あらすじ
「僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた」――マスクで口元を隠すことが当たり前の日常となった近未来。世界流行<パンデミック>前の時代に思いを馳せる夏木とクラスメイトの秦は、ふとしたことから小さな秘密を共有する仲になり……。「新しい日常」の世界を生きる二人の「新しい非日常」の物語が、動き出す!
【※この作品は話売り「ニューノーマル」の単行本版です】
【収録内容】
「ニューノーマル」第1話~第7話
「ニューノーマル」第0.5話 (単行本新規描き下ろし 8ページ)
僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた。
マスクで顔を覆い隠すことは、義務となり、常識となり、そして、文化となった。
僕たちはお互いの顔をまだ知らない。
こんな一文から始まる『ニューノーマル』は、強力なウイルスが人類を襲い、人々の生活様式や価値観が一変したあとの世界が舞台です。
ある日、主人公の秦遥人(はた はると)は、ひょんなことがきっかけでクラスメイトの夏木さんの口を見てしまいます。
そして、その代わりに秦の口も見せてほしいという夏木さんの発言から、二人でこっそり会ってはお互いの口を見せ合う、そんな奇妙な関係が始まります。
この作品の魅力は、その世界観に共感できること、そして自分がもしそこにいたら…、など想像力を掻き立てる描写が散りばめられているところにあります。
ソーシャルディスタンスを守らない生徒に行われる感染予防講習動画を視聴させる特別指導
グラビア雑誌を開いて、鼻と口が薄い布で覆われたお姉さんに興奮する男子生徒
他人のマスクを剥ぎ取る反マスク集団と、それを制圧する防疫隊
こんなシーンに出会うたび、「一歩間違えたらこんな世界になっていたかもな」「こんな世界にならなくてよかったな…」と思わずにはいられません。
また、人と接触することをよしとしない環境で育ってきたからこそ、誰かと一緒に過ごす時間や触れ合いに喜びを感じ、人間関係を深めていく登場人物たちの姿を見ると心がキュッと締め付けられます。
もしかしたら、現実でありえたかもしれない世界のお話。
是非読んでみてください。
感情タグBEST3
希望通り、いい!
単話版の方で無料で4話まで先に読んで、この先どういう展開を見せるのか気になっていた作品。
単行本を見つけ、もう少し先まで読み進めると、希望通りのスケールの大きな話になってきた。
これはいい!
コロナ禍の発展したような近未来の話で、序盤は高校生の甘酸っぱい恋愛話に始まり、「世界の真実を探る」というようなスケールの大きな話へと発展しそう。
絵はきれいであり、発想は新鮮。
細かい設定もきちんと煮詰めてあり、これは大作・秀作と言えるんじゃないかと思う。
近々既刊全てを買って読んでみようと思う。
--追加--
単行本での4巻まで読んでみた。
期待通り、スケールの大きな話になってきて、非常にうれしい。
「当たり前と思っていた世界の真実が実は違う」という作品は他にも例があるが、シンプルな高校生の恋愛ものと両立している作品は珍しい。
タイプとしては、弐瓶勉の世界観に少し似ているような気がする。
あちらほどSFではないが、特殊な環境におけるシリアスさと、甘酸っぱい恋愛ものがミックスしているという点でそう感じる。
ただし、細かい設定のリアリティ感、現実とリンクしているという点では本作の方がよりリアル。
キャラ絵も非常にきれいだし、これは非常に楽しみな作品に出合えたと思う。
最高評価にアップします。
これは…
2020年のコロナ禍が起きた時代を経験したからこそ、一層いろいろと想起させられる内容でした。青春モノとして見ても非常に面白く、現代社会をある種風刺的に描いているところも非常に惹きつけられるものになっていました。
読み応えあり
パンデミック後のマスクが日常の近未来を舞台に、若者の葛藤と恋愛を描いている。
夏木と秦の秘密共有から始まる物語は、現実とフィクションの境界を曖昧にし、読む者に新しい日常の意味を考えさせます。
独特の設定と感情豊かな描写で、共感を呼びつつ社会変化への洞察までをも提供しており、読み応えあり。
タイトル通り
タイトル回収は作品が進んだ後という印象ですが、この作品のタイトルの理由は序盤から出ていて新しいと感じました。
匿名
IFの世界
コロナがまだ収束していないような世界で、皆マスクをつけて生活をしている世界。
マスクを外す事を恥ずかしいと思ったり、AIでマスクの下を予想するアプリが出てきたりとコロナが収束していなければありそうな未来が想像できてとてもおもしろい。
今後に期待が持てそう
コロナ禍での体験を更に軽く超えるパラレルワールド的な世界観
今後の展開がどうなるのか期待が膨らみます
この世界での歯医者はある意味最強か…(笑)
まるでコロナ禍から収束しない別な世界線。人前でマスクを外すのは有り得ない世界。
いつもマスクしてると外す時ってなんだか恥ずかしいのはよくわかります。
個人的にはもうしてないけど。
絵も綺麗でここからどう話が動いていくのか気になります。
タイムリーなSF作品で
実は別途、BookWalkerで単行本は既に最新刊まで揃えていますが、未読のままになっていました。
作品世界はパンデミック下で人口が1/5に減った22世紀のようですが、登場人物の格好等、マスク以外は概ね今の人と一緒ですね。ただ、取り巻く環境が激変していて、マスクを外すことはできず、従って人のプライベートゾーンが今より広がっていますね。
