あらすじ
古代エジプトは紀元前3000年頃に統一王朝が誕生したと言われる。ファラオ(王)たちが永遠の命を求め、神々への賛辞を謳う一方で、庶民のある者は労働の苦労や恋心を歌にし、またある者は官吏になることを目指してさまざまな教訓を学んだ。ピラミッドに刻まれた碑文やパピルスは、太古の言葉を今に伝える重要な資料である。本書は「ホルスとセトの争い」、「メンフィスの神学」など有名な神話に加え、「ピラミッド・テキスト」、神々への讃歌、処世訓などを原典から直接訳出して収録。後世の神話や文学にも絶大な影響を及ぼした作品がここに蘇る。
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Posted by ブクログ
この本、「神話集成」となってはいるけれど、古代エジプトから残されてきた文章が幅広く集められている。
古代エジプト人がどんなことを考えていたかわかり、とても面白い。
Posted by ブクログ
神話というタイトルがついてはいる大ボリュームの文庫ではあるが、神話らしい神話は少ないというか、一つしかない。その他は教訓集、神への賛美の言葉が延々並んでいるもの、行政文書的なものなどが多い。特に教訓集は「上司より先に座るな」「上司に招かれたら食事では飲み食いは最小限にしろ」など、書記が出世の花道の官僚国家らしい言葉が並んでいてマナー講座みたいだった。そうした教訓集などはエジプトの読み書きの学校のテキストになったために大量に書き写されて現代に出土・復元できたということらしいのだが、この内容が4000~3000年前に書かれているという事実に驚く。
「かれらは死んでしまい、名は忘れ去られてしまっても、なお書き物はかれらを記憶させておく」
これは書記を賛美する文書の一節だが、まさにかれら名もない人々の文書がこうしてはるかな時を超えて読み継がれているのだから、まったく素晴らしいことである。