あらすじ
2017年11月3日公開、映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』原作
スティーヴン・キングの最恐ホラー小説、待望の電子書籍化!
少年の日に体験したあの恐怖の正体は何だったのか? 27年後、薄れた記憶の彼方に引き寄せられるように故郷の町に戻り、IT(それ)と対決せんとする7人を待ち受けるものは?――
解説・風間賢二
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Posted by ブクログ
映画版を観た機会に久々に再読。
キングといえばホラーだけど、私が何よりも大好きなのはキングの青春小説なのです。川面で乱反射する日差しのきらめき、世界で一等速い自転車で間一髪ダンプをかわすときの全能感。そういったものを書かせたらキングの右に出る者はいないんじゃないかってくらい。
ラスト、「はみだしクラブ」の友情と、命を賭して戦った軌跡は、超自然の力によって彼らの記憶から消し去られてしまいます。子供時代は誰にとっても儚い。でもこの「はみだしクラブ」のそれは、記憶から消されたからこそ、当時の熱もそのままに彼らの中で息づいているんじゃないかな。そんな永遠の存在を信じたくなります。
エディがいいんですよねえ。親友で彼にとってのヒーローだったビルのピンチだからこそ、振り絞ることのできた弱虫の勇気。映画版はそこんところの描写が省かれていたのが不満。
Posted by ブクログ
子供から大人になる。11歳のころに出来ていたことができなくなる。そして、忘却。
肉体的なものでもなく知識的なことでもない。精神的なこと、想像力。「不安と欲望」。世間の目の意識と世間の目を気にしないこと。
小学校あたりのことを思い出してしまったが、仲の良かった友達はいまなにをしているのか。知る手段はある。が、。
離れていく感覚。精神的に。小学校から中学校にかけて。仮初な感覚がロックンロールに通じる。
今度は居場所を提供する側になる。もう、あのような体験や感覚を共有できることは二度とないのだろう。時間的なリミットがある。ただ、これは子供の時には絶対にわからない。
これが悪いことではなく、当たり前だと思う。また、別の感覚をよいものと思えてくる。ただしそれは作っていかないといけない。
ただし、距離が近くないとだめなんだろうな。時間の共有。意図的に。
passing time, passing time。
離れ離れは距離だけじゃない。
Sweet time。
これも本当。どうしたものか。
ただただ、懐かしい。
Posted by ブクログ
第4巻
ITとの死闘が凄まじかった。息もつかせぬ展開に圧倒された。
11歳の時の闘いと27年後の今の闘いが、一文で繋がり交互に描かれる構成が素晴らしい。緊迫感がより高まり、ぐいぐい読ませる。こんな描き方があるのか…やっぱキングって凄いわ。
太古の昔から闇の中に生きてきたIT。食べては寝て起きて食べては寝るというサイクルを27年ごとに繰り返していた。近年は子どもの恐怖心が好物で捕食しており、あらゆる物に化け人々を恐怖に陥れる。
それに立ち向かうビル達はみだしクラブの7人。仲間を失いながら、傷を負いながらも友達を思いやり挑んでいく。
自分や仲間を信じる勇気こそがITを滅ぼすチカラとなり、そして…
友情が紡ぎ出す青春物語。
デリーの町ごと全てが破壊されていく場面は、キャリーと同じく大迫力だ。
ちょっと残念だったのは、子ども時代にベヴァリーが他の6人の男の子と〇〇○する件。絆を強める為とは言え、その手段ではない方が美しかった気がする。
これだけの出来事がマイクの記憶からなくなっていく。固い絆で結ばれた友達の名前さえも忘れてしまう。おそらくビルやベヴァリー達もいずれはそうなのだろう。
このラストが私は好きだ。子どもの頃の記憶ってなくなっていくよなぁ。良い事も悪い事も。だから生きていけるんだよね。
Posted by ブクログ
とうとう読み終えてしまったという感じです。
デリーの崩壊は凄まじかったですね。
亡くなった人々はデリーに生まれてしまったが故の、どうしようもない運命だったのかも?
itを倒せた代償は、2人の犠牲者とデリーでの記憶という事が、すっごく切ないですね。
見ているこっちが寂しかったです。
それでも、全てが終わった後に、前向きなスタートを踏み出せて本当によかったと思います。
これではみだしクラブとはお別れになっちゃうのが本当に寂しい…!(笑)
Posted by ブクログ
読み終わった・・・。すべてが終ってしまった・・・。
全4巻という大長編に正直尻込みしていたのだが、手に取った瞬間から物語の世界に引き込まれてあっという間に読み終えてしまった。
かといって、いわゆる「さくさく読める」と言うのとはちょっと違う。やはり、キングの手によるグロテスクでおぞましいモンスターや惨劇の圧倒的な描写は、それでも一言一句読み飛ばすわけに行かない。どんなに目をそむけたくても、見届けなければいけないのだ。
少年時代のひと夏の冒険譚という意味では、解説でも指摘されているとおり「スタンド・バイ・ミー」だがそれだけではないのはご承知のとおり。デリーの町を恐怖で支配する――住民たちはそれとは気が付かずに――ITの驚くべき正体はとんでもないスケール感だし、子供たちが見るモンスターは吸血鬼や狼男、フランケンシュタインといった西洋お化け屋敷の常連揃い。そこに日本製のラドンのイメージまで呼び出されるからさながら古今東西の怪物見本市。
とにかく、キングワールドご堪能あれ!な一大叙事詩。キングファンなら、なるほど「読んでおくべき一本」と言えるでしょう。
あ、映画は「子供時代編」だけなのかしら?続編が作られるということは・・・?