主人公の秦君とその悪友?も、口許をベールで隠した美女の写真を雑誌で見て、とても卑猥だとなっていて、この辺は歳相応のおバカな思春期男子ですね。
ふとした事件がきっかけで秦君、陸上部?の夏木さんとある秘密を共有するようにもなり、徐々に親密な関係になりますね。2人でピクニックに行こう、とか。(あまり上手く行きませんが)
当然ながら現体制に不満を持っていて抗議デモをする勢力と、それを鎮圧する防疫庁側の人間も出てきて……主人公のドローン部には後輩の日向さんも入部し、この娘さんとも秦君はなんだかんだと親密な間柄になり……防疫庁関係者の相良さんも出てきますが、どうやら不法となっている煙草も入手して吸っていたりで、この人物にも色々、裏とかがありそうです。
評判になるのも当然の佳作でしょうね。
美麗
ストーリーが現実の延長線上の設定のため独特でおもしろいし、絵がめっちゃ美麗です。
これはすごく良作になりそうな予感がします。
Posted by ブクログ
コロナウィルス感染症の拡大により、私たちは日常的なマスクの着用が半義務のような暮らしを送るようになった。
この物語はとある感染症が更に猛威を振るい人口が8割減したifの世界。マスクが完全義務化されて十数年が経ち、下に隠された他人の「くち」を見る・見せる事が恥とされるようになった設定の日本社会が舞台。
主人公・秦遥人はある日、片想いの同級生・夏木咲の「くち」を見てしまう。当然動揺する2人だが、夏木さんは自宅にある昔の映画を見慣れていた事もあってか他人の「くち」に元々関心があったようだ。ちょいちょい秦を誘い出し、隠れて「くち」を見せ合うようになっていく。が、あくまで2人の関係は恋人未満の不思議な距離感。
ふわふわした2人の恋の行方は如何に。
…と、ラブコメだけで終わらないのがこの作品。
実は東京がウィルスに深刻に汚染されたという事でぐるりと防壁で封鎖されているのである。閉ざされた壁の向こうの謎、そしてなにやらキナ臭い「防疫隊」の秘密。
これらSF要素も漂う、まるで仮想現実のようなミステリアスな作品に感ぜられた。
私の中の期待感はかなり高まっています。
秦が夏木さんの「くち」を見てしまった時の水道蛇口から水滴が落ちるシーンの回想と、夏木さんが秦の「くち」を見て動揺のあまりすっ転び水溜りに尻餅をついた時につぶやくひと言が妙なエロスを醸し出す。
秦が夏木さんの告白を断るシーンの「だからとか じゃあ…みたいな気持ちじゃ付き合いたくない」というセリフは若干意味不明。
単純に秦の幼稚さ・草食さと、恋敵になりそう?な相良の得体の知れない危険さ・強引さとの対比を描く意図なのかな??
煙草の残り香に揺れる乙女の心…ベタだけどゾワゾワするなあ。
ガンバレ秦くん。夏木ちゃんは良い子だぞ。
1刷
2021.11.3
Posted by ブクログ
マスクが当たり前になった世の中から物語がここまで発展するなんて…!
口を見るだけで、見せるだけでここまでドキドキするなんて思わなかったけど、なんとなくこの気持ち分かる。
コロナ後に出会った人の中にはマスクなしの素顔とか知らない人もいるし、素顔忘れちゃった人もいるし…。気になるあの人の素顔を見たくなるのは恋と同じだよね。
かわい
この未曾有の事態になったおかげでこちらの作品が出来たのなら、少し救われます。ありがとうございます。
私自身、今までを 口はえっちだと思いながら生きてきました。感染拡大によって、更に、なんだか お互いの顔もろくに知らない同士で近くにいることや たまの他人とのご飯の特別さに居心地好く感じていました。
私の中のそれを描いた作品で とても素敵でした。
けれど彼女たちのように 口を見せることが特別なこと …になる前に、収束してほしいです。
もしかしたらの世界
感染症によってマスクが着用が常識から文化に定着した世の中でのある高校生たちの恋を描いた作品。
主人公の少年、秦はマスクをすることが常識的な世界で生活していた。
親がもっと若かったころに猛威を振るった感染症によりマスクをする生活が続きその後の文化として口元を覆い隠すことが常識となったのである。
当然AVなども口元が覆い隠されており、薄い布地の先にうっすらと見える口元も興奮の材料となっているらしい。
ある日秦は同じクラスの女子生徒、夏木の口元をたまたま見てしまう。
その光景が頭から離れない彼は部活にも身が入らない。
そして夏木に声を掛けられる。
彼女もまた自分の口元を見られたことをずっと気にしていたのだった。
自分の口がどうだったか気にしている彼女に綺麗だったと告げる秦。
今度は秦の口を見せてほしいとお願いするのだった。
ずっとマスクが必要になってしまうような世の中は来てほしくないけどIFとして見るにはとてもおもしろい作品だった。
パンデミック後のラブコメ
設定はパンデミック後の世界で、今時っぽいと思う。絵がうまくて繊細で、特に口の描写はエロいです。これはマスクつけるのが普通の時代で口はいかがわしい部位になるという意味かと。
ストーリーは主にラブコメ、胃が痛い展開が好きな人にはおすすめです。あとマスク外すべきかどうかや感染者への差別など価値観に関する深みのある内容も描かれている。
これって
終始マスク必須の世界感で食事時にベールで食べていたので、ずっとベールで居たら良くないの?って思ったり
試しに合本版1巻買っては見たものの、先の展開に進展が無く行き詰まりを感じたので、この巻だけかなと思います
匿名
運動用のファン付きや普通の布地など、マスクが場面に応じて使い分けされているのが、けっこう細かい。本来見せてはならない口を見せるのが恋愛のひとつの要素であるのも感心させられる設定でした。