あらすじ
新たな凶漢、現れる!
伏見組・京極の弟分・出雲が刑務所から出所。
「京極のアニキは誰にはめられたのか……?」
疑問を抱いた出雲の陰湿で粘着質な探索がはじまる!
『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平最新作は、ワケアリ者を弁護する悪徳弁護士の物語!!
「ウシジマくん」は闇金を通じて半グレやヤクザなどアウトローを描いた物語でしたが、今作もアウトローな人間が多数出てくる物語です。
主人公・九条間人(くじょう たいざ)は、腕利きの弁護士。
ですが作中の「いい弁護士は性格が悪い。」という言葉とおり、弁護士の姿勢としては受け入れがたい部分があります。
何故なら、思想信条がなく、法律と道徳は分けて考えることをポリシーとしており、道徳上許しがたいことでも依頼者を擁護するのです。
最初のエピソードは、飲酒運転に加えスマホゲームによるよそ見運転で父親と5歳の子供を車で跳ねてしまった事件。
父親は死亡、息子は片足切断という事態に…。
それに対し九条は犯人の男にアルコールを抜いてから出頭し何もしゃべるなと指示を出します。
犯人は指示通り20日間黙秘を貫き証拠不十分で釈放され、裁判でも執行猶予付きで実刑なしという判決を勝ち取るのです。
被害者の立場を考えると胸糞悪いと言える結末です。
弁護士としては加害者よりも被害者を擁護した方がお金になるのに、悪評が付いて回るのも気にせず加害者側を擁護する九条。
お金のためではなく別の信条があることが窺えます。
九条はある意味ダークヒーローと言えるのではないでしょうか。
世の中の話題性のあるテーマを取り上げたり、後味がザリっとするような物語はさすがの一言。
九条の淡々と話しを進める様は、ウシジマくんに通じるところがあります。
連載当初ウシジマくんは客観的視点を持ったキャラクターで事件の中心ではなかったですが、次第に物語の中心となっていきました。
九条も現在は客観的なポジションで事件と関わっていますが、今後その立場がどう変化していくのか気になるところです。
個人的に注目しているのが、烏丸真司(からすま しんじ)という九条の下で働くイソベンと呼ばれる「居候弁護士」です。
烏丸はエリートであり、もっと好条件な環境で働けるにも関わらず、面白いからという理由で九条の下にいるのです。
九条は代わりものですが、烏丸も相当変わり者と言えます。
今後、九条と烏丸がどう物語の主軸になっていくのか楽しみです。
また昨今起きている事件が、この物語で取り扱われるかもしれない…!!という部分でも注目です。
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Posted by ブクログ
この巻では、伏見組の出雲が京極の弟分として出所してくる場面から物語が始まる。出雲は、京極を陥れた人物を追っている。京極は第9巻で逮捕されており、その際には九条弁護士や壬生も共に逮捕された。しかし、壬生は伏見組の弾薬庫を警察に届け出ていたため、九条弁護士とともに早期に釈放されたのである。
出雲は、京極に敵対する三人の人物を殺害し、ペット火葬車を用いて彼らの遺体を灰にし、海に捨てるという行動も描かれる。この任務は、伏見組の久我、百井、曽我部に委ねられる。
出雲は、宇治と会う。出雲は、兄貴分よりも良い車や時計を持つことは望ましくないと告げると、宇治はそれらを差し上げると返答する。出雲は、京極の兄貴に贈り物をしたいと考え、本に関する相談もする。宇治は、司馬遼太郎や菊池寛といった歴史物の本や、『ハンター×ハンター』のような作品を提案する。
刑務所にいる京極の目は、人を殺めた者の目と類似しており、まるでビー玉のように透き通っていて、焦点が合っているのか合っていないのか判別しづらいと表現されている。
出雲は九条弁護士に会いに行き、伏見組の武器庫を警察に密告した壬生の手際の良さを問題視している。
また、百井は薬を販売して月に500万円の収入を得ており、曽我部に対して教育を施している。百井はビジョンボードを作成し、成功者はポジティブ志向であるのに対し、敗者は常に何かに怯えていると語る。佐々木求馬は、久我の車にトラブルを起こし、久我から300万円を請求される。求馬はその金額を百井に頼む。さらに、曽我部は中川さんのもとに入り込み、中川さんは風俗で一日7万円稼ぎ、それを全て求めに貢いだという。
久我は壬生の自動車整備工場を利用しているが、その工場の管理人は九条弁護士である。求馬は曽我部に対して上納金の支払いを命じ、曽我部は困惑を抱いている。
全体として、登場人物の人物像や関係性が複雑であり、多くのキャラクターの絵が似通っているため、注意深く漫画を読む必要がある。登場人物の関係性や役割を把握しづらい部分が散見されるため、集中力を持って読むことが求められる。