あらすじ
五〇〇年も前に生きたその人は名画を遺し、近代文明の夢を描いた「万能人」と呼ばれる。しかしその素顔は、不遇と失敗に苦しんだ青年だった。一生涯を通じて苦悩しつづけた「天才」のドラマを追う。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
レオナルドの一生涯について、彼が生きた時代の流れに触れながら詳細に語られていて読み応えがあった。
寡作であったから、という点でもそうであるけれど、彼が探究や創作のために捧げ込んだ努力については、わたしたちにとって非常に多く見習うべき部分があるという点で、レオナルドは、美術家の中でも一際その人となりや生涯について学ぶべき人物だな、と思わされた。
著者のレオナルドに対する人物像の評価はかなり好き。
彼を取り巻いた歴史であるルネサンスについてより詳しく学びたくなった。
自身の研究分野についてとても熱意を持っている著者だと文体から感じられたので、この方の著作は色々読んでみたい。
特に、晩年描かれた〈洗礼者ヨハネ〉について語る際に文中で触れられていた『死と復活』『レオナルド・ダ・ヴィンチ 生涯と芸術のすべて』はすごく気になる!
そして、読んでる最中に、この人がちくまプリマーの『西洋美術史入門』を書いた人だと気付いたときは親近感が湧いた。
Posted by ブクログ
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品と人生に向き合うにあたって、信頼できる著作だ。それが新書で読めることに驚く。
時代を生き抜くために、彼は惜しみない努力をしていたのだ。
後代だからこそ、あーだ、こーだと言えるが、作品そのものはもちろんのこと、その人生から得られる教訓は大きい。
Posted by ブクログ
自分が読むには難しかった。詳しく書かれてるからこそかもしれないですが、固有名詞が多く飛び交い読む中で整理するのが大変でした。就寝前に読む本ではなかったです。ただ、色んな絵や写真が載っているので、それに対する理解はしやすいと思います。
Posted by ブクログ
万能の天才と言われるレオナルド・ダ・ヴィンチ。名前の由来はヴィンチ村のレオナルドで、婚外子として生まれ、決して恵まれたとは言えない中で育っていくが、主に絵画を通した人生が詳説されている。
寡作にして遅筆、なぜ絵筆を先に進めないかと問われ、考えている時間にも作品は進行している、という答えに思考の深さが窺える。自然界にはない輪郭線を描かずに、色彩のトーンとグラデーションだけで描くため、スフマートという技法を生み出す。真骨頂が有名なモナ・リザだが、モデルの謎とともに、絵の深みを増している。日本で開催された企画展の入場者数約150万は未だに世界記録として破られていない。巻頭にカラー口絵があり、作品を参照しながら、製作の背景を理解しつつ、歩みを辿れるのがいい。