【感想・ネタバレ】中国の歴史7 中国思想と宗教の奔流 宋朝のレビュー

あらすじ

講談社創業100周年企画「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版、第4回配本。この巻では、唐宋変革期から南宋滅亡までを政治史を概観するとともに、思想文化に焦点を合わせて宋代中国を考察する。著者によれば、中国四千年の歴史のなかで、日本人にもっともなじみやすいのは宋代であり、日本の生活習慣や伝統文化の奥底に「宋」は居着いているという。
大唐帝国を揺るがせた安史の乱から200年、五代乱離のあとを承けて宋朝が建てられた。太宗の下、中央集権的官僚国家が確立、科挙制度の改革により広範な階層から科挙官僚が輩出した。文治主義をとったことの功罪はいかなるものだったか。
なかでも、朱子学の公認は宋という王朝を象徴する出来事だったが、それはどのような背景、環境から生まれ、受容されていったのか。その過程と、そこに関わる士大夫たちの精神について詳述する。
北方の異民族王朝に対し絶えず軍事的劣勢にありながらも、後世まで規範となる政治・社会・経済システムを作り上げた宋朝は、文化の華がひときわ咲き誇った時代だった。宋代に起源をもつ文化の新潮流、陶磁、喫茶、書画、文学などにも目を向け、宋代像を描き出す。〔原本:2005年7月、講談社刊〕

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Posted by ブクログ

宋といえば私の中で平清盛の日宋貿易のイメージしかなかったのですがこの本を読んで驚きました。隋や唐と比べて印象が薄い宋ではありますが、中国文化が圧倒的に洗練されたものになったのはこの時代だったのでした。

本書ではそんな唐の歴史とともにその文化面も詳しく見ていくことができます。写真も豊富ですのでその見事な陶磁器の姿も見ることができます。視覚的にイメージできるのでこれはありがたいです。

そして私が最も驚いたのは印刷術の発明によってもたらされた革命的な変化です。「本を読む」という行為が決定的に変容したその瞬間が非常に興味深かったです。

宋時代に印刷術が発達し、知識の意義が大きく変わりました。その変化に仏教も儒教も道教も大きな影響を受けています。その点についてもこの本では見ていくことができます。これは刺激的な読書になりました。

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2024年12月19日

購入済み

価値観が異なる人々の言動

五代十国から宋を扱った歴史書である。現代人の視点から見た経済史や階級闘争、生活史は新鮮で読んでいて楽しい。しかし、当時の為政者や軍人そして庶民はどのように考え、感じ、そして行動したかを記述することはより一層重要である。現代国際政治でも言えることだが「価値観が異なる人々の言動を自分たちの価値観で判断することの危険性」を本書では説いている。
現代の価値観では些細なことと思われる「称号」に、なぜ政治実務をそっちのけにしてまでこだわったのか そこのところを本書はついている。

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2022年02月03日

Posted by ブクログ

思想文化に焦点を合わせて、南北300年における時代の推移を明らかにする内容。特に朱子学に関する記述が豊富で、王安石から新旧対立・道学の展開を経て成立にいたる流れ、後世に与えた影響などは興味深かった。

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2021年04月22日

Posted by ブクログ

現代に伝わる日本の文化の基をつくったといっていい宋朝。歴代王朝最弱の軍隊を持っていたが、周辺の民族や国と交渉で渡り合っていたのは、文治主義の面目躍如ではないか。

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2021年01月26日

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