あらすじ
伝えたい言葉を伝えられないまま、すれ違い続ける秦と夏木。
素直な気持ちを口にできないもどかしさは、互いの距離をますます遠ざけてしまう。
そんな夏木の前に現れた青年・井浦もまた、同じ苦しみを抱えていたーー。
【※この作品は話売り「ニューノーマル」の単行本版です】
【収録内容】
「ニューノーマル」第50話~第56話
単行本描き下ろし 8ページ収録
僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた。
マスクで顔を覆い隠すことは、義務となり、常識となり、そして、文化となった。
僕たちはお互いの顔をまだ知らない。
こんな一文から始まる『ニューノーマル』は、強力なウイルスが人類を襲い、人々の生活様式や価値観が一変したあとの世界が舞台です。
ある日、主人公の秦遥人(はた はると)は、ひょんなことがきっかけでクラスメイトの夏木さんの口を見てしまいます。
そして、その代わりに秦の口も見せてほしいという夏木さんの発言から、二人でこっそり会ってはお互いの口を見せ合う、そんな奇妙な関係が始まります。
この作品の魅力は、その世界観に共感できること、そして自分がもしそこにいたら…、など想像力を掻き立てる描写が散りばめられているところにあります。
ソーシャルディスタンスを守らない生徒に行われる感染予防講習動画を視聴させる特別指導
グラビア雑誌を開いて、鼻と口が薄い布で覆われたお姉さんに興奮する男子生徒
他人のマスクを剥ぎ取る反マスク集団と、それを制圧する防疫隊
こんなシーンに出会うたび、「一歩間違えたらこんな世界になっていたかもな」「こんな世界にならなくてよかったな…」と思わずにはいられません。
また、人と接触することをよしとしない環境で育ってきたからこそ、誰かと一緒に過ごす時間や触れ合いに喜びを感じ、人間関係を深めていく登場人物たちの姿を見ると心がキュッと締め付けられます。
もしかしたら、現実でありえたかもしれない世界のお話。
是非読んでみてください。
感情タグBEST3
匿名
新様式の世界
現実世界はもうだいぶマスクも外れ、
過去のものになりつつあるあの世界が
この物語の中にはまだ続いていて
個々人の事情も見えてしまうから
何倍も悲惨で、かなしくて、切ないです。
それでもきっと生きるのだから
生き物というのはすごいと思う
最近は…
前巻に引き続き、完全な「学園恋愛もの」の内容。
前巻はまだその前のエピソードの余韻が感じられたが、今回はそれもナシの完全ラブコメ。
本作自体、当初からSF要素とラブコメ要素が並立しているのがウリであり、長所でもあったが、ここまでラブコメに振り切るとさすがに…。
次のSF系重い話に向けての幕間ということだろうか。
若干冗長的になりつつあるように感じるのが気になるところ。