あらすじ
ついに結婚が決まった伯爵エドガーと妖精博士(フェアリードクター)のリディア。結婚の準備を急ぐエドガーに対し、リディアは貴族に嫁ぐ大変さを実感し戸惑っていた。そんな不安を払って堂々と社交界デビューできるよう、貴婦人の鑑と名高い夫人の教育を受けることになったリディアだったが、花嫁修業に訪れた屋敷で、なぜかメイドとして働くことに。いっぽうエドガーの元には、婚約者を名乗る令嬢が現れ…!? ※あとがきは収録されていません。
...続きを読む
スコットランドのエジンバラ近郊の町に住むリディアは、妖精について何でも知っているという妖精博士(フェアリードクター)の看板を掲げて、妖精がらみのあれこれを解決する仕事をしようとしているが、産業革命によって街灯が輝き、鉄道が走るようになったヴィクトリア朝のイギリスでは妖精はすっかりおとぎ話扱いで、村人から変わり者の娘として遠巻きに見られるばかり。ある日、ロンドンで博物学の教授をしている父からイースターを一緒に過ごそうと誘われてロンドンへ向かうものの、途中でトラブルに巻き込まれて知り合ったエドガーという男性から、自分が妖精国に領地を持つ伯爵家の子孫であることを証明するために力を貸してくれと頼まれ、フェアリードクターの仕事として引き受けることにするが…という形で始まる長編ファンタジー小説です。
妖精が見えることで人間とうまくやれないリディアと貴族らしい見た目と言動にもかかわらず闇を抱えているエドガーが、徐々に明らかになる彼の過去や妖精の絡む事件などを通じて、本当に少しずつ心を通わせていく描写が細やかで、読んでいてグッときます。主人公以外の登場人物も個性豊かで、かなりの長編にもかかわらず、スムーズに読み進めることができますが、先が気になり過ぎて夜更かししてしまうかも。個人的には、鉱物好きにもオススメしたいお話です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ヴィクトリア朝あるある…階級制度。
平家にあらずんば人にあらず、ならぬ
貴族にあらずんば人にあらず。
貴族階級は貴族と結婚が基本だったんですよね。
この辺の知識があると、より楽しめます。
個人的にメイド頭はリディアに一言謝罪してほしい。
そしてまさかフィクションとはいえヴィクトリア陛下が登場するとは!?
しかしリディアとエドガーに平穏はないのか?
Posted by ブクログ
シリーズの中でも一番読み返しているぐらい大好きな作品。
ルシンダに苛々させられつつも、リディアのお人好しさが際立ち、そして健気。そりゃあエドガーでなくても可愛く見えるわ…と思わず突っ込みたくなる。
エドガーが鍋を洗うシーンが好きです。
そして「出来ない事は、変わってもらえばよいのです。」の台詞から繋がるリディアの夢まで、作品全体を通して読んでるこちら側が傍で二人を見ていてる周りの登場人物のように、やれやれ、と溜め息を吐きつつも見守りたくなる。
そんな作品。
Posted by ブクログ
エドガーのプロポーズを受け入れたリディアだが、身分の差を思うと、早くもマリッジブルー。
対してエドガーは、リディアが社交界で傷つかなくていいように、と最善を尽くす──。
エドガーのそんな思惑から、今回の花嫁修業が始まるわけだけれど、ボタンを掛け違えたように不運なアクシデントが重なって、リディアはなぜか小間使い扱いに。
”令嬢”という肩書(自覚?)がなく、上流階級に対して肩身の狭いリディアは「これも花嫁修業の一環かもしれない」と甘んじて受け入れちゃうし、鞭で打たれた手も辛いことも、強がってエドガーに隠しちゃうし。
リディアが健気で、「もうそこまでガンバらなくていいじゃない、エドガーになんとかしてもらいなよ~!」とお姉さんは物語の外で悶々してしまったじゃないか。
オートレッド夫人の正体(逆かな?)には、結構早々に気づいちゃった。
でも、今巻は、プリンスもユリウスも出てこず、
リディアとエドガーの絆が深まったスピンオフっぽいところが◎
エドガーがリディアを、立場を振りかざすでもなく、「一人の男」として全力で守ろうとしている姿に、胸がじーんとした♡
女の子はいくつになっても、守ってくれるひとに憧れちゃうんだっ!(*`・ω・´*)
