【感想・ネタバレ】クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣いのレビュー

「西尾維新」の原点がここに。
メフィスト賞受賞作である「クビキリサイクル」から始まる「戯言シリーズ」。ミステリーという分類ながら、「物語」シリーズに通ずる超常っぷりもある、変格に近い作品群。
主人公・いーちゃんは冴えない大学生。友人に天才技師・玖渚友や人類最強・哀川潤を持つものの、本人は至って普通(だと思っている)。
シリーズを全部レビューすると長くなってしまうので割愛しますが、まずは「クビキリサイクル」を。
いーちゃんの一人称で語られる、孤島で起こった事件とその結末を是非お確かめください。

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Posted by ブクログ 2021年06月01日

以下は課題の書評用に書いたもの。

「してやられた!」と思うことは、どういう人にも何回かはあるだろう。イタズラ、サプライズ、エトセトラ。しかし本好きとなると普通の人よりも「してやられる」ことが多いだろう。
もちろん私もその一人であり、ついさっき「してやられた」。
驚異的な速筆で知られ、今もっとも活躍...続きを読むするクリエイターの一人と謳われる西尾維新。デビューシリーズである「クビキリサイクル」を第一作とする戯言シリーズは十九年前に刊行され、第二十三回メフィスト賞を受賞した文芸雑誌『メフィスト』上の座談会では何回も話題になった上での受賞だった。宝島社「このライトノベルがすごい! 2006」では作品部門第1位を獲得した。
ジャンルとしてはミステリーにあたる。舞台は孤島の豪勢な屋敷で起きた密室殺人。しかし中身の最初から三分の一は専門的な用語が連なり、一体いつまで待たせるつもりなのかと首を伸ばしてしまう。超常現象、電子工学、心理と心情、エトセトラ。
ホログラフィックメモリーやらマザーボードやら、知らない単語を調べつつ読み、主人公が孤島に来て四日目。ついに事件が幕を開けた。
いや、実際には、物語は主人公が孤島での生活がようやく三日目の朝を迎えたところから始まる。
主人公は天才技術屋の玖渚友(くなぎさとも)に電話一本で「孤島について来てほしい」という願いの元、大学に通っているのにもかかわらず玖渚友の意思で本土を出て孤島にきた。
孤島には玖渚友を含めた五人の天才がいた。天才画家の伊吹かなみ。天才料理人の佐代野弥生。天才七愚人の園山赤音。天才占術師の姫菜真姫。
彼女らは皆、孤島・烏の濡れ羽島の主人である赤神イリヤに招待されやってきた。
天才が招待されたのは、端的に言えば赤神イリヤの退屈しのぎのためだ。とある事情で孤島から出られない彼女は、暇つぶしに天才を招待した。
天才を招待したから事件が起きたのか。天才を招待しなければ事件が起きなかったのか。否、ある人物が望んだ目的を達成させるために全てを手のひらの上で踊らせ、主役である自分もまた踊り、そして退場した。
物語の冒頭から殺人が起こるまでの三分の一は専門的な話ばかりであるが、最初から読者は気にも止めない伏線があちらこちらに張ってあった。
主人公が探偵役として事件を解決して、しかし、この物語の本番は後日談から始まる。
私は安心しきっていた。ストーリーがねちっこく、丁寧で、ゆっくりと進んでいくストーリーが嫌いで、ミステリーが好きなくせに、結局今回も我慢できずに先に犯人を知ってしまった。知ってしまったが故に、後日談なんかあってもなくても同じようだと思いきや、いっぱい食わされてしまった。手のひらで踊らされたのは読者である私だった。
少しの違和感はあった。しかし文字の膨大さに埋もれ忘れてしまった記憶。
事件解決後に全てのピースが集まり、そうしてようやく最後の最後に、主人も我々読者も面食らったような、いっぱい食わされたと知る。
いい作品に出会うのは割と簡単だが、「してやられる」作品はそうそうない。もし、作品でそういう思いをした事がない人がいるのならば。ぜひ、今一度この本を読むことをおすすめする。

