【感想・ネタバレ】源氏物語 巻二のレビュー

あらすじ

最愛の女(ひと)藤壺の宮への許されぬ恋と不倫の皇子の誕生、年上の愛人・六条御息所の生霊による正妻・葵の上の死、兄朱雀帝が寵愛する朧月夜との危険な情事とその露見、若紫との新枕など、息もつがせぬドラマが展開する源氏18歳から25歳までを描く。第2巻は、末摘花・紅葉賀・花宴・葵・賢木・花散里を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白くなってきましたね。
この巻では大きな“別れ”が四つもあります。
まずは正妻の葵の上。
源氏との子を出産の時に、六条御息所の生霊に苦しめられて亡くなってしまいます。源氏は今まで葵の上に対してつれなかったくせに、亡くなる間際になって「いつものように強気でない自然な姿が艶めかしい」だとか思い、亡くなった後は本当に落ち込みます。そして、葵の親元の左大臣家の人々は「これで源氏と縁が切れてしまった」と言って嘆きます。
次に六条御息所です。御息所は源氏より少し年上の聡明で趣味のいい女性でしたが、気位の高さや嫉妬深さなどが次第に源氏をとおざけてしまいます。そして、源氏の若い恋人や正妻に対して生霊を出してしまうほどの嫉妬をいだき、そんな自分が嫌になって、斎宮となった娘と共に伊勢にくだります。その御息所と最後にお別れのをするときも、本当に悲しくしっとりとした場面でした。「今までほっておいたくせに、調子のいいヤツ!」とこんなときこんな人に対して思いますが、源氏は“悲しいふり”をしているわけではなく、本当に心から残念に思っているのです。
葵の上にしても、六条御息所にしても今まで当たり前のように居てくれた人が居なくなった時にその寂しさに気づくのですね。二人とも世間からみたら、美しいし、聡明だし、落ち度などどこにも無いのに、源氏は困難な恋にしか燃えられないたちだから、当たり前のように自分を求めてくる女性にはつれなくなってしまったのですね。人間とはそういうものなのでしょうが。
そして、3番目の別れは重大です。父であった桐壺帝が亡くなったのです。これにより、宮廷の勢力図がガラリと変わってしまいました。弘キ殿(漢字難しい)女御と故桐壺帝との息子が帝に即位しましたが、まだ若いので、弘キ殿女御を初め、右大臣家のやりたい放題になり、源氏や藤壺の宮や頭の中将や左大臣にとっては生きづらい世の中になります。
そして最後の大きな別れが、藤壺の宮です。藤壺の宮は故桐壺帝が自分が亡き後も東宮を後見できるようにと、中宮の位を与えられていました。が、東宮が実は桐壺帝との子ではなく、源氏の子であるという罪を自分の中にひた隠しに隠して(源氏は気づいてますが)、罪の意識に苛まれるのと、右大臣勢力の中で生きづらいのとで、出家してしまいます。義母である藤壺に誰よりも恋い慕い、過ちまで犯してしまった源氏はショックで、自分まで出家したい気持ちになります。
今まで、若宮としてやりたい放題だった源氏を取り巻く環境がガラリと変わってしまった中で、新しく生まれた命があります。
一人は藤壺の宮と桐壺帝の皇子とされるが実は源氏との子である東宮(後の冷泉帝)です。あまりにも源氏そっくりで、世間に事実がバレないかとヒヤヒヤします。右大臣家の世の中になり、後見人であったはずの中宮(藤壺)も出家してしまって、この後どうなるのでしょう。
もう一人は夕霧。これは源氏と亡くなった葵の上との子です。これも「目元が東宮そっくり」と書かれています。ということは源氏にも似てるということですね。父が亡くなり、自分が二人の息子の父となった源氏。今後の物語が楽しみです。
それから、新しい女性との関係も。
一人は、若紫。巻一で、北山のお寺から連れてきた幼女。藤壺の姪にあたり、藤壺そっくりなので、二条院で親代わりとなって育てていた娘。ようやく、少し大人びてきたころ、事実上結婚します。まだ葵の上が亡くなって間もなかったのに、これはアカンでしょう。若紫もショックでした。でも源氏にとっては人が亡くなって悲しむのも人を恋することも全力というのか。容姿、能力、性格において欠点ゼロだというだけなら面白くも何ともないのだけれど、全力で振る舞うことによって、時に「末摘花」との失敗談があったり女の人を出家させるほどの悲しみを負わせてしまったり、嫉妬をかったりするから物語を面白くしてるのでしょうね。
あと、朧月夜の姫君。宿敵弘キ殿の女御の妹であり。大胆にも右大臣邸で逢瀬を重ねていたら、右大臣に見つかってしまいました。これからどうなることでしょう。
それから最後のほうにチラッと出てきた、麗景殿の女御の妹の三の君。これはこの後、花散里という重要な女性になるらしいです。
気になる人物がいっぱいです。こんなに面白くなっているのに、まだ10巻中の2巻目です。まだまだ波乱万丈ですね。

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2022年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

