あらすじ
福祉事務所に配属された新人公務員・義経えみるは、
ケースワーカーという、【生活保護】に関わる仕事に就くことに。
そこでえみるは、生活に困窮している人々を支援することの難しさに直面。
悩みながらも、「ちゃんと人の相談に乗れる人間になりたい」と感じ、日々奮闘している。
そんな中、日下部さんという4人世帯の担当となったえみるだっだが、なんとそこで、高校生の欣也君が母に内緒でアルバイトをしていることが発覚。
アルバイトの収入申告がなされていなかったため、生活保護の「不正受給」となり、欣也君のアルバイト代を役所に返さなければならないことになり!?
果たして、緊迫の【不正受給編】の行方は!?
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夢のおいかけかた
少年少女が、将来の夢をそれぞれに持ち、未来を思い描くことは、誰にでも平等に与えられた権利であることは、間違いありません。
ただ、現実には、家庭の経済事情により、生活環境により、それをあきらめなくてはならない瞬間が来ることも、現実として、多々あります。
どんなに頭脳優秀でも、山間部の深くに生まれ育てば、県トップ校に合格できる実力がありながら、独り暮らしなどできる経済的な余裕がなく、地元で頑張るしかない。
かりに、都心部に住んでいたとしても、スポーツや芸術にどれだけ秀でていても、強豪校に入ってそれを続けていくには、相当のお金がかかり、また、それを学ぶ学科が私立にしかなく、同じく、あきらめざるを得ないことも、往々にしてあります。
そこまで優秀でなくとも、うちにはお金がないとの理由で、部活動をあきらめる子供など、それこそ星の数ほどいるものです。
本作での受給世帯の少年が、どれだけの熱意で、ミュージシャンにあこがれていたのか、プロまで目指していたのかはわかりませんが、バイトをしてギターを欲しがる気持ちはよくわかるのですが、もう児童でもないわけで、保護世帯でなくとも、家計を助けるためにファミレスで自分のお小遣いを稼ぐ、中には丸ごと家計に預けるという子供もたくさんいるものであり、けして「保護世帯なら、遊ぶな。夢を追いかけるなど甘い。」と言うものではありませんが、この年齢ならば、母親を助けながら「現実の打開」に向けて、ともに努力していくことも、十分に求められるところではあると思いました。
まあ、世の中には、生活困窮を理由としての補助金や貸付金の申請理由に「子供を、俳優養成学校に通わせるため」と、大真面目に書いてくる人もいるそうで…
多くの少年少女が、夢と現実の違いを、残酷なまでに目の前に差し出されることに、保護世帯もそうでない世帯も、さして違いはないかと思います。
そこに「保護世帯の子供には、夢をおいかけることも許されないのか!」と、役所に乗り込んでくるセンセイや、団体の方々もいるようですが、「うちはお金がないから、ラグビーあきらめる。」「返還不要の奨学金で、国立大に通うぞ」と、現実を見据えて前進する子供たちは、たくさんいることを、わかってほしいと思いました。