Posted by ブクログ
貴族の花嫁修業がメイドとか有り得んだろ、それ。
というか、部屋に閉じこもった夫人の態度はあからさまにチェンジリングのようなものでは…というツッコミはなしなのね。
それがあると、物語進みません(でもツッコむ)
と初っ端からツッコミでしたが、この話は好きです。
というのも、メイドをしていて嫉妬でいじめられているリディアを助けるのに、貴族の権威を振るうでもなく、婚約者として庇ってしまう訳でもなく、ただ彼女に変わって大鍋とか樽を洗い、「君といっしょなら、農夫のように日なが一日働くのも悪くないかもしれない」というエドガーに、今までのなかで一番の愛情を感じたからでした。
本当に泣けたよ、この時は。
彼女の気持ちも思いもプライドも意地も尊重して、自分の気持ちだけでなくいろんなものを慮ったエドガーの支えにグッと来ました。
リディア的にはもっと嬉しい時があったかもしれないけど、私はこのシーンが一番好き!
二人のラブラブよりももっと、絆を感じるシーンがいいなぁ。
あと、レイヴンがニコを庇って「友達ですから」というシーン。
ニコの詭弁と言うか行き当たりばったりの発言をそのまま受け止めているレイヴン…。そうかこの二人の交流はこうして始まったのかーと思うと、微笑ましいやらおかしいやら(笑)
でも今やレイヴンにはニコはかけがえのない人ですからね。
ニコにとってもそうであってほしいなぁ。
Posted by ブクログ
やっとリディアの記憶も戻り、結婚が決まったエドガーとリディア。貴族に嫁ぐ苦労をしみじみと感じていたリディアは、堂々と社交界デビューできるようにメースフィールド夫人のもとで教育を受けることになる。しかし花嫁修行に訪れた屋敷でなぜかメイドとして働くことになってしまい・・・。おまけにエドガーのもとには婚約者を名乗る令嬢ルシンダが現れ、彼女はなんとリディアが教育を受けるオートレッド夫人の姪だった。屋敷の中にあるというリガードネックレスを狙っているのは何者なのか?エドガーはリディアを守れるのだろうか?
今回は宿敵が出てこないので安心できるかと思いきや・・・他のメイドたちにいじめられても、けなげに振舞うリディアが切ない。メイドの仕事をしているせいで、エドガーにつりあわないという彼女のコンプレックスはますます増してしまいます。何とかしてリディアを救おうとするエドガーですが、空回り。でもリディアに代わって樽を洗うシーンにはどきんとしました。そういうのにとことん弱いんです(笑)カッコよすぎた・・・。とうとう彼がリディアへの仕打ちにキレて、メイド頭に怒鳴る場面も印象的。本当にリディアのことを大切に想ってるのがわかって安心しました。それに最終的にはリディアがエドガーを頼れるようになって良かったですv
ビリーは最初から何か胡散臭いとは思ってましたが、まさか中尉だったとは・・・!ただの女タラシかと思ってた(笑)もちろんエドガーの方が上等ですけど。今回もレイヴンは天然ですね。一生忘れないって、ちょww
寝ているリディアの枕元で、魔法をかけるのは僕の役目だからいつものままでいいとささやくエドガーにきゅんとしました。この頃彼が素敵になってきたよー。プリンスの記憶を持つエドガーをリディアが受け入れられることを願います。
Posted by ブクログ
閑話休題?のような長編。
婚約者として身分の差に戸惑いながら、エドガーに恥をかかせないように頑張らなくては、と頑なにるリディアと、そんな事は気にせず、それより今後のために一刻も早く「確固たる」関係を築きたいエドガーの間にはまだまだ障害はあるようで…。
あの御方やビリーさん登場。
Posted by ブクログ
このお話結構好き
ルシンダがどうこうってのはほとんど覚えてなかったけど、薔薇園の話と、今回はリディアの健気さとエドガーの今までとは違ったリディアへの愛の形がいい
これが花嫁修業?とか疑問に思いながらもメイドの仕事をしたり
他のメイドやルシンダにいじめられても、頑張るしで
恋人に、エドガーに、甘えるという術を知らなかった故に大変そうだったけど、彼女がちゃんとエドガーに悩みとか苦しみとかそういうのを告げられるようになったのも、リディアだけじゃなくて、エドガーも成長したってことかな?
