「私の名を残せ 王の名だ」
1450年代のイギリスでは、ランカスター家とヨーク家が王位継承をめぐる「薔薇戦争」を繰り広げていた。ヨーク公爵リチャードの息子として生まれたリチャードは、実の母に「悪魔の子」と呼ばれながらも、父や兄たちと王冠をヨークのものにするため戦っていた。一方ランカスター朝ヘンリー6世は、戦いで血が流れることに苦しみ精神を病んでいた。そんな2人がただのリチャードとヘンリーとして出会い、友情とも愛情とも言えるものが育っていく。互いの運命を知ったとき、2人は何を思うのか。30年に渡る戦いの中を生きる2人から、一時たりとも目が離せない…!
「他の人と違う」リチャードにとって「父の名をもらった」ということが、心の支えになっていたのは間違いありません。しかしそれと同時に枷にもなっていたのだと思います。父を自分の光であり、生きる意味だと考える彼が、その父の亡骸に対面し口づけたシーンには鳥肌が立ちました。王の名を継いだ者は、必ずしも王冠を求めなければいけないのか、一人の人間としてただ生きていくことはできないのか、リチャードの幸せは何なのか、多くのことを考えさせられる作品です。
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せつない
兄弟がまとまって、とりあえずよかったです。
ヘンリーへの気持ちがようやく自分でも受け入れられるようになったのに、残酷な再会。
Posted by ブクログ
ついに戦場で出会ってしまったリチャードとヘンリー。すごい良いところで待て次巻!どうなっちゃうのこれ…!しかし、今回個人的にはケイツビーに持ってかれました( ˘ω˘ )永遠に結ばれないとしても傍にいたい人…あれはつまりケイツビーにとってはリチャードってことですよね!?ケイツビーーー!!!
Posted by ブクログ
まさに悲劇! 本家のシェークスピアには勝るとも劣らず!リチャードとヘンリーの愛憎の物語は周囲を巻き込んでいく。
リチャードを破滅に導くのは敬愛する父か、それともジャンヌ・ダルクか……。
女がこんなに怖い話もない"(-""-)"
Posted by ブクログ
巻を追うごとに存在感が増してきたウォリックだが、この巻では事実上の主役。何とも格好良い。
死亡フラグが立ったウォリック。と思ったらやはり死亡退場。エドワードの腕の中で息を引き取るのだが、あの時のへいかとのつぶやきは懐かしいヨーク公爵に向けられたものなのだろう。プランタジネットの両王家とネヴィル家とは幾重にも血縁関係があるのだが、作者は今までそれに一切触れずにきた。が、この期に及んでヨーク公爵リチャードとウォリック伯爵リチャード・ネヴィルが叔父甥の関係にあることに言及。これって読者の混乱を招くのではないだろうか。そう言えば、ウォリックの洗礼名がリチャードだということも出ていなかったし、読者の90パーセントは彼の名前をウォリック・ネヴィルだと思っているんだろうなあ。