あらすじ
バスチアンはあかがね色の本を読んでいた-ファンタージエン国は正体不明の〈虚無〉におかされ滅亡寸前。その国を救うには、人間界から子どもを連れてくるほかない。その子はあかがね色の本を読んでいる10歳の少年-ぼくのことだ! 叫んだとたんバスチアンは本の中にすいこまれ、この国の滅亡と再生を体験する。
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Posted by ブクログ
何度も読みかけては、中々読みきれなかった名作をようやく読むことができた。
表紙絵や扉絵を見ながら、ファンタージエンの世界に入って行った。アトレーユの冒険の旅は途方もなくて何をどう目指せば良いのかわからない。それでも導かれる道を信じて進む姿を祈るように見守った。幸の竜、フッフールが最高の相棒で頼もしかった。
たまに現実に戻る感じもリアルで良かった。
Posted by ブクログ
「虚無」によって終末を迎えるファンタージェンの世界を救う方法を、少年アトレーユが探す物語。読者は読書好きな少年バスチアンと一緒に、アトレーユのその「はてしない物語」を、手に汗かきながら見守るのだ。
文庫版でも刊行は20年以上前で、今読むと訳が少し重いというか、児童文学にしては固い印象を受けるんだけど、それがまたファンタージェンの「特別さ」の味付けになっていて良いんだよね。
いやあ、好きだよフッフール!いつも陽気な、幸いの竜。アトレーユに恩義を感じ、途中で仲間になるフッフール。どうかこの物語の最後まで、無事でいて欲しい。
Posted by ブクログ
大切なことが数えきれないほどたくさん詰まっている!
・私たちがファンタージエンは虚偽だと思うことで人間界も含めた2つの世界は救えなくなる。
・人間は虚偽に支配されやすく、そのために生き物の命がむごい形で利用されてしまう。
・虚無の吸引力はすごくて、狂って飛び込んでしまいたくなるけど、アトレイユは自分の足で一歩ずつゆっくり遠ざかる。
・フッフールは幸福を信じて進むからこそたくさんのピンチを切り抜けられる。
・善悪・美醜・自分が耐えられること耐えられないこと、すべて区別しない幼心の君の強さと美しさ。
・自信がなくて重要なことに対して踏み出せないとしても、既にその渦中におり、逃げ出す道はない。
・解決のためには、遠回りに見えるその道筋こそが必要で、唯一の方法。
・憂いの沼でもひかりを持っていれば守られて、何も感じずにいられる。
・憂いに飲み込まれて死ぬしかなくなってもなお、アルタクスはアトレイユを巻き込まず感謝して送り出す。
・歌うからこそ伝わる言葉がある。
・人狼が意地悪なのは、自分の世界がなくて、他の人にはあると思っているから。
・はてしない物語が古老の手で はてしなくなった時の、ゾッとする感覚。
……他にもまだまだたくさん。私の小さい手にはいっぱいで流れ落ちてしまって、受け取りきれていないほどの量だった。
できるだけ若いうちに読んでおきたい本だと思う。少しひねくれたり世界にがっかりしたりし始めながらも、柔軟な思考を持っているうちに。
でも、大人の今読めたことにも大きな意義がある気がする。今だってそういう素直な気持ちは自分の中からなくなったわけじゃない。人狼の話が特に印象的で、頭を殴られたような気分だった。
私も大人になってわかったつもりになって決めつけて、色んなことを見失っているんじゃないか。すべての常識が常識じゃないファンタージエンと私の生きている世界がもしも同じだとしたら、当たり前じゃないことを当たり前と思ってしまっていないか。
あるいは、モーラのようにすべては空虚の中の戯れで何もかもどうでもいいと言ってしまう時でも、本当はそう思っていないんじゃないか。
アトレイユ達のように突き進む力が自分にもあることを忘れてしまっているのではないか。
これからも繰り返し読みたい。
この世界観をより深く受け取るため、本物の『はてしない物語』と同じ装丁のものを手元に置いておきたいな!それでできれば孫の代まで受け継いでほしい。
まだ上巻だけだけど、既に自分にとって大切な物語になった。
Posted by ブクログ
「本を読んだ」という感覚をこれほど鮮明に覚えている本は他にない。
おそらく、これほどの厚みの本格的な本を読んだのが初めてだったのだろう。
本の中に入り込むという設定も相まって、今でもこの本を見かけると不思議な感覚を覚える。
しかも何故か父が、当時飼っていた犬の名前に本の中の主人公の名前「バスチアン・バルタザールブックス」を採用した。
映画のファルコンの姿など、いろいろな意味で忘れられない一冊。
Posted by ブクログ
いじめっ子は追ってくるし土砂降りだし、冒頭から踏んだり蹴ったりのバスチアンにはすぐ感情移入してました。
逃げ込んだ書店でただならぬ雰囲気の本を見つけ、どうしても欲しくなるバスチアン。まさか持ってっちゃうとは思わなかったけど、これは下巻の回収がステキでした。
上巻は、アトレーユの冒険を見守るバスチアンがほほえましくて、どんどん本の世界にのめり込む姿もよかった。
結果、ホントにのめり込んでしまったバスチアン。「自分なら救える!」と本に入っていく過程は、とても好きな場面です。
Posted by ブクログ
古典的ファンタジー作品
もちろん名前は知っていたし映画になったのも知っているけれど、ちゃんと読んだことはなかった。
読んでみて思ったのは文字通り実に古典的なファンタジーだなと言う感想(なんだそれ^^)
と言うのも今ではいろんなところで出会う定番のモチーフが散りばめられていて、例えば、読者が本の中に入り込む展開や、知るものがいなくなると滅んでしまう(消えてしまう)存在や、行方も分からない冒険者を待ち受ける試練の数々など。
そう言ったモチーフがこの物語由来なのかどうか僕には知識がないけれど、そう言った意味で始まりの物語ではないかと思うのだ。
上巻はラストで見事なタイトル回収からいよいよバスチアンが本の世界に飛び込むところで終わっていて、下巻でどんな冒険がなされるのか期待が湧くね。
あと白い竜が出てきたところで、映画の予告編を思い出した^^