スコットランドのエジンバラ近郊の町に住むリディアは、妖精について何でも知っているという妖精博士(フェアリードクター)の看板を掲げて、妖精がらみのあれこれを解決する仕事をしようとしているが、産業革命によって街灯が輝き、鉄道が走るようになったヴィクトリア朝のイギリスでは妖精はすっかりおとぎ話扱いで、村人から変わり者の娘として遠巻きに見られるばかり。ある日、ロンドンで博物学の教授をしている父からイースターを一緒に過ごそうと誘われてロンドンへ向かうものの、途中でトラブルに巻き込まれて知り合ったエドガーという男性から、自分が妖精国に領地を持つ伯爵家の子孫であることを証明するために力を貸してくれと頼まれ、フェアリードクターの仕事として引き受けることにするが…という形で始まる長編ファンタジー小説です。
妖精が見えることで人間とうまくやれないリディアと貴族らしい見た目と言動にもかかわらず闇を抱えているエドガーが、徐々に明らかになる彼の過去や妖精の絡む事件などを通じて、本当に少しずつ心を通わせていく描写が細やかで、読んでいてグッときます。主人公以外の登場人物も個性豊かで、かなりの長編にもかかわらず、スムーズに読み進めることができますが、先が気になり過ぎて夜更かししてしまうかも。個人的には、鉱物好きにもオススメしたいお話です。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
アーミンは結局いまだにたんなる恋する乙女ってことでいいんでしょうか…
再度の裏切りを知ってやけっぱちになるエドガーと、その後、酔ってたあいだの記憶がなくててんぱるエドガーが非常にかわいかった一冊w
Posted by ブクログ
前作でスコットランドで休暇という名目で戻ってしまったリディア。
そこで300年前ではなく、100年前に青騎士伯爵が英国に現れたらしいことを知る。
謎を解くために、人魚の棲むマナーン島へ向かう。
その頃ロンドンではポールの元に不思議な少女が表れて…ということで、青騎士伯爵家のバンシー登場。
『バンシーの(記憶のカギを握る)琥珀を探せ』
ユリシスの出自も今回ではっきりし、シルヴァンフォード侯爵家とアシェンバート伯爵家の過去の交流?も一部明らかに。
青騎士伯爵家傍流の血を引くユリシスに100年前の伯爵(グラディス)の『遺産』をバンシーは渡してしまうのか。
それとも、メロウの剣を手にしたエドガーにそれを与えてくれるのか。
エドガーはますます青騎士伯爵という名を重んじ、そしてその重さを実感していく今回のお話。
一方リディアとは、彼女が再び近づいてくれるようだった途端に信じられない失態をやらかすエドガー。
これで信じてくれと言われたって、リディアじゃなくたってそう簡単には信じらないでしょう…。頑張れ。
二人の仲は相変わらず…だけれども、やっとリディアは自分の気持ちは自覚した模様。
アーミンの行動がエドガーとリディア、ポールの知れるところに。
彼女がケルピーにあることを提案したところで、以下次巻。