【感想・ネタバレ】ダーウィン事変(1)のレビュー

あらすじ

テロ組織「動物解放同盟(ALA)」が生物科学研究所を襲撃した際、妊娠しているメスのチンパンジーが保護された。
彼女から生まれたのは、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」チャーリーだった。
チャーリーは人間の両親のもとで15年育てられ、高校に入学することに。
そこでチャーリーは、頭脳明晰だが「陰キャ」と揶揄されるルーシーと出会う。

「テロ」「炎上」「差別」……ヒトが抱える問題に、「ヒト以外」のチャーリーが、ルーシーとともに向き合うヒューマン&ノン・ヒューマンドラマ。

作品集『パンティストッキングのような空の下』が「このマンガがすごい!」2017(宝島社)のオトコ編第4位にランクインし、話題になった漫画家・うめざわしゅんによる連載作品、開幕!

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動物実験などに対し過激な手段をとるテロ組織「動物解放同盟(ALA)」がカリフォルニア州の生物科学研究所を襲撃。
そこにいた動物を解放している中で見つけたのが、出産間近のチンパンジーでした。
運び出されたチンパンジーは無事出産をするのですが、驚くべきことに生まれた嬰児は人間とチンパンジーの交雑種「ヒューマンジー」だったのです。

ヒューマンジーはチャーリーと名付けられ、チンパンジー研究の権威スタイン博士夫婦に引き取られます。
成長したチャーリーは服を着て二足歩行をし言葉を話し、見た目はチンパンジーっぽさがありますが人間と変わらない生活を送っています。
高校に通うことになったチャーリーですが、学校では注目の的で…。

読み始めた最初は、人間を超えた生命体が生まれ人間を脅かす存在になる…といったSFかと思いました。
しかしこの物語はそんな簡単な構造ではありませんでした。

それを最初に感じたシーンが、チャーリーが学校で仲良くなった陰キャの優等生ルーシーとの会話です。
「ヒューマンジーなのってどんな感じ?」
というルーシーからの質問に対し、チャーリーは
「人間なのってどんな感じ?」
と聞き返すのです。

ルーシーは無意識にチャーリーを人間ではない異物と考えて質問をしてしまったのです。
正に「潜在的の差別意識」を比喩したシーンだと思います

また、チャーリーと両親がヴィーガン(動物への搾取と残酷さを排除しようとする考え)である事に対し、スクールメイトがヴィーガンの平等性を揶揄しました。
その際、チャーリーが平等について考えを述べるのですが、人間の考える「平等」とは異なる「平等」でした。
それは人間第一主義からするとゾっとする考えだったのです。

このように、この物語は随所で「差別」と「平等」を考えさせられます。

そんなある日、町で爆発テロが起きます。
犯人はチャーリーの産みの親のチンパンジーを解放したALAでした。
彼らは人間だけを特別視せず、すべての動物の平等を目指し、反する人間に鉄槌をくだすことを知らしめるため、更に過激な手段を選んだのです。
そんなALAは彼らの戦いにチャーリーを巻き込むことを画策します。

「人間だけを特別にする理由はあるの?」と問うチャーリーの平等はALAの目指す平等と近しいような気がします。
しかし、今まで両親としか接してきていなかったチャーリーが色々な人と出会い、多くの人間を観察することでどう変化していくのか…。

最初はSFかと思いきや、中盤はヒューマンドラマ、後半に至ってはサスペンス要素があり、1巻だけでも充実感が凄いです!!
序盤でこんなに面白くて、続きはどうなってしまうのか…。

チャーリーが生まれた意味とは?
ALAの戦争に巻き込まれてしまうのか?
気になることがいっぱいです!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

〇でも病原菌に感染してるのがたとえ君でも撃ち殺すけど、、、
〇なんで人間だけは殺して食べちゃダメなの?
もしそれが苦痛や死を与えたくないって理由だとしたら神経系を持つ有感生物はみんな当てはまっちゃうしそれとも他に何か人間だけを特別にする理由があるの?
〇養父:パーフェクトな生き方なんてどこにもないけど、よりマシな選択肢ならいつもある。そう思ってるだけだよ
〇ヒトが抱く不安とか恐怖心とか鬱のような心理的な痛みって思ってたよりずっと深刻さや緊急度がたかいんじゃないかって
母さんと父さんとルーシーを襲った君たちは今この時も危害を加えているのと同じってことだよね?

