【感想・ネタバレ】大目付光三郎 殿様召捕り候 暗殺のレビュー

あらすじ

深川の湯屋に三日にあけずやって来ては、ただ酒を呑んでいる男。旗本とは言っても、周りは彼のことを、どうせ無役小普請組で毎日ぶらぶらしていると思っている。が、この光三郎、実は……本名を朽木隼人正三郎頼光といい、上様から大目付職を拝命する高級旗本であった!大目付のお役目は恐れ多くも、大名や高家など、いわゆる殿様と呼ばれるお偉方を監視、取り締まること。ある日、凶悪な火附盗賊の現場に尾張藩支藩の大名火消しが出張ってくることが判明するや、即座に光三郎も探索に加担する。そして、この一件が尾張六十万石の存続をも揺るがす“大事件”の火種であったこと突き止め、ついに──!?ますます好調! 正義の大目付に殿様たちが怯える大好評第二弾!!

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江戸の街に連続凶悪事件が発生

第一話は「火附盗賊」事件の話しである。
江戸の3つの大店に火附盗賊の一味が侵入し、お店者全員を皆殺しにして逃走するという事件が発生した。その際に、速水藩小坂和泉守が頭となる大名火消しがいち早く出動したが、この対応に大目付、朽木光三郎が不信を抱いた。
光三郎の探索は、幕府内の役職が依然として縦社会で役職の縄張りから生じる厚い壁に邪魔されるのだが、光三郎の下役、幼馴染み東雲又一郎が和泉守の屋敷に中間になりすまして入り込み、光三郎のために真実を掴んだ。
結局、この事件はすべて和泉守の自作自演で起きたものだと、光三郎が事件の動機と共に鮮やかに解明したのである。
第二話は「贋金」事件の話しである。
禹湯の2階のたまり場で光三郎は矢五郎親分から市中に贋金が出回っていることを聞く。光三郎は又一郎と一緒に禹湯からの帰り道で、両替屋国松屋の手代、佐吉が殺されるところに遭遇した。佐吉を近くの蘭方医雨夜俊庵に運び、治療を試みたが甲斐も亡くなった。俊庵の娘、お蘭が検死に当たり、着物付着した黄色い柘の木クズを見つけた。更に口入れ屋の黒飛屋に佐吉から受け取った紙束が、小判のきり餅を包む紙であると教えられた。
江戸城内でも、贋金が横行していることで、将軍始め老中方々が心配することしきりだった。
やがて国松屋と取引する大名が関係していると考えた光三郎は、国松屋の取引ある十五藩の中から、深川に下屋敷を持つ藩、飯田山藩を見つけ出した。そして結局光三郎が飯田山藩江戸留守居役の奥山采女守の犯罪を暴いて、奥山采女守を切腹に処して事件を解決した。
第三話は「毒殺」事件、第四話「暗殺」事件の話し。どの事件も凶悪な事件ばかりだ。一つ間違えば、幕府内だけでなく江戸市中が混乱に陥る事件である。
物語を読んでいると、幕政を担う幕閣や老中、大名たちの身勝手な言動に閉口させられるが、特に不満を抱えた尾張藩の支藩の狼藉、妨害が目に余る。本来城中内で片付ける事柄が、江戸市中に及んで下手をすれば江戸町民の生活が危険に晒され、重大な損害を受け兼ねない。武士の世が末であると感じさせられたが、同時に、大目付朽木光三郎の目覚ましい活躍が江戸の町を救い、全く頼もしい大目付様だと感じた。

#ドキドキハラハラ

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2024年02月03日

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