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Posted by ブクログ 2019年03月31日

 曰く「天才」を発見するには「凡人」の観客が必要とされる。私はこの作品の観客になり得ただろうか。伊吹かなみ、園山赤音、姫菜真姫、佐代野弥生、哀川潤。そして、玖渚友。紛れもなく、月並みに「天才」としか思えなかったけれど。
 地震とペンキの川の因果の誤りから、アリバイと共犯。首切り死体の再利用(無限ホテ...続きを読むルのパラドックスみたいな)、入れ替わりに次ぐ入れ替わり(入れ替わりそうな三つ子が入れ替わらなくて)、何が本当で何が嘘で。二転三転して楽しめた。
 解決の糸口であるところの違和感の提示が、語り部と私を犯人に踊らされる結果を招いて、名探偵が完膚なきまでに草の一本も残さず綺麗に回収してくれた。
 冒頭一文目「他人を自覚的に意識的に踏み台にできる人間ってのは、なかなかどうして怖いものがあるよな」というのは、高さの密室のことも言っているのだろうか。個人的にはちりばめられた戯言よりも文字通りの「戯言」が、読む上で少し気になってしまった。

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Posted by ブクログ 2023年08月19日

西尾維新は化物語アニメを見たくらいでした。
なんとなく化物語的な長いセリフ回しの連続、を身構えていました。
が、そこまででもなく、
癖がそこまで強く無かったのは良い意味で意外でした。(デビュー作だから?)

ミステリとしてもちゃんとしていたので、
普通にミステリとしてオススメですね。

首無し死体の...続きを読むセオリーは絶対的なんですかね。
最近、ミステリを深掘りして読んでいますが、
首無しは必ず入れ替わり、ですね。

今回は、更に踏み台としての登りやすさ、
と言う目的もあったのですが。

若干ではあるが、キャラクターが、何というか「記号的」であり、「こう言うのが良いでしょ」感を感じる。
それ故、動機を聞いても怖さを感じなかった。
後日談で、急にポッと出が解決する部分も然り。
天才の「天才である部分」を、「常識人から逸脱している点、以上終わり。」で深掘りしないと言うか、何と言うか。
この辺が、好き嫌い分かれそう。

西尾維新とは?のイメージ有無で評価変わりそう。

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Posted by ブクログ 2021年05月04日

西尾維新さんの著作ははじめて読みました。

独特の言い回しが面白い。読んだだけで彼の著作だとわかりそうな文体で、はじめての感覚です。
ストーリー自体はクローズドサークルでの殺人事件。ありきたりといえばありきたり。
事件解決を読んでもそう思っていましたが……エピローグでぞくっとしました。

面白かった...続きを読むです。続編も読みたい。

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Posted by ブクログ 2021年04月06日

この本は「ラノベだ」と言う人もいるようで、少し抵抗があったが、読んでみるとミステリーとしてもしっかりしていてとても良かった。
ペンキのトリックは簡単すぎるように感じだが、死体の再利用、そして入れ替わりは見事だった。
キャラクターも魅力的だし、文書も面白い。
読み終えたからこそ感じられることだが、『ク...続きを読むビキリサイクル』というタイトルも面白い。

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Posted by ブクログ 2018年04月22日

やっぱり好き。
人物設定も会話も。
私の想像のあの方は、こんな性格じゃなかったわ!

人間はそうそう入れ替われないと思うし、入れ替えが実のメインなのはなんかチート。

ただ、そういう抽象的な話がイイネ!

「君が間違っている事を除けば、概ね正解だ」

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Posted by ブクログ 2023年12月15日

ついに戯言シリーズに手を出してしまった。
なんか特殊能力系なのかなと思ってたがそうじゃなくて戯言を言うだけだった。
主人公と周りの天才が入り乱れる話で、これは離島で殺人事件が起こる話だった。ミステリ。
次も読もうっと

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Posted by ブクログ 2022年04月05日

2002年。第23回。
孤島もの。大金持ち一族から勘当された娘が住む孤島。お金にものをいわせ、世界の天才を集めたり。
そこに招かれたのは青い髪の友(♀)、友人のいーちゃん(♂)、どちらも未成年。
孤島で起きる首切り殺人事件。
言い回しやテンポが良い。死体や人の入れ替わりも。いーちゃんが解決してしまっ...続きを読むたのだが、最後に出てきた探偵もまぁ味があるw
背表紙。いーちゃんは、なんで友の首だけ持ってるんだろw

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