0
2025年11月01日

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深い

人間とチンパンジーの間に生まれたチャーリー。
その唯一無二だからこそ見える世界や、まわりからの反応にリアリティがありました。

#深い #ダーク

0
2023年04月25日

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めちゃ面白い…
個人的にヴィーガンを自称する人にはなんというか、"強制されるだろうから触れない方が吉"といった先入観があった。
この漫画を通して、何が正解なのか、正解を決めるとはどういうことなのかを考えることとなり、ヴィーガンの考え方を少し見つめ直すことができた。
つまり何が言いたいかというと…お友達になりたい!!!

0
2022年09月28日

ネタバレ 無料版購入済み

マンガ大賞になり、気になったので読んでみました。差別や命の平等、重いテーマだけど主役のチャーリーのキャラクター性もありスラスラ読める。組織がチャーリーをどんな風に利用しようとしているのか...今後の展開が気になる。

#ドキドキハラハラ #深い

0
2022年04月04日

AF

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タイトルの意味

研究所で人工的に生み出されたチンパンジーと人間の雑種、ヒューマンジーのチャーリー。特異だけれど人間味のある彼が動物権利団体のテロに巻き込まれて……
タイトルの意味が気になります。
次巻が楽しみです。

0
2021年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

動物の解放をめざしカリフォルニアの生物研究所に突入したALAの一味は、そこで人間とのあいの子を孕んでいるチンパンジーを発見。生まれたヒューマンジー・チャーリーはチンパンジー研究の権威スタイン夫妻に引き取られ育てられた。

ハイスクールに通い始めたチャーリーは、知性も身体能力も高く、周囲から浮いてしまうが、ルーシーという女の子と仲良くなる。

動物解放を目指すALAはステーキ店爆破などの過激な犯行に及ぶ。彼らは自分達の主張を認めさせるためチャーリーを誘拐しようとルーシーに近づき、スタイン家を襲うが、チャーリーに阻まれる。

チャーリーはALA一味のいるホテルに乗り込み、警察への出頭を勧める。彼らはチャーリーと共に警察に向かうが、これはチャーリーを凶悪犯に仕立てるわなだった。

絵柄が綺麗。ストーリーもスマート。舞台がアメリカだが、いかにもハリウッド映画とかにありそうなお話。

0
2022年10月12日

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興味深い内容

動物実験や菜食主義者そしてテロリズムなど社会問題を散りばめている点が興味深く、今までにありそうでなかったストーリーに、どんどん引き込まれます。

0
2020年12月18日

ネタバレ

ストーリーが面白そう。

展開が面白そうです。

1
2022年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

チャーリーがめっちゃを目を惹く。
ヒューマンジーという造語の響きが嫌いではない。

知らない世界の見え方を教えてくれる”コウモリ"
私も知らない世界の見え方を見てみたい。

1巻だけではなんともだけど、
続きが滅茶苦茶気になる終わり方だった。

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2023年01月18日

pi

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命の重さ

生物にとって命はひとつしかなく、その命は何であっても等しい。それが人の共通認識です。
その一方で動物実験やお肉を食べたり、ペットとして動物を飼ったりしています。
人間が優位に立って他の生物の命を刈り取っていると言いかえることができるかもしれません。
この物語ではそのような動物不平等を訴えるヴィーガン組織によるテロの模様を描いた作品です。
人間とチンパンジーのハーフであるヒューマンジーのチャーリー。彼は養子という形でとある夫婦に育てられます。彼は人の言葉を話し、人の世界で生きていますが、考え方がどこか危うく感じられました。
「もし、病原菌を持ったネズミがいたら銃で撃つよ。だって僕が死んじゃうもの。でも、そのネズミが人間だとしても打つよ。」
本格的にテロに巻き込まれるチャーリー。今後の展開はどうなるのか、楽しみです。

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2022年04月27日

ネタバレ 無料版購入済み

う〜ん…

今の所身体能力のすさまじい主人公ってことしか分からんのがなあ…
人間だろうと撃ち殺すってのはつまり正当防衛なんだから周りがあんなに驚くのもよく分からん…
特にアメリカなんて銃社会なんだからむしろ日本よりいざというときは撃つってメンタルあるでしょうに
作者は日本の、それもすごく温厚な家庭に育ったのだろうなと思う

1
2022年04月05日

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