【感想・ネタバレ】よみがえる天才8 森鴎外【電子特典付き】のレビュー

あらすじ

医師を家業とする家に生まれ、幼少時から神童と呼ばれた森鷗外。東大医学部に学び、ドイツ留学を経て、陸軍軍医・小説家など多くの分野で膨大かつ質の高い仕事をこなした。複雑怪奇な天才の全体像が今、明らかに。◆電子書籍版 特典◆【電子書籍・共通あとがき】Ver・4 「コロナ時代の海堂尊・2022」(2022年2月 第4版)/【著作解説】電子版あとがき㊸ 『よみがえる天才8 森鷗外』(ちくまプリマー新書)/【関連小文】1 あなたは森鷗外を知っていますか?/付録1 【海堂尊・全著作リスト】(2022年2月 第4版)/付録2 【電子あとがきリスト】(2022年2月)/付録3 【海堂尊・「桜宮サーガ」作品内年代順】(2022年2月 第4版)/付録4 【「桜宮サーガ」年代順リスト】(2022年2月 第4版)/付録5 【「桜宮サーガ」年表】(2022年2月 第4版)/付録6 【「桜宮サーガ」作品相関図】 (2022年2月 第4版)/付録7 【桜宮サーガ構造】(2022年2月 第4版)/付録8 【「海堂ラボ」(PHP新書・全三巻) 登場人物リスト】/付録9 【「関連小文」索引】(2022年2月 第4版)

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Posted by ブクログ

医師にして作家の海堂尊による森鴎外の伝記
ちくまプリマー新書であるが、序章から第7章まで全285ページにわたり、森鴎外の活動を生誕から死亡まで詳細に追っている。
各章の扉に森鴎外の写真をのせ、年表、図表も掲載している。

森鴎外については、今まで関心を持って、鴎外に関する書籍を2,3冊読むなど大まかな経歴を把握しているつもりだったが、今回、ほぼ1年ごとに鴎外の活動を仕事、文学、 そして、私事、家族の観点から1冊にまとめて通読してみると、鴎外の人生の活動量に圧倒される。今まで、鴎外の一部分を表面的にしか捉えていなかったことがよくわかった。
本書の記述は面白いエピソードがあるというよりは、淡々とした事実が積み重ねられていく記述であるが、そこは作者の文章力のおかげで、常に興味を持って最後まで引き付けられた。

鴎外の人生は、軍医総監や、文学博士、小説家としては社会的には成功したが、個人的には、大きな挫折、失敗をしていることを生涯、忘れることはなかったのではと思われた。

鴎外のそもそもの留学の目的が脚気問題の調査であったように、脚気は鴎外にとって軍医としての一大テーマであった。
しかし、しかしその最重要テーマについて、ライバルの北里柴三郎 や海軍などが問題を正確に捉えており、鴎外(及び直接の上司である石黒)は、原因、対策を見誤っていた。そのために何十万人という日本の若い国民を殺してしまった。そのことについて、鴎外は苦悩したのであろうか。
また、エリーゼバイゲルトを見捨てたことも、鴎外にとっては大きな挫折だっただろう。
4年以上に及ぶ ドイツ留学は鴎外の精神性、人としての生き方にただ決定的な影響を与えたように思う。また、鴎外はドイツでの体験を肯定的に 捉えているようだが その後一度も ドイツに赴こうとしなかった。自分の息子などがドイツに留学する際など、鴎外がドイツに行くことのできる機会はあったはずだが、決して一度も ドイツに行こうとしなかったのは舞姫事件の影響が大きいのではないか。

鴎外は早熟な、秀才、優等生だと思っていたが、 ドイツでは陸軍からの命令に従わないなど、若いうちから 自己主張が強く、上司を自分の利益のために動かすことも厭わない、かなり利口主義的な、上昇志向の強い人間だと思われた。
また帰国後も自ら医学雑誌を創刊し、上司の軍医総監などの医学界のトップを苛烈に批判し続けるなど、決して、組織に従順な人間ではなく ドイツ人のように攻撃的で自己主張の強い人間であったようである。

本書により、鴎外の人生について、軍医としての活動から包括的に捉えることができた。

以下は主に印象に残った記述。
P 53
青山胤通
「4期3席の俺は吃音があり自由に不向きと言われ候補から外されかけた。そこで三宅医学部学長に直談判した。囲碁と同様に縁台な構想で布石を打っておくことが重要だ。」

P 93
煤煙の街ライプツィヒで文学の鉱脈に遭遇し、宮廷の街ドレスデンで貴族文化の精華に触れ、青春の街ミュンヘンで演劇、演奏会、絵画鑑賞に耽溺する文化的生活を堪能した。林太郎がドイツで文学に遭遇したのは天命だった。宙ぶらりになった林太郎はやむなくまたも独断でベルリンに行くことにした

P 97
石黒忠悳
門閥と縁がなかった石黒は自らの手で人脈を築いた。手紙を書き、人脈維持にあらゆる努力を費やし情報通になった結果、山県公の友人として遇される。
石黒は人脈と政治力を使い、失脚寸前の土俵際から大逆転を演じたのだ。

P 218
明治44年1月三田文学のカズイスチカで大学卒後に父の医院を手伝った時の経験を書き、臨床家の父を賞賛し、自分のことを「遠いあるものを望み、目の前のことをいい加減に済ませる」と反省している
明治44年3月4月の三田文学「妄想」
「生まれて今日まで自分は何をしているか。始終何者かに鞭打たれ、駆られているように学問ということにあくせくしている」と内省的に書き「日の要求を義務としてそれを果たしていくことができない。足るを知らず永遠なる不平家」と自省の言葉が多く、半年後に陸軍軍医の最高位に昇り詰めるようには思われない。ドッペルゲンガーを望む姿勢は、鴎外文学では本体を抜けてた魂が影となって現れた。

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

森鴎外は臨床に立たなかった医師、政治家ともよく関わった軍医総監であり帝室博物館総長として人生を終えた人物。まさに複雑怪奇な天才だろう。
内容は軍医時代のところに多く割かれているため「作家・森鴎外」より「軍医総監・森林太郎」に興味のある方向け。

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2023年07月31日

Posted by ブクログ

自らも医者であり作家の著者が鴎外の足跡を辿る。
ここでは作家鴎外ではなく、軍医総監の鴎外に焦点を絞り込んでいる。医者としての鴎外って天才とは言えないような気がするけど…。

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2022年07月05日

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