あらすじ
もし、おれが僻地の土佐ではなく東海の地に生れていたならば……長曽我部元親は嘆く。強盛を誇った信長が斃れても、素早く跡を襲った豊臣秀吉によって、営々と築きあげてきた四国に侵略の手が伸びてきた。そして再び土佐一国に、押し込められようとしている――土佐に興り、四国全土を席巻した風雲児の生涯。
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Posted by ブクログ
長宗我部元親と嫡子信親、偉大な父と、負けず劣らず才能に溢れる息子。信親の最期は悲しく、さらに妻も亡くした後の元親の絶望した様子は切ない。
そういえば先週の真田丸に末子の盛親が出ていたな。田舎者と自らを小さく思っていた元親だけど、遠い真田の人間にもその勇猛ぶりはつたわっていたんだなあと思うとなんだかうれしい。
とにかく面白かったです!おすすめ。
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「夏草」は芭蕉の有名な句から
「賦」は歌や詩
まず、素晴らしいタイトルだと思った。
急に来た歴史 戦国武将ブーム(自分の中で)
織田信長 豊臣秀吉 徳川家康 ではなく、もっとマイナーなところを攻めたい(歴史を知っている方からすれば有名で怒られるかもしれませんが)
まずは、長曾我部元親。天野純希さんの「南海の翼」がおもしろかったので、司馬遼太郎さんの今作を読ませて頂きました。
司馬遼太郎さんの本は、なんせ上・中・下 ㈠㈡㈢・・・と大作揃いで敬遠しがち、坂の上の雲って面白そうだと思った時もありましたが、勇気がなく撤退しました。
今作を読んで、「え、全然堅苦しい感じじゃないぞ」「違う作品も読んでみよう」と心が弾んだのは大きい収穫でした。
長曾我部元親は現在の高知県を統治していた戦国大名。四国制覇(未遂)を遂げながらも「高知県の」となってしまうところが悲しいです。
四国統一を夢見み進む元親と時代に飲み込まれ、長男・信親を亡くしてからの元親のあまりにも違いすぎる人生。
「もし〇〇だったら・・・」と考えずにはいられない魅力あふれる人物であり、日本人が好む儚さを持つ生涯を送った傑物でした。
人間味あふれるところも良かったです。
Posted by ブクログ
長宗我部元親を描いた歴史小説下巻。上巻は元親が策略を硬軟取り混ぜ、土佐・四国を統一していく様が見ものだったものの、秀吉による四国征伐で土佐一国に押し込められ、毒気を抜かれた感じ。九州征伐の先鋒での敗北・長男の討死と精彩なく、元親死後の長宗我部氏は関ケ原は西軍で組して領地没収、大坂の陣で完全滅亡と精彩なし。史実ではあるものの、小説的にはもう少し盛り上がりが欲しいものですけど。
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下巻は元親の憂悶と葛藤をメインに 悲壮感漂っています…
信長に反攻したものの圧倒的戦力で攻められ とうとう重臣らから「降伏」をすすめられてしまいます。人生の大半をささげた“四国平定”──それによって失われた時間・労力・大勢のいのち。それが無に帰してしまう…そう考えると元親の苦悩はいかほどだったでしょう。しかし国を滅ぼすわけにはいきません、息子・信親に継がせる地を遺さなければなりません。そのためついに元親は信長に対して膝を屈してしまうのです。
その同時期に、明智光秀による本能寺の変が起こり、信長は滅ぼされてしまします。(信長ってほんと・・危機感なさすぎよね!重臣が謀反を起こすとか、考えもしなかったんだろうな)光秀も光秀で、計画性なさすぎ!かなり唐突に行動をおこした感…。もう、信長に苛められ過ぎて、精神失調になってたんでしょうね・・・哀れというかなんというか運もないし色々ひどい。そのあとは御存じの通り、われらが御大将である、豊臣秀吉クンが全国制覇するわけです。ところで司馬史観でみた秀吉が、ユーモラスでチャーミングで情にもろくて気さくなおっさんで、本当にかわいいw司馬先生、秀吉のこと好きだったんだな。
信長亡きあと元親は、この秀吉公に仕えるわけですが、かつての才気はみるみる失われます。つまり老いてしまうのです。かわりに息子君つまり弥三郎信親が活躍を始めます。
弥三郎で一番おもしろかったシーンは、やっぱり嫁さん選びのシーンでしょう!ww女慣れしなさすぎ20すぎて童貞なのを両親が心配し、わざわざ夜伽の女性をあてがう、っての なんかすごいよね…
そのあとは秀吉の揮下で九州は島津討伐にでかけ そこで弥三郎をうしない元親は失意のもと人生の幕を閉じてしまうのでした…。
Posted by ブクログ
強盛を誇った織田信長も本能寺で明智光秀に打たれる。しかし、その跡を襲った豊臣秀吉による四国征伐で土佐一国に押し込められた長宗我部元親。秀吉に屈服した元親は息子・信親に期待を込める。
秀吉による島津討伐の先陣として仙石秀久の元で戦う長宗我部親子。
信親が真っ直ぐで微笑ましい。下巻は菜々やお里の出番が少なくてちょっと残念。
Posted by ブクログ
下巻はちょうど本能寺の変で、信長が斃れたあたりから始まる。
信長が斃れても四国統一は認められず、秀吉の四国征伐、降伏して土佐一国に押し込められることになる。
秀吉が元親を完服させるために、大阪城を案内するあたりが読んでいて面白い。秀吉の人となりがよく描かれていると思う。
最後は最愛の息子信親が戸次川で島津軍に討たれてしまうことになるが、島津の家老新納忠元が打ったことを悔やみ、泣いて詫びるところが、哀愁がある。
信親が生きていれば四国はどうなったのか、思わずにいられない。
ちなみに、漫画のセンゴクで、長宗我部は格好良く描かれていたので、私の脳内ではそのキャラ造形で再生していた。
そういえば、センゴクでは元親の都市計画が語られており、すごい興味深かったが、この司馬さんの物語ではあまり語られていなかったのが心に残った。
Posted by ブクログ
秀吉の前では、元親はもはや赤子のようだ。
上巻では四国にて獅子奮迅の働きを見せていた元親も、天下人とその取り巻きにはなかなか勝てそうもない。
Posted by ブクログ
本能寺の変で辛くも信長の手から四国を守った元親だったが、信長に代わり秀吉が四国へ攻めてきた。
家臣に説き伏せられ、また土佐一国になった元親。秀吉に登城を命じられ秀吉の器の大きさ、土佐の貧しさ、田舎ぶりを思い知る。
夢を失い、土地も失い、多くの犠牲への報いもできず、鬱々と過ごす元親。
唯一の希望は匂やかな美丈夫に育った弥三郎だったが。
まっすぐで清すぎる息子に不安も感じる。
「腹中に三百の悪徳を蔵った一つの美徳を行じよ。それが大将への道だ。」
弥三郎に女をモノのように扱えといいつつ、菜々を大事にしている様子が微笑ましい。
大阪ほど金品に恵まれてはいなかったけど、家族としては幸せそうな長曾我部一家だったのに。
「おのれのみが正しい」と頑なになっていく元親。
そうそう自治会の会合で意見がまとまらないのって元お偉い様だった男性陣の頑ななさのためなんだよね。
情報を得て使うことにしても、今と通じることが多いな。