あらすじ
季節は夏、空魚と鳥子は互いの仲を深めながら探検を続けていく。きさらぎ駅に迷い込んだ米軍の救出作戦、沖縄リゾートの裏側にある果ての浜辺、猫の忍者に狙われるカラテ使いの後輩女子――そして裏世界で姿を消した鳥子の大切な人、閏間冴月の謎。未知の怪異とこじれた人間模様が交錯する、SFホラー第2弾! 特別付録として「第2回! 空魚と鳥子のだらだら怪談元ネタトーク」を収録。
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Posted by ブクログ
ネットロアでも最悪クラスの災厄が襲い掛かる、裏世界探索物語シリーズの2巻である。
初期からシリーズ化の予定があったのかはわかりかねるが、この巻からはさらに物語世界やキャラの関係性が広げられ、新キャラも複数登場する華々しい展開になっている。
その意味で、シリーズを進めるにあたって布石に近い印象もある一巻である。
とはいえ、物騒なピクニック模様は健在であり、暴力的な意味合いでは今回は1巻以上に色濃かった。
章立てでは以下のようになっている。
ファイル5 きさらぎ駅米軍救出作戦
ファイル6 果ての浜辺のリゾートナイト
ファイル7 猫の忍者に襲われる
ファイル8 箱の中の小鳥
個人的には初見の怪異も多かったが、1巻の宿題になった米軍の案件では姦姦蛇螺という派手な怪異が登場。
リゾートナイトでは「須磨海岸にて」という怪談がモチーフとして登場し、ネットコピペで有名になった「猫の忍者」など、バリエーション豊かな怪異が楽しめる。
そしてなんと言っても、ネットロアでは特筆すべき「コトリバコ」。
さすがと言うべき致命的な怪異が二人を襲う様は圧巻だった。
この二巻の物語では、現実と裏世界が明確に弁別されず、表の世界もまた巻き込まれていっている様が見えている。
怪異の側の狙いどころも明らかになりつつあり、残酷なその悪影響も明示された。
そしてその背後には、閏間冴月という謎深き女性が関わっていることも、この巻で明示されている。
冷静に考えて、敵とか味方とか関係なく、コトリバコトラップとか置いてるヤツはどう考えてもヤバイわけで、彼女の存在が次巻以降も重い物になっていくことが予想される展開だ。
そんな派手な物語ではあるが、一方でこの巻では人間関係に重きが置かれている一面もある。
大学の後輩・瀬戸茜理の登場で、主人公二人の関係もぎくしゃくしている様は、レビューでも指摘のある百合的要素が色濃く出ている印象もあった。
裏世界と表世界の弁別が付かなくなってきた展開も含めて「裏世界ピクニック」というテーマ性がやや薄い巻でもあったかもしれない。
沖縄方面の裏世界での海水浴は確かに、ここまでで一番ピクニックらしいピクニックではあったが。
そういったテーマ性との乖離が気になり、ここでは星四つ半相当と評価している。
読み応えはあった。人間模様の錯雑さも丁寧に描写されているし、怪異はおぞましく、展開もハードで噛み応えがあった。
その意味で、単純な読書としてはすこぶる楽しかった点は付記しておきたい。
リゾート
沖縄でリゾートの失敗したからって、裏世界で酒を飲んで遊ぶとか、やっぱりドコかオカシイコンビ…
個人的には一巻の方が雰囲気が良かったかな…
もう少し恐怖を…