今回のエドガーは貴族が云々とか婚約者だからどうとかじゃなくて、ただリディアのために食器洗いだってしちゃうし、彼女に無理をさせることもないって気付くし
リディアの気持ちや意地とか全部尊重して、自分の考えや気持ちだけで動かなかったところがね
相変わらずの策士っぷりではあったけども(脅すシーンも怖いし)
にしてもレイブンの天然っぷりが増してきてる!
でもリディアだけじゃなくて、ニコと接することで確実に人間らしさを得てて、ほんわかはするけど
ここ数巻くらいからレイブンが結構好きになり始めたんだ
きっと皆そう
Posted by ブクログ
フェアリードクターとして活躍のリディアも楽しめた巻でした。
なんかシンデレラ並にいびられていました。
両思いの二人のラブがぎゅうと詰め込まれていて、いつもと違う感じでとっても楽しめました。
Posted by ブクログ
やっと両想い編(そんなんあるのか?)スタート。リディアが典型的ないじめに合うのが可哀想で今までで一番ヒロインな感じがしましたw んでもエドガーに泣きついたりしないし、彼に見合う立派な女性になろうと頑張る彼女の姿がやっぱりいつも通り素敵でした。まあ勿論、大半は落ち込んでるんだけど。そんでもってエドガーは結構取りみだしたりしてたけど。あとレイヴンがニコを友達と思っているんだがその想い強固過ぎるw すげえ可愛い。
最後に出てきた貴婦人は私もえーーー!?ってくらいびっくりした。英国は英国でも、架空だからいいのかな?
次回はこれまた短編集。それ読んだらいったん普通の読書に戻りますー
Posted by ブクログ
シリーズ11
ついに結婚が決まったエドガーとリディア。結婚の準備を急ぐエドガーに対し、リディアは貴族に嫁ぐ大変さを実感し戸惑っていた。そんな不安を払って堂々と社交界デビューできるよう、貴婦人の鑑と名高い夫人の教育を受けることになったリディアだったが、花嫁修業に訪れた屋敷で、なぜかメイドとして働くことに。いっぽうエドガーの元には、婚約者を名乗る令嬢が現れ…。
Posted by ブクログ
先方の勘違いと本人の思い込みによって起きた事とはいえ、リディアがちょっと不憫だった。
けれど、思いがけぬ形で女王陛下に遭遇出来たおかげで、リディアが不安がっていた拝謁も上手く行きそう^^
二人には早く幸せになって貰いたいけど、『プリンス問題』がキッチリ片付いてないから、まだまだ苦難は続くんだろうなぁ…。
Posted by ブクログ
19世紀イギリス。妖精が見えることから周囲から遠巻きにされているリディアは、同じく妖精と親しかった母の跡を継ぎ、自分の能力を活かすため、妖精博士(フェアリー・ドクター)の看板を出していた。だが、文明の発達した世の中には妖精を信じる人も見当たらず、より一層変り者扱いされてしまう。
諦めかけていたリディアの前に現れた、妖精国を領地とする青騎士伯爵を名乗るエドガーは、彼女に協力を要請するが…
2008年アニメ化作品。流石ベテラン。一巻一巻、行き着くべきところまで行き着いている感。物語として完成度が高いと思う。
Posted by ブクログ
今回もなんだかんだでラブラブな二人・・・。エドガーやさしいなぁ。今回はリディアが花嫁修業に行った貴族のお屋敷でメイド扱い。それを知ったエドガーは大憤慨!!でも、リディアはこれが教育係の婦人の意思なのだとがんばる。けれど、嫌がらせを受け傷つくリディア。そんなとき、屋敷の庭に妖精の世界へ通じる穴が。そこには薔薇を咲かせるために妖精の世界に留まる女性がいた!
