あらすじ
【伊坂幸太郎史上最強のエンタメ小説<殺し屋シリーズ>、『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる待望作!】
<<鳴りやまぬ驚愕と感涙の声!>>
★2020年の年間文庫ランキング4冠達成!
★2018年 本屋大賞 ノミネート作!
★第6回静岡書店大賞(小説部門) 大賞受賞作!
★フタバベストセレクション2017(フタバ図書) 第1位!
最強の殺し屋は――恐妻家。
物騒な奴がまた現れた!
物語の新たな可能性を切り開く、エンタテインメント小説の最高峰!
「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。
一人息子の克巳もあきれるほどだ。
兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。
こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。
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Posted by ブクログ
兜は怖い奥さんを怒らせないよう、何故そこまで気を遣っているのか。
何故、自分の気持ちを押し殺してでも家族の仲の良さを最優先しようとしていたのか。
エピローグを読み終わって、その理由が全てが分かった気がしました。
この先何も良いことがないと信じていた兜に対して、突然あたたかい言葉をかけ光を照らしてくれた、かつての奥さん。
そんな女性と出会ってしまったら、愛しい子供が生まれてきてくれたら、何が何でも家族を守りたいと思えるのだろう。
途中、克己から「親父は人生をやり直せるとしたら、おふくろとは結婚しないでしょ」と尋ねられたあとの兜の返答にじんわりと涙が出てきました。
また読み返そう。
絶対絶命の大ピンチをいかにして切り抜けるか
とてもヒヤヒヤしながら読み進めていましたが、
期待を上回る展開に大満足の一冊でした…!
殺し屋である主人公の血生臭い話と、
不器用な家族愛を楽しみながら一気に読めました。
泣ける
殺し屋シリーズではマリアビートルに次いで好きな作品。ボウガンの仕掛けで10年越しに息子を守る兜、本当に心強いお父さん。前作、前々作の見知った名前がちょこちょこ出てくるのも嬉しい。他の殺し屋シリーズでも登場人物はポンポン死ぬけど、この作品はそうじゃないからこそ死が重い、泣ける。
Posted by ブクログ
ケタ外れの恐妻家で
凄腕の殺し屋、兜が主人公。
いつも妻の機嫌にビクビクしていて
大事な息子にも呆れられるほど。
その様子がなんともおかしくて愛らしい。
家庭が大事なのでなんとか裏稼業から抜けたいのになかなかできず、
でも依頼はスマートに着々とこなしてしまう。
そんな兜のことが大好きだと思って読んでいたら
あっさりビルから飛んだ。
あまりにショックで悲しくて
続きを読むのに一晩寝かせてしまったほど。
なんで飛んだの?
その理由がわかる後半
妻と息子の心の傷の深さに感涙
一矢報いるラストに感動。
そして妻との出会いのエピソード。
殺し屋シリーズでほっこりすることがあるなんて。。
「マリアビートル」が最高!と思っていたけれど
こちらも最高だった。
タイトルからは想像できなかったけれど、家族の、愛の、話。
兜の恐妻家ぶりには、ほんともう(笑)。本人は真剣なんだろうけど。
裏の仕事では一流のプロの殺し屋。でも仕事で危険な目に合うよりも、奥さんの機嫌を損ねることが怖い(笑)。
2重3重にシチュエーションを想定した、奥さんに対するこれでもかという気遣い、いかに家庭を平和に保とうとするか、その涙ぐましい努力(本人は努力だとは思ってなさそう)がほんと笑えました。
後半の息子視点になってから、さらに引き込まれて行って、泣けました。
一番家族が大事で、全ては家族のために。
久々に良い本に出逢えてよかったな~。
Posted by ブクログ
家庭では妻のご機嫌ばかりとって、息子を溺愛している兜は有能な殺し屋。
「グラスホッパー」「マリアビートル」に続く殺し屋シリーズ
今回は登場人物はそんなに多くなくほとんど兜の場面。ちょこちょこ死んだりしますが、殺しの場面メインというより家庭での兜の場面だったり、殺し屋の顔と家庭の顔がじっくり楽しめる話でした。
人間味があって悲哀も描写されて、それでいて伊坂さんならではのユーモアある場面がたくさんで面白かった。
章を追うごとに兜の印鑑がだんだん斜めになっていって最後には印鑑が掠れていく。
兜の死を表しているかのようだった。
Posted by ブクログ
「そういえば読んでる途中でそのまま行方不明になっていた…」本です。
たまたま読みたかった新しい本が出て、そのままになってしまっていました。
主人公の行く末には衝撃を受けましたが、家族を守るために選択した結末は少しほんわかしました。
殺し屋が主人公の話なのでシリアスなシーンが多いのか?と思いましたが、所々ユーモアのあるシーンもありつつのめり込んでしまいました。
シリーズ作らしいので、他の作品も見てみようと思います。
蟷螂の斧
Posted by ブクログ
蜂退治のシーンでは、まるで宇宙にでも行くかのように着込んでいた。
敵は蜂
プロの殺し屋が命がけで挑んでいるのだから、笑わずにはいられない。
蜂にすら全力投球なのだから、そりゃ人間相手にも手を抜かないだろう。
兜という男は、仕事では冷静沈着、家庭では右往左往。
殺し屋としての顔は「カッコいい」の一言なのに、家では「情けない」という言葉が似合う。
そのギャップが笑えるけど、笑ったあとに少し切なくもなる。
なにせ、その情けなさが妻には伝わっていないのだから。
「フェアに生きる」という信念は、まるで口癖みたいに響いてくる。
世の中はフェアじゃない場面ばかりだけど、じゃあどうするか?
彼はそこで拗ねたりせず、知恵を絞って打開策を見つける。
蜂の退治に宇宙服を選ぶくらいだ、試行錯誤はお手のものだ。
映画になったら、絶対に深夜のショッピングモールのシーンと最後の場面は入れてほしい。
そこに彼の“笑えるのに目頭が熱くなる”矛盾が、全部つまっているから
不思議な家族愛
なんとも不思議な家族愛を感じて、人間とは如何に多様なものかと思わざるを得ませんでした。
登場人物のキャラクターづくりが見事ですね。
蟷螂の斧というキーワードがじわーっと心に染みました。
最後の数ページがあれって感じ。どなたか意味合いを教えてください。