あらすじ
故郷でのおぞましい体験から逃れるように、黒江は憧れのカメラマンが住む東京へ向かった。師匠の家に住み込みながらアシスタントとして一歩を踏み出すが、不意によみがえる過去の記憶。それは、再び心を通わせはじめた初恋の相手・彌生との関係にも、暗い影を落とし出す――。
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Posted by ブクログ
上巻は本当に切なくて苦しくて、なんで?と思うところもたくさんあった。なんで、なんでそんなに不幸の匂いがする方にばかりいくの?と。
下巻で黒江がなぜそんな生き方しかできないのかが明かされていきますが、ほとんどは上巻と同じような思いで読んでいました(笑)
ただ、上巻(地元)と違うのは仁さんがいるということとやりたかったことに突き進んでいること。
その2点が黒江を支えていたと思う。
どんなにダメな方向に進んでも、見守り支えてくれる。
ただそこにいてくれる、在るということ。
現代の宗教の問題にも問いかけるような物語。
正直上巻を読んでいる時は最後に泣かされるとは思っていませんでした。弥生くんはやっぱり神様だったかも。
最後は切なくて苦しくてむず痒い想いを、明るく溶かしてくれました。
Posted by ブクログ
「救い」がテーマの物語。
わたしにとっての救いは、島本理生さんの描く物語です。
男性から向けられる欲望に傷付けられるけど、救ってくれるのもまた男性なんだよね。
だから彌生くんと結ばれてほしかったと思ってしまった。
でも旅立った黒江はきっと成功して、自信を積み重ねて、自分で自分を救えるようになるんだろうなあ。希望を持てる終わり方に励まされた。私も頑張らなきゃ。
Posted by ブクログ
聞けないことは、聞いてはいけないことか、聞きたくないことのどちらかだ。いつだって。
時間が経って、ようやく見えてくる事実がある。世界は一つじゃなくて、分かっていると思っていたことはただの思い込みだった。
Posted by ブクログ
上巻は、主人公黒江の行動にハラハラさせられた。
「その人に着いて行ってはダメ」、「どうしてそんな風に考えるの?」そう黒江に聞きたくなってばっかりだった。
しかし、10代の私だったらこんな行動に出たかもと思う場面も多々あった。
不器用だから、彌生くんに対しても伝えたいことを伝えられない。
黒江本人は、彌生くんに伝えなくても、言葉にしなくても私の神様なんだから分かって、って思ってたのかもしれない。
下巻で、出てくる、仁さんには私自身も読みながら救われた。
黒江を突き放しはせず、でも、全面的に保護はしない。
それでも、黒江が傷ついている時はそっとそばにいる。
そんな黒江と仁さんの関係性がとても羨ましかった。
「この小説は読み手を選ぶ」まさにその通りだ。
黒江が脈絡のない行動に出るので、共感の差は読み手の経験にとても左右される小説だと思った。
Posted by ブクログ
こういう、救いのない本に私は救われる。
どこかで絶望を抱えたまま生きてる人もいて、
助けてほしいと思いつつも助けてもらえない
私を許してくれる、私だけの神様が欲しい
Posted by ブクログ
自分の過去と闘った経験のある人の琴線には絶対に触れると思う。
好きな小説です。ただ、主人公の黒江の仁さんに対する気持ちの揺れだけあまり感じ取れなかった。