は、「父の代わりに義母と義妹を守る」と決意を新たにしていた。そんな折、管轄内のバレエ教室で女児が斬り付けられる事件が発生。捜査に乗り出すと、そこにはひとりでに蠢く「青いチュチュ」と、白目のない真っ黒な目をした針女(はりめ)が。その瞬間、天狗のような出で立ちの少年・戀々(れんれん)が姿を現した。仏像を連想させる大男・安針(あんじん)とともに呪物と化した九十九本の「針供養」をし、針女を調伏するという。泰は戀々とともに、試着したまま花嫁が行方不明となった「白いウエディングドレス」や、着れば痩せると噂の「赤いワンピース」などの事件に次々と挑むようになる。やがて、番町で発生する数々の事件と十二年前の事件、さらには戀々の過去……これらすべてが針女の呪いによるものだと突き止めるのだが──過去の因縁と対峙する時、果たしてなにが起こるのか!?
  • それいゆ文庫 BARとこやみ営業中
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    高級BARとこやみのオーナーは、まだ23歳の椿谷紅。弟の蘇芳、その友人・遊心、二人の美形を従え、夜の世界を華麗に渡っていく―― 吉祥寺の片隅にあるミステリアスな高級BARとこやみ。23歳のオーナー・椿谷紅は、今夜も優雅に客席を回遊する。彼女と弟・蘇芳は突然の事故で両親を失い、その遺産でバーを始めた。蘇芳の親友・藤幡遊心、忠実な支配人・早蕨、老練なバーテンダー・糀らに支えられ、とこやみの経営は順調。紅の唯一の欠点は男運がないこと。選ぶ男はすべて駄目男で、付き合う傍から蘇芳と遊心に破局させられるので、いまだまともな恋愛経験がない。ある日元同級生の比村が客として店に現れ、ときめく紅。比村の経営する芸能プロダクションを遊心が探ると、違法なアングラビジネスの気配が。紅に忠告する遊心だが、「私の恋路を邪魔してばかり」と紅は大激怒。いっぽう、昼間は大学でおとなしくしている蘇芳に、同級生が相談事を持ち込んできた。VIP会員権を強引に買わせるクラブがあるのだが、どうやらバックが筋者らしい……。 自由奔放な超絶美形の姉弟たちが、魑魅魍魎の蠢く夜の世界へ華麗に挑戦する!
  • それいゆ文庫 かおる ~二人のあやかし事件簿~
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    あいつの手には渡さない。たとえもう二度と会えなくなったとしても――。二人のかおるが、孤独に巣食うあやかしに立ち向かう! 母と二人だけで暮らす香。大勢の家族や親戚に囲まれて育ってきた薫。環境はまるで違えど、二人は幼いころからずっとともに過ごしてきた。気遣い屋でおとなしい香と、快活で行動的な薫、二人の間には確かな絆があった。しかし香が体験したはじめての身近な「死」をきっかけに、二人の仲を脅かす存在が忍び寄る。突然、香の前に現れた異界の王・ライと名乗る美しい男は「心地いい世界に僕と行こう」と甘くささやき、香の心の隙に付け入ってくる――。薫は香を救うため、「異能の力」を覚醒させる。香をあいつの手に渡すわけにはいかない。たとえもう二度と会えなくなったとしても――。二人のかおるが、孤独に巣食うあやかしに立ち向かう!

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