あらすじ
天下取りの見果てぬ夢を追い求めて関ヶ原盆地に群れ集った十数万の戦国将兵たち……。老獪、緻密な家康の策謀は、三成の率いる西軍の陣営をどのように崩壊させたか? 両雄の権謀の渦の中で、戦国将兵たちはいかにして明日の天下に命運をつなぎ、また亡び去ったのか? 戦闘俯瞰図とも言うべき雄大な描写の中に、決戦に臨む武将たちの人間像とその盛衰を描く、波瀾の完結編。
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Posted by ブクログ
関東から西へ向かう軍勢。去就を決めかねる各大名家。
江戸から動かない家康と岐阜の東軍。家康の策謀により崩壊する西軍。
九鬼や真田など各大名家の去就や、岐阜城の戦いなど関ヶ原へ向かうまでの物語が良い。この小説の石田三成は本当に不器用で、自分でドンドン味方を減らしていく…。あれだけ走り回った島左近の最期は割とあっけなくて残念。
Posted by ブクログ
義と利
最期、石田三成が義を貫いた?思い出した?
シーンも感動です。
ボタンの掛け違いのように、思い込みで負けた光成。
石橋を叩きすぎる家康。
性善説の光成。
性悪説の家康。
少しの違いで歴史が変わるのかと思えた、
非常に読みごたえがありました。
Posted by ブクログ
関ケ原の戦い。その結末を知っていても、細かいことは知らずにいた。実は戦をする前に勝敗は決していたともいえる。
幼いころからテレビで見ていた時代劇はたいていが潔癖な正直者正義漢が勝つものだった。しかし、この戦国時代はもっともっとどろどろの義や恩よりも利や保身を探って動く実に腹黒い政治力によって生き抜き合戦があったようだ。
そんな中で西軍の大谷吉嗣や島左近たちの命を惜しまない男気のある戦いぶりは実に爽快だった。その家来たちも負けるとわかっていながら大将の「逃げよ」という勧めにも従わず、堂々と死地に赴いていく。この潔さは胸をうたれ、深く余韻が残った。
一度は逃げた石田三成もかくまってくれた農民に被害が及ぶのを憂い、やがて東軍の追手のもとに身を捧げている。皆、いさぎよく死んでいく。
現代は生きてるだけで儲けものという言葉をよく聞く。もちろんそういう時代である。だが、この小説の時代は死ぬことの美学があり、あっぱれな死に様は名誉尊厳とともに後々の今になってもなお、息づいている。
もしこの時代に将軍としての身分があったなら、自分は決して家康のような切れ者にはなれないし、悲しいかな石田三成のように生き下手で人間感情に鈍い武将であったと思う。できれば友情、義を重んじいさぎよく死んでいった大谷吉嗣に憧れる。決して小早川のような後代数百年後まで馬鹿にされるような将軍にはなりたくなかったと思う(わからんけど)。
最後の初芽と黒田 如水を登場させてこの物語を締めくくったのは血生臭い戦の物語をそこそこきれいに洗い流してくれたように思う。
上巻は8日間で。中巻は3日。下巻はほぼ1日で読んだ。