あらすじ
腕利きの職人が集まる紳士服の聖地ナポリで小さな仕立て店を営む織部悠。彼は日本人でありながら伝説の職人マリオ・サントリヨが唯一認めた弟子で、“究めし職人”と称される男である。本巻では、突然の雨にも心強いナノテク撥水生地を使ったスーツや、ヘンプとリネンの素材の違いを意識したシャツ選び…など、依頼人の人生を一変させるプロの仕立て7本+特別描きおろしを収録!!
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Posted by ブクログ
紳士服を題材に取り扱ったこのシリーズ第三シーズンの五巻となる本巻でシリーズ累計50冊目を達成されたとのこと。足掛け15年もの長期連載は見事な物である。
それはさておき、本巻はやや着こなし術的な要素の強い内容で取りまとまっている。order#29では撥水生地のスーツを扱い、30、31で着こなし術を題材にしてジャケットとボトムスをそれぞれ用いた三種の着こなしを紹介している。
この辺はさすがに、長期連載ゆえの題材選びの難しさを感じるところである。33での船医向けの着こなしや34のサマーセーターなど、限定的なシチュでの仕立て・着こなしが題材にならざるを得ない。
短編それぞれの物語は、マンネリ感や時代劇的予定調和は否めないものの面白い。
その意味も含めて、やはり星四つが評価としては妥当かなと思う。短編ではこうした評価が主になってしまいがちであるし、またいずれ、ジラソーレを主題にした中編を描いてもらいたいものである。フィオリ・ディ・ジラソーレであるのだし。