あらすじ
獣と人と、その両者を隔てるものとは――
人が異形の獣と化す病、害獣病が蔓延する世界。
害獣駆除兵のアキミアは隊長ゾネとともに、
人外の外見をしたシュペイ人生物学者、
ウェーヌの害獣調査に際する護衛任務を命じられる。
害獣が蔓延る森に入り調査を始める3人だったが、
彼らの目の前に超巨大害獣が現れ、ゾネとウェーヌは川に落とされ
アキミアと離れ離れになってしまう。
2人でアキミアと再合流を図るゾネは、道中ウェーヌに対し
衝撃的な過去を話し始める――
舞台は個から世界へ、ますます深みを増していくダークファンタジー第3集。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アキミヤがあっち側(害獣として生きる側)へ逃亡を図るチルに「『自分』である限りまともな幸せを手に入れられないって絶望に 心当たりがあったから 一度くらいお前にもチャンスがあったっていいと思うんだ」と言った。
弱いと見下す目を、ずっと正面から受け続けていたチル。ヴィエゴドニャからは生殖能力を奪ってしまうのが法律で決まっているので、チルは大人にもなれない。その「小さい身体で成長が止まる」存在を搾取する者がいる。害獣と排斥される害獣を下等とする人間の本性の方が醜い。チルは害獣側へ飛んで行った。
害獣病の謎と歴史
脱出計画にチルが呼んだ害獣は幼い頃から育てたのと同一なのか謎です....
アキミアの活躍とチルの苦悩を理解し逃がす優しさ。狡猾な狂気から意外な人間らしさが見えてきました。
いきなりの鳥類人間シュペイ人の登場でちょっとコミカルになりましたが、ゾネの捕虜時代に聞いた戦慄する話....
トランスジェンダーニンダと色々な因縁。ますますのめり込みます‼‼
スラヴ地方の吸血鬼にインスパイアされ、物語のアイデアになったという江野先生の解説も興味深いです。
近隣諸国なども
ホシ姉弟のエピソード、一定ここで一区切りでしょうか。害獣と共に、チル君は脱走しますので。(ここまでが怒涛の展開でした)
主人公のいるノピン国は島国ですが、以前は大陸の大国でシュペイ国と戦争をしていて、害獣病、どうやらそのシュペイ国の生物兵器?でもあったようです。
近隣の亜熱帯国・アナグ国でのエピソード、ある種のカンニバリズムのようにもなっていました。
鳥類のような、進化した恐竜のようなシュペイ人の設定、興味深いものがあり、これも続きは読みたくなる作品ですね。
Posted by ブクログ
この作品を読み始めた時は「何なんだこの変態エロマンガは…(苦笑)」と思ってました。
でも、読んでいて「先天的、又は後天的に、人が恐れる病の菌を持ってしまった保有者の気持ち」が細かに描かれていて面白くなってきました。
それだけではなく、「性的異常者に弱みを握られ、暴行を受けた人とその家族や友人」など、現実の世界でも起こりうる人の暗い部分であったり…
又は「遺伝子レベルまで語られる危険生物『害獣』の進化の話」など、架空の話なのに本当にありそうと思えるくらいリアルに感じられるシーンなど、興味深いところが満載です。
この先が楽しみです!