あらすじ
いよいよ近づいてきた年度末。伽耶は受験を控え、僕らは音楽祭の準備が大詰め。そんな折、華園先生が以前所属していた管弦楽団が人数不足だというので、PNOメンバーはヘルプにかり出される。コンサートはよりにもよってバレンタインデー! メンバー全員からのチョコ総攻撃に僕はもう手一杯。
でも甘い時間はいつまでも続かない。解散の危機に瀕した管弦楽団を救うため、僕は彼らを音楽祭に呼ぶことを決意。最高の演奏をして復活アピールをしなければ!
高まる恋のアンサンブル、超高純度青春ストーリー、第4弾!
感情タグBEST3
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今回はPNOのバンド活動からは少し離れてのエピソードで、ビジュアル系ユニットとアマオケのお話。
相変わらず真琴の才能が恐ろしい、そして合奏とオーケストラに至るまでその魅力を存分に描き切ってくれる杉井先生の力に舌を巻く。
華園先生の存在がどんどん大きくなっていくし、今後の展開も楽しみです。
そういえば、今回は恒例のQRコードはなかった。なにか意味があるのかどうか。
Posted by ブクログ
プロではないとはいえ、オーケストラを音楽祭に呼ぶことを決めたり、自分の曲を音楽祭の演奏に使ったり、真琴の周りを動かす力は凄い。バンドメンバーや伽耶のアプローチに気づいていないのも凄いが 笑
ちなみに、読み終わってから、表紙の真琴の後ろに花園先生がいることに気づいた。花園先生の影響力の大きさが、巻を進むごとにじわじわとくる。
Posted by ブクログ
いやあ、あいかわらず楽しいなあ。
そしてやっぱりグッと来てしまった。
今回は大きく二つのエピソード。
でも両方とも結局音楽を続けるのに何が必要かと言う話だった気がする。
黒川さんはそれをあっち側とこっち側の人間の差だと言うし、マコトは結局は本人次第だと言うけれど、オケのためにその熱を焚き付けようとする様は、実にマコトらしい。
でも、目的を途中で忘れ去ってしまうのも音楽バカの面目躍如、ほんと彼らしいなあ。
あと曲の真相を知った後に読み返すと、彼の言葉のひとつひとつが納得できて、なんとも味わいがある。
クライマックスはもちろんラストのマコトの指揮のオケの演奏のところなのだけど、個人的にはその後の凛子父との会話場面でグッと来てしまった。
華園先生に対する彼の信頼の大きさに。
いやあ、あのね、巻を重ねごとに居ないはずの華園先生の存在感が大きくなる気がする。
今回の話も結局は彼女の残したオケと楽譜を人々の前に蘇らせたいと言うお話なのだし。
やっぱり真のヒロインは華園先生だよなあ。
先生といえば、一巻から登場してるのに、これまでほとんど空気だった小森先生には、今回ちゃんとしたエピソードがあって良かったねと言ってあげたい笑
あの人、指揮科だったのか。
気が弱そうだけど大丈夫だったのだろうか笑
それにしてもマコトの突っ込みスキルは初対面の相手に「なんでも拾ってくれて良いな」と言わしめるとは^^笑った
次巻が既に予定されているのもすごく嬉しい。
彼らの青春をまだまだ見られる事に感謝。
個人的には華園先生が帰ってくるまでは終われないんじゃないかと思う。
きっと。いつか。必ず。
そう思う。
Posted by ブクログ
作曲家が消えたとしても音楽は消えないと云った趣旨が描かれた前巻、続く今巻はならば残り続ける音楽に対して奏でる音楽家や演奏家はいつまで音楽に付き合い続けられるのかと云った趣旨が描かれていたような
この巻において、真琴の人間性を表す言葉として、「人間やめるか音楽やめるか選ばせたらお前は一秒も迷わず人間やめるだろうな」なんて失礼な発言が登場する。他にも「あんたはそっちの国の人なんだよ」なんてぼかしながらも真琴という人間を表した発言も有る
真琴は命の危機に瀕したとしても音楽を続けていそうなイメージが有る。そんな真琴にとって本人の意志ではない理由で音楽の才能があるのに音楽を辞めようとする人間を放置しておけないのかもしれない
音楽の危機に瀕した人々に真琴が関わる事で起きる反響はとても素晴らしいものに仕上がっていたように思えましたよ
黒川と蝶野のエピソードは音楽家で有り続けられる者とそうでない者の物語と言えるか
かつて界隈で一斉を風靡した伝説的ユニットの再結成。今も音楽に当然のように身を浸す蝶野と同じように、黒川もステージに上がれば素晴らしいプレイングを披露できる。二人は同じ音楽や夢を共有できているように見えてしまう。
