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複雑性PTSDとは何か
複雑性PTSD(Complex post-traumatic stress disorder;CPTSD)とは,心身への組織的暴力,家庭内暴力や虐待など長期反復的なトラウマ体験の後にしばしば見られる,感情などの調整困難を伴う心的外傷後ストレス障害(PTSD)である。国際疾病分類(ICD-11)において初めてPTSDと区別された診断基準として記載され,診断名として2022年1月1日から正式に発効された。その診断基準は,否定的自己概念,感情の制御困難及び対人関係上の困難といった症状が,脅威感,再体験及び回避といったPTSDの諸症状に加えて認められることとされる。 本書は,『複雑性PTSDの臨床――心的外傷~トラウマの診断力と対応力を高めよう』(金剛出版,2021)の発刊に併せて行われた四人の精神科医による座談会の記録と書き下ろしエッセイを収録したものであり,複雑性PTSDに関する最新の正確な知識・経験を読者に提供しようとするものである。日常臨床への有効なヒントを提供するであろう。 -
治療のための精神分析ノート
「いのちの核はコトバでないものに支えられながら、ヒトの生はコトバによって支配されている」。著者は臨床の現場で、長くこの矛盾を乗り越えることをみずからのテーマとしてきた。コトバを治療の道具とする精神分析の治療の場で、文字言語を絶対的なものとせず、治療者と患者との間の時々刻々の関係性の変化に目をこらすことで、著者は治療の場に立ち上がってくるいのちの営みを掬い上げる。そうすることで、精神分析用語として知られるコトバの真に意味するところ、治療の本質を説いてゆく。精神分析の世界への導きに始まり、先達の教え(=理論)の咀嚼、さらには独自の技法と修練の方法を紹介するなど、半世紀以上にわたる臨床の集大成ともいえる著者、畢生の書。 -
複雑性PTSDの臨床
複雑性PTSD(CPTSD)は,いよいよ国際疾病分類(ICD-11)における公式診断として登場することになり,わが国のトラウマ臨床において、そして一般の臨床においても広く使われることが予想される。 本書は,CPTSDに関する基礎知識から臨床応用までを網羅した,現在数少ない本格的な臨床書である。昨今,日常臨床において,親による心理的・身体的虐待や学校でのいじめ・体罰,各種ハラスメントなど,CPTSDと関連性の深い事態・病態が多く見受けられるが,本書は現場で対応の難しいケースについて治療への有効なヒントを提供することだろう。 さまざまな病態の背後にあるCPTSD,その適切な評価と治療的対応を詳述したわが国初の臨床書。 -
スーパーバイザーの楽屋噺
神田橋條治の代表作の一つに、長年花クリニックで開催されてきた神田橋ゼミの実録『治療のこゝろ』全四十巻(花クリニック神田橋研究会刊行)がある。神田橋の語りの超絶技巧を楽しみながら、心理臨床の真髄を学ぶことができる独創的な名著として世評が高い。本書は『治療のこゝろ 巻三十六』の全Q&Aに原田誠一がコメントを寄せ、更にリコメントを神田橋條治が記したものである。 率直で斬新なコメントとリコメントが加わったことで、(1)神田橋臨床の実際がより広く、深く供覧され、(2)土居健郎、下坂幸三、西園昌久、中井久夫、J.パデルらとの交流の精華が具体的に紹介され、(3)現在の諸学(例:社会システム理論、基礎情報学、感情心理学、神経精神分析)の知見との一致が示されている。こうして『治療のこゝろ』の魅力が倍増し、この上なく実践的で独創的な臨床指導書がここに誕生した。 -
精神療法の基礎と展開
著者は,精神療法の最も重要な因子をロジャーズの中核三条件「受容-無条件の積極的関心,共感的理解,一致」と解し,日常臨床において,認知行動療法(CBT)を適宜活用した効果的心理療法を実施している。本書はその臨床経験に裏打ちされた,このうえもなく実践的な臨床指導書である。 理論編においては,神田橋條治,宮内勝,土居健郎,成田善弘,村瀬嘉代子ら先達の技法論を引用しながら自説を展開し,臨床応用編では,初回面接,見立て,治療のゆきづまりなど具体的場面での対処,さまざまな精神疾患への臨床応用までを詳述している。読者は,これら理論的記述と症例検討をたどることで,自らの心理面接技術を着実に向上させることが出来るであろう。