あらすじ
やりがいを感じないまま働く.ムダで無意味な仕事が増えていく.人の役に立つ仕事だけど給料が低い――それはすべてブルシット・ジョブ(ルビ:クソどうでもいい仕事)のせいだった! 職場にひそむ精神的暴力や封建制・労働信仰を分析し,ブルシット・ジョブ蔓延のメカニズムを解明.仕事の「価値」を再考し,週一五時間労働の道筋をつける.『負債論』の著者による解放の書.
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Posted by ブクログ
新年度にぴったりの本、かもしれない!
就職や就活を通して「社会人」になる洗礼を受ける私たち。
社会に貢献する、
組織の役に立つ、
どんな仕事も尊い、
そうやって社会に出たときに世界中の働く人が直面する矛盾や葛藤は、
きちんと説明されてこなかった。
だからこそ、多くの共感を読んだんだろうと思います。
本書が出版されたのは2018年、この日本語版も2020年7月、パンデミック発生後に出されています。
著者のブルシットジョブ論が世に広まったのは、2013年のウェブマガジンへの寄稿記事からだそうです。
その後のコロナがさらに彼の議論を現に裏付け、「グレーバー現象」がさらに広まっていったのも納得です。
人類学者でありアナキスト活動家でもある著者は、2011年のウォール街占拠運動や『負債論』執筆もされていた。
そして、この日本語版出版直後、2020年9月に急逝されたそうです。
働く場の状況は、変わったのかな。どうでしょうか。
Posted by ブクログ
読みづらくて大変だった。本書による定義では、ブルシットジョブとは、
「被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態。とはいえ、雇用条件の一環として、本人は、そうでないと取り繕わなければならないように感じている。」とされている。既にしんどい。
その無意味な仕事に対して、なぜか結構なお金が支払われる状況があり、これが働く者の尊厳を傷つけて苦しめるような現象まで起きている。
・・そして、200ページほど事例の列挙と勿体ぶった考察が続く。大幅に端折ると、
・労働はそれ自体が価値という考えが古くからある(労働価値説)。
・そこに資本主義が入ってきた。富の生産者は労働者でなく資本家となった。
地位の源泉は、生産力でなく、購買力(消費力)にとってかわられた。
もはや生産に重要な意味はなくなり、仕事自体に価値が置かれるようになった。
・さらに情報化がやってきて、正味では大量の失業者が生じたが、
(内容がなくても)仕事をすること自体に価値が置かれるようになっていたため、
失業は忌み嫌われ、意味のない仕事が大量に生み出された。
・それがブルシット化を加速した。
・解消は困難であるが、労働と収入を切り離すのは有用だろう。
たとえば、ベーシックインカムみたいに。
そうすれば、計量できないケアリング労働を正当に評価することにもなる。
理解としてはこんな感じ。どこか間違っているかもしれない。
さてこの本の考察をどう思うか?
正直なところ、前半の考察がなくても、ブルシット化現象の成因は情報化の影響だけで大方説明がつくんじゃないかと思う。ただ、それだけでは労働と収入を切り離す方法がなく、ブルシットジョブを解消できそうにない。解決のヒントが欲しい・・というところに考察の前半分が活きてくる。著者も述べている通り、これは問題提起の書であり、解決策を説くものではない。そして、書籍の出版後まもなく、著者は2020年に亡くなっている(訳本は死の直後に出版されたようである)。著者による続編は永遠に得られず、謎かけまでで終わっているのである。
ということで、概要を知るだけならダイジェスト本やコミカライズ版でいいのではないかと思う。