あらすじ
江戸の珍味が事件を呼ぶ。書下ろし・痛快捕物帖「潜入 味見方同心」シリーズもいよいよラスト! 魚之進が立ち向かう料理と敵とは!
精進料理の店「雲海」から魯明庵が出てきたという目撃情報を仕入れた魚之進。さっそく店の裏手をこっそり探ってみると、精進料理どころか牛の臓物を客に食べさせているらしいことがわかる。怪しい。魚之進は本田や麻次らと雲海を見張ることにする。もし店先で出くわしたらその場で捕縛するつもりなのだ。将軍暗殺を企む魯明庵をここで取り逃がしたら、二度と捕まえる機会は訪れない宵に思われた……。大人気書下ろし時代小説、完結!
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匿名
魚之進が選ぶヒロインは…
江戸時代×食べ物×ミステリーという題材が面白くてずっと追いかけていた味見方同心シリーズついに完結。
1番始めの第一巻で衝撃のラストからの主人公交代という衝撃的な展開からこれは面白いぞ…!!と思って新刊が出るのをいつも楽しみにしていました。
時代小説はあまり読まない方だったのですが、くどさがなくてサラッとした読みやすい文体と
主人公の魚之進を始めとするユーモラスなキャラクターたちの掛け合いが面白く、
また毎回予想もつかないラストで締めくくられるストーリーなど最後まで楽しく読ませて頂きました。
ただ、ごくごく個人的な感想ではありますが「おのぶさんかぁ〜……」というところでほんのちょっとだけモヤモヤが残ります。
(ちなみに私は女です)
おのぶさんがダメ!といいたい訳では決してなくて、文章からイメージするだけでも愛嬌があって威勢のいい
お静さんとは良い意味で真逆の可愛い女の子だったのですが、読んでいた限りでは
魚之進にとってのヒロインはずっっっとお静さんのまま揺るがない印象が強かったこともあり
個人的には波之進と死別した悲しみを分かり合える2人だからこそ傷を舐め合うのではなく
悲しみや辛さを乗り越えてあたたかな思い出に昇華出来るような夫婦になって欲しいなぁと思っていたので、
最後の最後に「いつの間にかおのぶさんの方を好きになっていた」と言われても
え!?そうなの…!?そんな描写あんまりしなかったけど…!?となってしまいモヤモヤした読後感が残ってしまいました。
これであれば前作ラストのように読者の想像に委ねるような感じにしてくれた方が嬉しかったかも…。
シリーズ全体を通してあれだけ長いことお静さんへの想いを引っ張っておいて、最後に2人の会話もなくやや強引におのぶさんにシフトした感じがあってそれだけが残念です。
恋愛が主題の物語ではないのでこの部分でやんや言うのは気が引けますが、魚之進というキャラクターを語る上でお静さんという存在はなくてはならない人だったと思うので。
おのぶさんとも絶対良い夫婦になるだろうし魚之進が幸せになれるならなんでもいいけどね…!!
ごちゃごちゃ書いてしまいましたが、ともあれ完結おめでとうございます。
時代小説に対して勝手に感じていた敷居の高さというか「壁」を払拭してくれた本当に面白い作品でした!
魚之進幸せになれよ…!
Posted by ブクログ
潜入 味見方同心(六)・完結編。
食べ物にまつわる謎や悪事を解決する、南町奉行所味見方同心・月浦魚之進の活躍を描く、連作四話が収録されております。
将軍暗殺計画を阻止する為、捜査を続けてきた魚之進達。
悪事の黒幕・北大路魯明庵こと徳川元春が、“疱瘡”を利用した暗殺を企んでいることを突きとめますが・・・。
“潜入” 味見方同心シリーズも、ついにこの巻で完結との事。
いつものように、市井にはびこる食べ物がらみの悪事を暴きつつ、大奥の八重乃さんや御広敷伊賀者・服部さんたちと連携して、暗殺計画を未然に防ぎその計画に加担していた者達も次々判明していきます。
その流れで、魚之進の元義姉・お静の実家の豆問屋を逆恨みしていた男も無事捕縛。
そして、第四話ではついにラスボス・魯明庵との直接対決です。
かなりの強敵でしたが、魚之進を筆頭とした“味見方メンバー”が一丸となり、見事魯明庵を捕縛できて、あっぱれでした。
そうして迎えたラストでは、魚之進が“あの人”にプロポーズをする場面で終わります。
前(隠密)シリーズも似たような場面で終わっていたのでデジャヴみたいな感覚ではあったのですが、この巻は祝言を挙げている表紙につながるということでよいのですかね?・・だとしたら、“めでたし、めでたし”でございます。
読みやすくて毎回“珍メニュー”で楽しませて頂いた、このシリーズ。
是非とも“サードシーズン”を出して頂きたいと期待しております~。
(その時は、本田さんにも春がくるとよいですね!)