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精神分析と無
本書は,2023年11月2日に京都でおこなわれた国際シンポジウムの記録を元にしたものである。ビオン研究の第一人者として知られるベルギーの精神分析家ルディ・ヴェルモート氏と日本の精神分析家松木邦裕氏,そして哲学者西平 直氏という三者の貴重な鼎談に,西 見奈子氏,清野百合氏の論考が加わり,さらに充実した内容となった。 そこでは「無」から見た精神分析諸概念の再解釈と実際の治療への応用,そして,独創的な認識論的精神分析から存在論,あるいは超越論と帰納法的アプローチへと転換したビオンの臨床の心髄が明解に論じられる。そして,そこから分析患者のこころの真実を見出す実践的な技法とその哲学的背景についての論考が展開されている。 難解さで知られる「後期ビオンの理論」と宗教・哲学を架橋し,精神分析治療の実践に役立てるための試みといえよう。 -
仏教の歴史 いかにして世界宗教となったか
インドで誕生した仏教は、いかにして世界に広まったか。その鍵は、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教など他の一神教とは異なり、仏教は現地の言語に翻訳されることを積極的に認めたことにある。本書の著者、ジャン・ノエル・ロベール氏によれば、仏教が中国に伝播するのは、同じインド・ヨーロッパ語族のユーラシア西部に伝わるよりもずっと困難だったはずだという。 チベット、モンゴルから中国、朝鮮、さらに日本へ、また、東南アジアやヨーロッパでは全く別の姿を見せながらも「仏教」としてひとつのまとまりを見せる「世界宗教」の変遷と広がりを、フランス屈指の東洋学者が平易に解説する。 なお著者は、日本語、中国語はもちろん、チベット語、サンスクリット語、ラテン語、ギリシャ語など多くの言語に通じ、日本仏教の研究などにより、2021年、第3回日本研究国際賞を受賞している。 チベット文献学の第一人者で、著者と旧知の今枝由郎氏が翻訳し、充実した訳注と解説を付した。巻末には関連年表、索引も完備。著者による「日本語版のための序文」も掲載。 原著=Petite histoire du bouddhisme: Religion, cultures et identites,.Edition J’AI LU, Paris, 2008