あらすじ
村人が次々喰い殺され、闇夜に少女が連れ去られた――犯人は人か、それとも狼か?
〈牙の森〉の謎を追いドイツへ向かった〈怪物事件専門の探偵〉真打津軽たち、鳥籠使い一行が遭遇したのは、人狼にまつわる怪事件だった。犯人は人か、それとも狼か?
怪物たち〈夜宴〉と保険機構〈ロイズ〉も介入し、やがて舞台は人狼の隠れ里へ。満月の夜が戦乱を呼び、二つの村がぶつかり合おうとしたそのとき、輪堂鴉夜の謎解きが始まる。ミステリと冒険が入り乱れる予測不能の笑劇(ファルス)、第三弾!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
3作目も面白すぎました……
キャラクター達が動き喋る映像が頭の中にありありと浮かぶ…!!
アニメも観てみたくなりました…!
そして、ルパンとファントムに出会ったノラのその後の活躍に期待!
Posted by ブクログ
犯人の動機が単なる復讐ではなく、意外性があって良かった。しかし、雨で匂いが薄れるとはいえ、嗅覚に優れる人狼たちが、人間の遺体を人狼のものと勘違いするのは無理があると思った。三つ巴の乱戦は、みんなキャラも立ってて見応えがあったが、ジャックやロイズの上位エージェントが不在のため役者が小粒な感じ。津軽とヴィクターの共闘は良かった。カーミラは能力の底が見えたし今回で退場でもよかったような。
人狼にジキルと、登場人物は増える一方で、退場するのはロイズのエージェントばかり。ジャックもさらに強化されたら手がつけられなくなるし、広げた風呂敷をこれからどう畳んでいくのか楽しみ。気になるのは津軽のセリフ『あの人、本当にお弟子さんですか?』。ジャックがいずれモリアーティに背くことを示唆しているのか?
Posted by ブクログ
鴉夜が津軽に唾液を与えるシーンがもうさあ...どこが医療行為だよ?そもそも容器に移してやり取りするもんだと思ってたよ⁈アニメ第一話でがっつり裏切られましたけど。
静句さんも以外と情熱的な人だったんですね。こりゃ鴉夜に体があった頃は絶対致してたね。
Posted by ブクログ
人間の村と人狼の村で起こる二つの事件の謎解き。
今回もアクションあり、怪物ならではのミステリ要素ありで読み応えありました。
夜宴とロイズも絡んで来ると一筋縄ではいかない利害関係があって良い。
部長も気になる。
ルイーゼの両親も医者も娘が入れ替わったことに気付かないのは、設定として難しいと思う。
Posted by ブクログ
文庫書下ろしの「アンデッドガール・マーダーファルス」の第3弾。1作目は、本格ミステリテイストが強く、2作目は多数のキャラクターがうごめく群像劇で、アクション物のテイストだった。3作目は、1作目に回帰し、本格ミステリ要素が発揮された作品となっている。
人狼を恐れる人間の村ホイレンドルフと、人狼達の村、ヴォルフィンヘーレ。二つの村で併行して起こる、連続殺人事件の真相を、怪物専門の探偵、輪堂鴉夜が捜査する。
メインプロットは1人二役。人間の村での4人目の被害者であるルイーゼ。このルイーゼが、人狼の村での4人目の被害者であるノラと同一人物であり、ヴォルフィンヘーレの13歳に満たない少女を、「繁殖」から逃がすために、人間の少女を犠牲にして逃がしていたというもの。正直、2人1役は、伏線があからさま過ぎて、意外性はなかったが、単なる復讐ではない隠された動機には意外性があった。
とはいえ、本格ミステリとしてのデキは平凡。2人1役のメインプロットは、この分量の長編を支えるプロットとしては弱い。
多数のキャラクターが登場する群像劇としても、今作は2より弱め。シャーロックホームズ、ルパン、エリックといった勢力が参戦せず、夜宴もモリアーティや切り裂きジャックが参戦しない。
ロイズから第3エージェントのアリス・ラピッドショット、第4エージェントのカイル・チェーンテイルの二人が参戦するが、この二人は完全にかませ犬