「君のためなら鍋でも洗う」なエドガーにかんぱ〜い!!
Posted by ブクログ
よーやく婚約にまで至った方々のマリッジブルー的すれ違いが産んだ災難話。プリンス絡みでない分番外編ぽいんですが、正直こういう話のが好みなのでとてもとても嬉しい。
Posted by ブクログ
“「小間使いだからといって、特別扱いはしません。奥さまのご用のないときは、ほかの仕事もしてもらいますからね」
リディアの立場は、いちおうは奥さま付きの小間使いということらしい。とすると、オートレッド婦人のそばに仕えるのだから、やはり夫人の深い考えがあってのことなのか。
「あの、あたしのこと小間使いにするよう、オートレッド夫人がおっしゃったんですよね」
ミセス・ボイルは、わかりきったことをと言いたげに眉をひそめた。
「当然でしょう。さっそくですが、奥さまのお部屋にお茶を届けてもらいます。毎日この時間です、おぼえておくように」
「はい」
「それから、奥さまはここ数日、部屋にこもっておいでです。そういうときは、あなたが入っていいのは控えの間まで。奥のドアを勝手に開けてはなりません。控えの間で声をかけて、お茶を置いて下がりなさい」
「え、どうして部屋にこもっていらっしゃるんですか?」
「よけいなことは訊ねなくてよろしい」
「……はい」
「ご用がないか、食事とお茶の機会に忘れず訊ねるように。それ以外は、どんな急用だろうと奥さまに声をおかけすることはできません。いいですね」
となると、夫人と顔を合わせることも、どういう花嫁修業なのかと問うこともできない。”
婚約者としてどう振舞えばいいか分からないリディアが可愛い。
どこまで打ち明けていいのか、とか。
花嫁修業で行った先で勘違いから小間使いをさせられるリディア。
身分違いのせいで起こる問題を先走りで体験させられるような。
方法は別としてリディアを庇うエドガーの必死さが、それだけリディアが愛されてることを物語って。
“「でもね、またロンドンでお目にかかれるよ。きみへの感謝のしるしだと、舞踏会に招待してくださったんだ」
そのカードは、招待状だった。
直筆で、ヴィクトリア・Rと書いてあった。
「よかったね、リディア・女王陛下から直々に、拝謁と社交界デビューを許されたようだよ」
え?女王陛下?
「今回は、おしのびでオートレッド夫人を訪ねていらっしゃったんだ」
おしのび、って、でも……。
「あの、夫人はアレクサンドリーナって」
「ええ、アレクサンドリーナ・ヴィクトリアよ」
「ええっ、こ、公爵夫人が……!」
リディアは両手を頬に手を当てたまま硬直した。
うそ、あたし、平気でいろんなことしゃべったわ。愚痴とか言ったような気も……。
おまけに、お見送りもできなかったのに。
「これで僕も、婚約者を紹介できたわけだし、きみもお目通りがかなった。あとは堂々と、このとくべつな招待状を手に、宮廷へ乗り込んでいけばいいだけさ」
「で、でも、作法が……」
「基本的なことだけ知ってればいいから、メースフィールド公爵夫人が戻られてから教わっても間に合うよ。それにリディア、振る舞いを注目されるのはきみじゃなくて僕の方らしい。なにしろ、女王陛下に目をかけられた女性をダンスに誘わなければならないんだから」”