次々と女性に手を出す源氏…(;^^)
桐壺帝の死、最愛の藤壺の宮が出家、朧月夜の君との浮気と、
二巻は一巻より展開が早い!
内容はもちろんですが私は巻末の「源氏のしおり」を一番楽しく読みました。まさか空蝉の弟、子君と男色関係にあったのか!驚きです。
ただ添い寝しているのかと思いきやちゃっかり少年愛とは…
巷で紫式部が腐女子だった、などと言われているのはこのせいか?
当時は男色が割と世間に認められている行為だったしそういう意味では平安時代の女性のほとんどは腐女子だったと言えなくもない…

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2012年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読めば読むほどどんどんハマってく。気になったのは、方違いとか占いとか呪術が色々な局面で出てくること。例えば、六条の御息所は「源氏ったら葵の上のところにばっかり行きやがって!」と思い悩んだ挙句、葵の上を難産に陥れた末、呪い殺してしまう(!!)現代人からするとフィクションのホラーだと思うけど、当時の人は本気で御息所を恐れたことだろう。

また、至る所に「香り」の話が出てくる。源氏はナポレオン並に匂ったようで、色々な場所に残り香を残していき、女たちの心を翻弄する。平安時代、お香は今でいう香水のように、個人の魅力を高めるのに一役買っていたのだろう。

2巻目にして新帝の寵愛する姫に手を出していたことがバレ、源氏は遠くへ左遷される。と言っても須磨だから神戸の方だけど。話はクライマックスだと思ったけど、あと8巻続くのだから、これからどんなことが起こるのか楽しみだ。

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2011年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

喪中にも関わらず、蝶よ花よと育ててきた紫の姫君についに手を出し、姫君はショックを受ける中で、その姿もまたいじらしいと思う源氏が、現代的にみるとひどい男すぎて、こんな男だったか!?と面白い。
生霊に苦しむ姿など、陰陽師などのこの時代特有の恐ろしさがある。藤壺などまだまとも?な人間もいるだけに、好き放題やっている源氏の自由っぷりときたら笑


末摘花
常陸の宮の姫君が不器量で、鼻が異様に長く垂れ下がっていて先が赤い。(これをネタにして後日紫と微笑ましい笑いをとる皮肉)滑稽譚

紅葉賀
藤壺が源氏の子を出産。(帝には源氏の子であることは秘密)赤子の顔が源氏にそっくりなので帝にバレないかとヒヤヒヤ。
一方の源氏は、好色で評判の57〜8歳にもなる老女・源の典侍に好奇心から手を出すも、尾行していた頭の中将が現れてお互いに笑う。(能天気すぎる笑)

花の宴
宴のあとの酔いのノリで知らぬ女と交わり、源氏は自分の名を名乗ったものの女は名乗らず別れたので、後日あれは誰だったのか調査することに。検討はつけていたが、右大臣の六の君、兄東宮の許嫁だった。


妊娠中の葵の上に、つききりで安産の加持祈祷をさせるなど源氏が世話を焼き、(車をぶつけられる事件もあり)プライドの高い御息所の怨念が生霊となり、葵の上へ憑依。
看病に来た源氏が薄暗い中葵の上に話しかけふと顔をみると、御息所の顔で、御息所の声色で、「たまらなく苦しいので、少し調伏をゆるめて楽にしていただきたくて」という台詞でゾッとする。
葵の上は男の子を出産後、急死。
源氏は喪中だが、紫の姫君と新枕し、3日夜の餅まで用意。(なんてこった)

賢木
生霊となるほどの女なので源氏は恐ろしくなり、御息所との関係はこじれた。ゆえに、御息所は源氏との仲に絶望して野の宮で1年間の潔斎の後、伊勢へ下る。藤壺は出家。源氏は昔出会った朧月夜と密会していたが右大臣にバレ、右大臣は大后に全てを告げ、大后は激怒。これを口実に源氏抹殺を計る。

花散里
麗景殿は子供ができず淋しい暮らしをしていたので源氏は慰めに行き、妹の三の君も訪ねる。(サラッと終わる章ながら、この三の君は今後長らく源氏と交流するらしい)

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2025年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

巻一に引き続き…でもなく。
間に違う本を挟みながらも瀬戸内版源氏物語巻二。
このまま一気に続きに行きたかったけど、生憎手元にないので一時休戦(と、言い訳しておきます)また個人的に強化月間きたら再読して続きも行きたいなー

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2013年12月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロリコン光源氏本領発揮の巻、という印象が強い二巻。
というかどうしてこの男はこうも不実なのか……あと何で毎回強姦なのか。この時代の男怖すぎる。
紫の上の腹の立て方が今の時代の普通の女性らしくて(今の時代ならもっと過激に憎むだろうけど)ほっとしました。
顔と地位がなかったらただの薄情な男に過ぎないのに誰からも許される姿が溜まらなくうっとおしい。
訳された和歌に源氏の君が不実だと書いてるものがいくつかあるのに、それを完璧スルーしてる神経の図太さに驚いた。

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2011年01月25日

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