カーミラ対静句の対戦、夜宴のアレイスターとカイルの対戦等があり、それぞれはそれなりに見ごたえはあるが、2ほどのわくわく感はなかった。
静句は存在感を見せるが、反面、津軽の活躍は弱め。最後に、キンズフューラー(最終個体)に近い存在であるノラとの対戦という見せ場があるが、今回は、ほぼここだけが見せ場だった。
総合的に見て感じたのは、笑劇=ファルスとしての弱さ。本格ミステリとしても弱く、ファルスとしても弱い。
本格ミステリとしては、そもそもさほど期待していないので、この程度の味付けでよいが、ファルス、群像劇としては、あと一歩頑張ってほしかった。
とはいえ、起承転結でいえば、まだ「承」だろう。暗躍するフー・マンチューの存在、ロイズの第1エージェント、第2エージェントの存在に加え、ルパン・エリックとノアの接触と、「転」につながる伏線が張られている。
シャーロックホームズもこれで役割が終わりとも考え難いので、この後どうなるかという期待はある。「承」が盛り上がりすぎると尻すぼみになってしまう。そういう意味では、3としてはこのデキでもよいのかもしれない。
アンデッドガール・マーダーファルス3としてのデキは★4としておきたい。
● 挿話1
ユッテとその母が村人に殺されようとしている場面
1 旅行先でのよくある出来事
鳥籠使い一行が、列車強盗を退治する話
2 連れ去られた少女
人狼に村の娘が襲われる。グスタフの娘、ルイーゼも連れ去られる。
3 業務提携
ベイカー街221Bにロイズの第4エージェントのカイルと、第3エージェントのアリスが現れる。業務提携の依頼をホームズは蹴り、人狼についての情報を渡す。
4 ホイレンドルフ
人狼が出るというホイレンドルフの村に鳥籠使い一行が現れる。
5 理性的犯行現場
ルイーゼが人狼に連れ去られたという部屋を捜査。輪堂鴉夜は、現場の不思議な点に気付く。
6 人狼講義
ホイレンドルフの長、ホルガー村長による、ルイーゼや8年前にいたという人狼の母子の話
● 挿話2
人狼の娘とルイーゼの昔話
7 ローザとユッテの物語
鳥籠使い一行によるよそ者、技師のクヌートと画家のアルマからの聴取。8年前に、ルイーゼが人狼を見つけ出し、2人の人狼を退治したという話
8 霧の窪地
吸血鬼カーミラ、人造人間ヴィクター、魔術師アレイスターの3人は、ホイレンドルフに到着する。3人は、鳥籠使い一行を追うことにする。
9 衝突
ロイズのアリスとカイルが鳥籠使い一行と会う。取引き。ロイズの2人は、怪物の駆除を猶予する。代わりに、鳥籠使い一行は、事件を解決し、ロイズの2人を、人狼の住処へ案内することを約束する。
10 豹変の夜
鳥籠使い一行による捜査の振り返り。事件の手掛かりは窓だという。その夜、アルマが人狼と化す。人狼との対戦により静句が流される。
11 始まり
幕間。輪堂鴉夜は、犯人=アルマを指摘したとして、約束どおり牙の森の情報を得る。鴉夜は、アルマの家の様子を見て「終わるどころか、これから始まるのかもしれない。」とつぶやく。
12 牙の森
窪地に影が怪物の影を作る。「最後から2番目の夜」というダイヤを通してみると牙の一本に重なる。これが人狼の住む森への入口。鴉夜達とロイズは牙の森に向かう。夜宴の一行は、ロイズと鴉夜の分断を図る。遠くイタリアでは、サン・モレク島をある中国人が購入する。
13 ヴォルフィンヘーレ
静句の視点。静句は人狼の村、ヴォルフィンヘーレに流れ着き、ノラ達に助けられる。
14 狼の茶会
ノラ達は、静句に村を出るように言う。静句は助けてもらったお礼にお茶を入れ、話を聴く。ヴォルフィンヘーレでは、人狼の少女の連続殺人事件が起こっているという。
15 赤い刺青の男たち
静句は脱出しようとうるが、見つかってしまう。静句は話を聴くということになる。
16 羊の櫓
静句の尋問。6、7メートルの高さの羊の櫓。レギ婆が嘘と判断すると足場が1つ取り除かれる。尋問が続くなか、音がし、ノラの死体が発見される。
17 余分な銃声
ノラの死の調査。なぜ、銃声が聞こえたのか?
