【感想・ネタバレ】ダーウィン事変(2)のレビュー

あらすじ

半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」チャーリーは高校に入学したばかり。
両親は平和な学園生活を送ってくれることを願っていたが、チャーリーは「動物開放」を掲げるテロ集団・ALAに目を付けられてしまう。
ALAはチャーリーを仲間に引き入れようと画策し、周囲の人間からチャーリーが孤立するように動き始める。
一方、チャーリーと仲良くなった同級生のルーシーは、チャーリーを学園生活になじませようと奮闘する。
そしてーー学園を揺るがす「最凶の事件」が起こる。

「テロ」「炎上」「差別」……ヒトが抱える問題に、「ヒト以外」のチャーリーが、ルーシーとともに向き合うヒューマン&ノン・ヒューマンドラマ。

作品集『パンティストッキングのような空の下』が「このマンガがすごい!」2017(宝島社)のオトコ編第4位にランクインし、話題になった漫画家・うめざわしゅんによる連載作品第2巻!

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動物実験などに対し過激な手段をとるテロ組織「動物解放同盟(ALA)」がカリフォルニア州の生物科学研究所を襲撃。
そこにいた動物を解放している中で見つけたのが、出産間近のチンパンジーでした。
運び出されたチンパンジーは無事出産をするのですが、驚くべきことに生まれた嬰児は人間とチンパンジーの交雑種「ヒューマンジー」だったのです。

ヒューマンジーはチャーリーと名付けられ、チンパンジー研究の権威スタイン博士夫婦に引き取られます。
成長したチャーリーは服を着て二足歩行をし言葉を話し、見た目はチンパンジーっぽさがありますが人間と変わらない生活を送っています。
高校に通うことになったチャーリーですが、学校では注目の的で…。

読み始めた最初は、人間を超えた生命体が生まれ人間を脅かす存在になる…といったSFかと思いました。
しかしこの物語はそんな簡単な構造ではありませんでした。

それを最初に感じたシーンが、チャーリーが学校で仲良くなった陰キャの優等生ルーシーとの会話です。
「ヒューマンジーなのってどんな感じ?」
というルーシーからの質問に対し、チャーリーは
「人間なのってどんな感じ?」
と聞き返すのです。

ルーシーは無意識にチャーリーを人間ではない異物と考えて質問をしてしまったのです。
正に「潜在的の差別意識」を比喩したシーンだと思います

また、チャーリーと両親がヴィーガン(動物への搾取と残酷さを排除しようとする考え)である事に対し、スクールメイトがヴィーガンの平等性を揶揄しました。
その際、チャーリーが平等について考えを述べるのですが、人間の考える「平等」とは異なる「平等」でした。
それは人間第一主義からするとゾっとする考えだったのです。

このように、この物語は随所で「差別」と「平等」を考えさせられます。

そんなある日、町で爆発テロが起きます。
犯人はチャーリーの産みの親のチンパンジーを解放したALAでした。
彼らは人間だけを特別視せず、すべての動物の平等を目指し、反する人間に鉄槌をくだすことを知らしめるため、更に過激な手段を選んだのです。
そんなALAは彼らの戦いにチャーリーを巻き込むことを画策します。

「人間だけを特別にする理由はあるの?」と問うチャーリーの平等はALAの目指す平等と近しいような気がします。
しかし、今まで両親としか接してきていなかったチャーリーが色々な人と出会い、多くの人間を観察することでどう変化していくのか…。

最初はSFかと思いきや、中盤はヒューマンドラマ、後半に至ってはサスペンス要素があり、1巻だけでも充実感が凄いです!!
序盤でこんなに面白くて、続きはどうなってしまうのか…。

チャーリーが生まれた意味とは?
ALAの戦争に巻き込まれてしまうのか?
気になることがいっぱいです!

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ネタバレ 無料版購入済み

良いよ。

一巻をたまたま読んで、そのまま読んだ。
続きを読みたいと思わせるストーリーの良さがある。
アメリカの保安官って面倒な人がいるらしいが、それを反映したストーリーになっている。
またヴィーガンとか面倒な人々とそれに反対する人々を上手く使って進めている。
政治家も登場し、大きな展開になるのが容易に想像でき、さらに楽しみは増す感じかな?

#ドキドキハラハラ #深い

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2024年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

警察に収監されるチャーリーだが、動物の法的な権利を認めるために活動しているリナレス下院議員の圧力で釈放される。その目的を遂行しようとするうえで、過激なALAは彼女にとっては目障りな存在だ。

再び高校生活に戻るルーシーとチャーリー。動物の権利を主張する同級生ゲイルが論叢を挑む。

ゲイルはネットでも過激な主張を繰り替えしていたが、そこにALAのファイヤーアーアベントがアクセスして、ゲイルを洗脳。スクールシューティング事件へと誘導する。

特異な身体能力を使って撃たれた生徒たちを次々に救出するチャーリー。警官に囲まれたゲイルを射殺から救ったのもチャーリーだった。

ALA、警察や政治も巻き込んで息詰まる展開。

0
2022年10月31日

ネタバレ 購入済み

ヒューマンジーやルーシーvsA.L.Aのような構図になってくるのかなと思いますが、単純な二項対立では終わらなそうな期待感があります。作者の方のバックグラウンドにも興味が湧く作品だと思います。

#ドキドキハラハラ #ダーク

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2021年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

怖かったカタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ泣けた。


〇養母:チャーリーの法的立場は〝物〟なのよ
〇ヒューマンジーの権利獲得闘争
〇ゲイル 一体どうやれば奴隷主の反感を買わないように奴隷制に反対できるの?
ヒトとヒト以外の動物の間の、、、真に架け橋となれる存在なのに
〇なんでみんなボクをボク以上の何かだと思うのかなぁボクはなんの代弁者でもないただの1匹の動物ただのチャーリーだよ
〇パスカル 力なき正義は無力であり正義なき圧力は圧制だ

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1巻の終わり方が気になっていたけど、すぐになんとかなってホッとしたのもつかの間、
ゲイルの学校乱射事件が発生。ゲイル以外の生徒からすると自分が何故という考えしか出てこない。行動原理はゲイルとは異なるだろうけど、アメリカでは似たような事件が実際に発生していると思えば恐怖でしかない。銃乱射はないまでも日本でも凶器で学校が襲われる事件は発生していて、2巻のような話を見ると、漫画の世界でも、せめて学校はサンクチュアリであってほしいと思ってしまう。

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2023年02月04日

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