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個性豊かな英傑たちのしがらみにふれながら関ヶ原へ至る状況を克明に描き、最後は囚われの身となった三成と家康を対峙させて戦いの意味あいを明らかにしている。より重層的に関ヶ原の戦いを知ることが出来た。
Posted by ブクログ 2023年08月14日
戦百景三作目は関ヶ原の戦い。
石田三成率いる西軍と、徳川家康率いる東軍。いや、西軍総大将は毛利輝元でしょ、と言われそうですが名目上の総大将は置いといて、です。作中も石田三成が主人公の形ですしね。
政治官僚であって、軍人でなかった石田三成。そういうイメージで描かれがちですが今作の三成は一味違う。
政...続きを読む略・戦略ともに家康を追い詰め、薄氷の上を歩かせ続けます。最後の最後まで、小早川秀秋が裏切る寸前まで、どちらに転ぶかわからない状況を作り上げることができた、むしろ西軍優勢の状況を作り上げた三成の手腕が際立ちます。
それでも、大義よりも個人の心情を優先する感覚が理解できないというこれまでの三成のイメージはそのままか。三成自身は、秀吉の遺言を全うするという私心で動いているのだけど、対外的には豊臣政権のためという大義を掲げ、それに追随することが当然という理屈を振り上げたからなのか。
登場する人物像は、他の関ヶ原作品と大きく変わらない中で、作者個人のスパイス効かせた部分が楽しく読めました。それは主役の石田三成によるところが大きいです。