18 葬儀
ノラの葬儀。静句はカーヤの話を聴く。ローザはヴォルフィンヘーレから逃げ出そうとし、羊の櫓に乗せられたらしい。そして逃亡。姿を消した。
● 挿話3
ローザが羊の櫓に乗せられたときの回想
19 濃霧ときどき人造人間
ロイズと鴉夜の前に人造人間ヴィクターが現れる。鴉夜と津軽を連れ去る。これは全て津軽の想定どおり。ヴィクターはカーミラが動けるようになる夜までの時間を鴉夜に与える。ロイズはホイレンドルフに戻る。
20 流れの交わる場所
鴉夜と津軽は、ヴェラの手ほどきを受け、静句と合流する。ノラの死体が見つかった場所で捜査を行い、鴉夜は地下洞窟を見つける。
21 斑蛾の道
地下通路には盗まれた散弾銃、斑蛾の大群、「執行猶予」という文字がある誰かがいたと思われる場所、アルマの死体があり、道はホイレンドルフにつながっていた。
22 帰ってきた少女
ホイレンドルフでは、ルイーゼの死体が見つかる。ロイズのアリスは鴉夜が通ってきた抜け道の存在を知り、ホイレンドルフの人々を引き連れヴォルフィンヘーレに向かう。
● 挿話4
捨てられたルイーゼをユッテが見つけ、助けるシーン
23 黄昏どきの怪物たち
夜宴が動き出す。カミーラはカーヤを襲う。ヴェラの助けを借り、静句を救い出す。
24 人狼対鬼殺し
津軽が人狼を倒す。ロイズとホイレンドルフの連中がヴォルフィンヘーレに到着
25 進軍
人造人間ヴィクター対ロイズのカイルの対戦。カーミラと静句の再戦。アリスとアレイスターの対戦
26 怪物のとりえ
ロイズのカイルは腕力を封じる専門家。鎖の尻尾を使うサブミッションのエキスパート。ヴィクターが破れる。真打津軽対カイル。ヴィクターの助けもあって津軽の勝利
27 静句とカーミラ
静句とカーミラの再選は引き分け。鴉夜はヴェラの手を借り、事件の真相を知る。
28 犯人の名前
謎ぼ狼にカイルは殺害される。アレイスターがアリスに勝利。人狼村と人間村が対峙する中で、鴉夜による謎解き。「ご紹介しましょう。ホイレンドルフのルイーゼさん、またの名をヴォルフィンヘーレのノラさん、またの名をユッテさんです」
29 月下の推理
ホイレンドルフのルイーゼ連れ去り事件。人狼はどうやって窓から出たのか。人狼の姿では出れない。狼の姿ではルイーゼを連れ出せない。そもそも誰も侵入していない。したがって、逃走した狼=ルイーゼ。アルマも殺されていた。
ヴォルフィンヘーレの連続殺人事件。ノラの死体は蛾に触れていない。秘密の通路はルイーゼが暮らしていた。ノラの死体こそがルイーゼの死体だった。
ホイレンドルフ事件の犯人は偽ルイーゼ。ヴォルフィンヘーレ事件の犯人はノラ。二人は同一人物で、その正体は生きていたユッテ
ユッテが考えたのは、二つの村をぶつけて対消滅させるという復讐。ルイーゼの協力も得て、1年半前からユッテは二重生活をしていた。
探偵、輪堂鴉夜が現れたので、ユッテは、アルマを生贄にする。静句をおとりにし、ルイーゼを殺害。ノラの死体に見せかける。二つ目の銃声は静句を救うためのものだった。
ノラはいう「謎解きは、おしまい?」、「だとすると、あなたは最後までは辿り着けなかったのね。」ノラは去る。
● 挿話5
1年半前。ユッテはルイーゼをさらい、計画を伝える。ルイーゼは微笑む。「何から始める?」
30 鳥籠の外
ユッテの逃走を真打津軽が防ごうとする。ユッテは終着個体(キンズフュラー)に最も近い個体
津軽が仕掛けた罠を全て上回る。ノラは、信じられないスピードで洞窟を暗闇にする。最も強く、最も固く、最も速く、最も賢い人狼。津軽は何とかノラを地底湖に落とす。そして、津軽のねらいどおり、ノラは体から水滴を落とすために、ぶるるっと身を震わせる。その隙に、津軽はノラを捕まえた。
鴉夜が現れて、ノラを逃がすように言う。鴉夜はいう、「推理を間違えた。犯人は君だ。でも動機は復讐じゃなかった。君は、ヴォルフィンヘーレの少女達を逃がしたんだ。」
ヴォルフィンヘーレの娘は配合の道具とされていた。そのような境遇から娘を救うためにノラは行動していた。人間の娘の死体を利用して、人狼の娘を逃がす。
ノラも外の世界へ逃げ出した。
31 夜明け前の怪物たち