それでも黒川は音楽を辞めた。あれだけのステージを披露した後に辞めざるを得ない理由を説明した際に蝶野が彼女の勧誘を諦めたのは、黒川の限界に理解を示したのではなく、理解できなくなったから勧誘しなくなったのではないかと思えてしまったよ…
それだけにキョウコの発言は印象的と思えたな。「音楽をやめた人というのは、ただやらなくなっただけだよ」
同時進行する黒川のエピソードからは彼女がこの法則に当て嵌まるとはとてもではないが考えられない。つまり、この「やらなくなっただけ」というのは音楽をやるのが当然のような人達に関する話であり、言ってしまえばこのような発言が出来るキョウコとて“人間よりも音楽を選ぶ”人種であると察せられる
結局、音楽の世界に生きる者にとって夢があるからとか素晴らしい音楽を披露できるとかそういう理由で音楽をやっているわけではないのだろうね。逆に言えば、音楽の世界に生きられない者はどれだけのプレイングを持っていたって音楽を続けられない
音楽の世界に生きる事を当たり前としてしまう真琴にとって、素晴らしい歌声を持つのに住んでいる国が違う黒川の姿は寂しいものに映ったのかもしれない…
後半部はアマチュアオーケストラ『けものみち交響楽団』との関わり
年齢の高い団員ばかりのアマ楽団。前半部で語られた“そっちの国”とはまるで異なる世界に生きていると思える人々。けれど音楽の世界に生きる真琴が尊敬し、真琴が音楽とほぼ同一視しているフシが有る美沙緒が指導した楽団であるのなら、そう単純な存在ではないわけで
自分の音を持つ真琴達を驚愕させる音楽を披露できる『けものみち交響楽団』はいわば本物。立場とか年齢とか関係なく音楽の世界に生きている。そこまで精緻に組み上げられた楽団であるなら、それを一つの楽器であると形容するのは納得の内容
指揮経験のない高校生が選曲をした上で楽団の指揮を執る。普通は尻込みして当たり前の展開。けれど、自分が聴きたい音楽の為に突き進んでしまう真琴は音楽バカな側面が強調されているね
バレンタインコンサートの段階では選曲だけして客席で聴くしか無かった。素晴らしい演奏を「なんでこんな客席の片隅でシートにへばりついて聴いているばかりなんだ」と忸怩たる想いに囚われてしまうのが真琴の真髄。このシーンにこそ黒川が住んでいる国が違うと形容した真理が詰まっているね
真琴は良いと思った、魅了された音楽が眼の前に有るならそれを体感しなければ気が済まない。当然に『けものみち交響楽団』の解散も許容できない
だからこそ真琴は突っ走り始めるわけだ。自分が指揮台に立つのを待たずに楽団が解散してしまうなんて許せないから
そこには冴島俊臣の件が絡んではいる。下手をすれば凛子はバンドを辞めさせられ望んだ進路も選べなかったかも知れない。冴島俊臣に自分達が身を浸す音楽を馬鹿にされた件は真琴にいつもの如く相手を音楽でぶっ飛ばす活力を与えるものに成るね
けれど、最後に明かしたようにそれは建前のようなものになっていくね。真琴は確かに楽団が奏でる音楽を最高峰へと押し上げ最上級の演奏を実現しようとしていた。そこには冴島俊臣に認めさせ、楽団の解散を止めるという目的が有った。けれどいつの間にか目的がすり替わっていくのが手に取るように判るね
『けものみち交響楽団』は美沙緒が残したものであり、きっと残したいものであり。『けものみち交響楽団』には真琴の音楽が活きていてそれを刺激すれば最高の音楽が奏でられると判っている。つまり真琴の中で最高の音楽に身を浸したいという欲が勝ってしまうわけだ
いや、それにしてもとんでもない曲で冴島俊臣をぶっ飛ばそうとしたものだね!まさかの自作曲をクラシックと偽って楽団に演らせるなんて。そのような曲を音楽家にぶつけるだなんて
でも、あれこそが音楽家の武器であり、自分を表現する魂であり、真琴の音楽バカとしての全身全霊なのだろうね。だからこそ冴島俊臣に楽団の価値を理解させられた
それはさておき、続々と真琴とヒロイン達の関係が両親公認みたいな感じになっていく流れにはちょっと笑ってしまう。これ、そろそろ後戻りできないトコまで来てしまっているんじゃなかろうか(笑)
再びの春。伽耶は無事高校に合格し、『けものみち交響楽団』も続く事になった。春の芽吹きと共に喜ばしいニュースが幾つも舞い込んだラスト。こうなると“彼女”の復帰も近いのではないかと期待してしまうが……