感情タグBEST3
「物語る」「見る」ということのちから。
名越は最後まで己にしか興味がなく(でも、みんな結局そうだと思う。それをどこかで手打ちにして折り合いをつけて生きているんだと思う)、
全てが嘘に囲まれた反動で、一切の嘘や折り合いをつける事が出来なくなり、
人とコミットしても、結局全てに「本当の自分」を求め...続きを読む、俺は何故?俺は何?という自意識への執着に囚われた。見えるもの全てに己がうつるのは当然な流れだと思う。
途中の、虚言癖をやめ(ざるをえなかっ)た辺りは重要な分岐点だったように感じる。
一旦嘘で固められた豪華な自分をやめ、中途半端な場所に居ながら落ち切ることもできない。嘘で固められた自分をやめた筈なのに、本当の自分も分からず、落ちぶれたと感じたくない為に嘘の時の自分を逃げ道の嘘に使う。そのサイクルから抜けたあの瞬間に、どこにもないもの(自分)を求めるより、そして「本当の自分」を求めているようで周囲の目に本当は物凄く過敏だ、表裏一体だ、と、何もない0の自分だけを(どうでもいい周囲に惑わされず)見つめて、そこから今たしかにそばに居る伊藤や世話になっているケンさんらと、ひとつひとつ積み上げて、いずれは実感も取り戻せたんじゃないだろうか。
でもそれは、名越自身が、イタさんに向かって放った言葉と同じで、無責任な感情なのだろう。名越は元々がオールオアナッシングな性質だから、「本当の己」への執着は手放せないのが現実かもしれない。
人の性質とはなんだろう。見たいものしか受けとれないのか。変えられないからこそ性質なのか。人と関わるって、何なのか。悲しく、怖くなる。
本当のトラウマを自らにも隠すためにハリボテの(わかりやすい)トラウマで覆うところや、
何気なく言った言葉や、だれかに向けた言葉は実は己を表しているのは、正に現実でも常に感じている事で、伊藤との掛け合いの中でのえぐりあいの描写など、凄まじい。
山本英夫はのぞき屋のスマイルみたいなキャラ好きですね。作品がぐっと読みやすくなるしかわいい。伊藤、実は責任感強くてめちゃくちゃいい奴。
ラストは星野智幸の「俺俺」も彷彿とさせる。
Posted by ブクログ 2012年09月02日
面白いのか面白くないのかよくわからんけど、とにかく読んだ後いろいろ考えてしまう。
正しいことが良いのか悪いのか。
嘘が良いのか悪いのか。
狂っているのかまともなのか。
狂っているとするならば初めから狂っていたのか、徐々に狂っていったのか。
人間やっぱり顔なのか。
いろんな見方があると思う...続きを読むが正解があるとは思えないことがたくさん詰められている漫画だと思う。頭おかしいやん、と言ってしまえばそれまでだけど。
匿名 2023年02月09日
最初から最後まで一気読みしてしまった作品。最後まで展開が読めず、目が離せない内容だった。ラストシーンはゾッとするし、考察のしがいがある作品でした。
Posted by ブクログ 2012年03月04日
最後、(だいぶ引っ張ってから)結末は読者に任せます、という終わり方かな、と思います。引っ張った分、何がしかの解答が欲しかった気がしますが傑作に間違いありません。
Posted by ブクログ 2011年05月06日
名越の精神世界は最終的にとんでもない規模にまでなる。ハッキリ言ってマジキチです。最後の名越警官には笑っちゃったなぁ。作者が風呂敷広げ過ぎてまとめきれなかった感は否めないけど、なんとか完結させてくれてスッキリしました。
Posted by ブクログ 2011年05月04日
頭蓋骨に穴を開けるトラパネーションをしたことで人の姿や形が化け物ように見えてしまった、主人公名越、ただの幻覚かと思いきや
人の心がどうやらリンクしてその奇妙な形をみせてる様子、
その心の闇を見ることによって人の心に触れ、いいも悪いも解消して行く、
主人公の名越はいったいどこへ向かって行くのだろうと...続きを読む期待をはせた最終巻、最終的には見ることに疲れオレ自身を見て欲しいと、人の様々な奇妙な形は消えてなくなり自分自身へと姿を映す、自分が一番自分をわかってるという表現なのか、ラストの爽やかな笑顔がもの悲しい。
ななこという人物は結局人違いで、自分をわかってくれる人になりかねる人を夏越自身が求め、彼女にとらぱネーションを施すことによりお互いの心を見つめあいつながることで永遠の絆を求めたのだろうか、しかし見えたものは自分自身の顔とのセックス、衝撃すぎる展開に、なんだこれはと叫ばずにはいられない。
人は一人で死んで行くかもしれないけど、一人じゃ産まれない
夏越さん自身がもう少し他者に心を開いていたら、もっと違ったラストになっていたのではないかと思いをはせる作品でした。
Posted by ブクログ 2021年05月05日
カルト的な漫画。途中までは面白く読めました。後半は名越の過去や抱えていたものが分かり、物語が繋がっていくのが分かったが、一方で名越がだんだんと狂っていくのが怖かった。
最後のエピローグにはゾッとする。
Posted by ブクログ 2016年11月04日
数年がかりで読み終わった。
マンガワンのイッキ読み有り難し。
絵で魅せる人だなあ。
結局、名越は誰のことも興味がなくて自分のことだけが好きだったのね。
だから自分が外見やステータスでしか判断されなかったように、
成功者として稼いでたときは見た目の良い女ばかり横に置いていた。
仕事でブイブイ言わせ...続きを読むてたのにバランスが崩れて車暮らし始めて、
伊藤に見出されてホムンクルスが見えるようになってからも、
相手を内面の葛藤から救いつつも、
無意識ではそれだけ相手に見返りを求めていた。
だって、あの女はななこじゃなくてななみって別の女なんでしょ。
それを無理矢理ななこって自分で思い込ませて、トレパネーションするまでは甘いこと言っといて
使い捨てにしてるもんね。
結局は自分しか好きじゃないから、誰からも見てもらえないし、必要とされなかった。
最後は全員自分に見える世界で生きていたもんね。
こういう性格の人って、
伊藤がトレパネーション誘ってなくても破綻してたと思うよ。
Posted by ブクログ 2012年01月15日
全巻通じての感想
前半のワクワク感が徐々に薄れ、
後半は何処に向かってるのか
見えなくなって、ラストは、
えっ⁉そっちなの?みたいな、
モヤモヤ感、腑に落ちない感
満載でした。
星は全巻の平均値、ラストは星二つです。
Posted by ブクログ 2011年05月29日
最終的にそこにホムンクルスが落ち着いてしまうとはガッカリしてしまいました。全巻通して読めば違う気持ちになるのかも知れないけど、大長編が夢オチだったというガッカリ感に似た感じです。
Posted by ブクログ 2013年04月02日
コンプレックスが(擬似的な)外見に表れるって発想はすごく良い。ただ終焉に近づくにつれ主人公の精神面というか気ちがいさについていけなくなり、結末は私には理解出来なかった。ある程度の読解力が必要。
Posted by ブクログ 2011年05月02日
最終章。狂気の名越再来。
結局ななこはどうなったのか。
覚醒した時点で名越のたどり着いた境地に着いてしまったから、
『使えない』ということだろうか。
ここは天国か?地獄か?
すべてが天国への入口であり、地獄への入口だったのだろう。
盛大な題材だったが尻すぼみでやや残念。