鳥籠使い一行、夜宴の一行が村を去る。夜宴は、2人の人狼を連れて帰る。アリスはカーミラの餌食に。
場所は変わってイングランドの港町。五冷血という吸血鬼の一人、狂血、ヴァーニーがロイズの第1エージェント、オックス・セブンリーグに倒される。
オックスは、方向音痴。ウィンダミアの森で消息を絶つ。
場所は変わって地中海。中国人、フー・マンチューは国を建てるために島を買おうとする。
32 犬も歩けば
ノラは流れ着いた地で男から財布をするが、空っぽ。すった男、ルパンにつかまる。ノラがツガルとつぶやいたことから、ルパンとエリックはノラに声を掛ける。
Posted by ブクログ
人間の村と人狼の村、二つの舞台で起こる連続少女殺人事件を軸に、ミステリと復讐劇が鮮やかに絡み合う。
本巻の核となるのは犯人・ユッテの行動と動機。人間にも人狼にも迫害された母の復讐。その上で、人狼村の少女を救うという矛盾した目的を両立させる為、彼女は人間側で殺害した少女の死体を人狼の村に持ち込み、死んだと見せかけて少女を脱出させる。復讐と救済を同時に成立させるアイデアには驚かされた。
一方、序盤に提示された“金色の狼”の目撃談のせいで、ユッテが両方の村を往復している事が早い段階で推測できてしまう点は、ややミステリとしての解決のカタルシスを弱めてしまった印象もある。ヒントを出さないのもフェアじゃないので、ここはミステリとしては難しい所。
舞台が二重構造になっていることでテンポにやや重さを感じる箇所はあるが、復讐と慈愛が交錯するプロットは見事。人狼としてのギミックも、バトルとミステリの両面で活かされており、本シリーズらしい魅力が詰まった一巻である。
Posted by ブクログ
舞台をドイツ山中に移しての人狼編。
特殊設定ミステリに、伝奇アクションがほどよく混ざってる美味しい作品。500頁を超える長編も一気に読めてしまうリーダビリティの良さ。
現在やってるアニメ版はこのエピソードまではいかないかな?
Posted by ブクログ
今回冊子分厚めと思ったけど、内容も結構ヘビー…
正直、読み終えてちょっと嫌悪感があった。
2巻から思ってたけど、カーミラとシズクの
官能系な表現が個人的に苦手。
あとは、種明かし後の後味。
ストーリーや謎は相変わらず綿密で
その伏線までも回収するのかという細かさ、圧巻。
表紙の感じや、中盤辺りで何となく犯人や
どういう手法で犯行が行われてるか大まかに掴めるけど、
種明かしされて、そんなとこまで?!
ってレベルの緻密なミステリ構成が本当凄い。
構成は本当凄い好き、面白い。
ミステリだけじゃなくてアクションも
文章の表現が良くて読み易いし、
ストーリーもテンポ良い、キャラも良い。
ただ、ラノベ慣れしてないからか、
今回の殺人の動機や犠牲とか色々考えると個人的に苦手。
2次元だと思ってれば面白いんだろうけど、
3次元寄りの殺人ミステリ読み慣れてると
3巻は単純に楽しめるわけではない。
Posted by ブクログ
シリーズ3作目は、人間世界と人狼村のそれぞれを舞台に連続殺人の謎に迫る(もちろんバトルしながら) 本格度濃いめのリアル人狼ゲーム。
各村を行き来できる秘密の通路があり、村人たちは昼夜逆転生活…という設定と、最初の事件 (ルイーゼ誘拐)の不自然な状況から、事件全体の構造については、割と序盤でなんとなく察しがついてしまう(「いつも起きてくるのが遅い」旨の記述で、ひらめきが確信に変わってしまった!)が…最後の最後に明かされる、犯人の真の犯行動機は当てられなかった。なるほど!
あえて言うなら、10代の実の子が入れ替わったことに、いくら接触が希薄とはいえ、ひとつ屋根の下で暮らす親が本当に気付かずにいられるか、そこだけが違和感。
ただそれを補って余りあるほど、本格ミステリとしての完成度は高く、伏線の張り方や、人狼の特性を活かした、犯人校り込みのための論理展開はとてもとても巧み。
嘘喰いを彷彿とさせる、駆け引きしまくりのバトルパートについても、没入して楽しめるが、ロイズのメンバーが黒星続きなのがちょっと…そろそろ、夜宴メンバーの1人を落とすくらいの進展があってもいいのでは!
とにかく、早く次出してくおくれ~