あらすじ
木星から帰還した男がサイド3で見たものとは……。あの戦いの真実にカイ・シデンが迫る。
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良作!
ネタバレありですのでご注意を。
宇宙世紀105年…、つまり1年戦争の終結から25年、第二次ネオ・ジオン抗争(逆襲のシャア)終結から13年、ラプラス事変(ガンダムUC)終結から9年、そしておそらく、「マフティー動乱」(閃光のハサウェイ)の終結直前の時系列に位置する物語。
(マフティー動乱の直後という意見もあるが、2巻の某人物の発言からすると、まだ水面下の段階で大事件は起こしていなさそう)
物語はジオンの本拠だったサイド3で開催される、「1年戦争WB展」を中心に進む。
それにゲスト及びアドバイザーとして招かれた元WB隊クルーのカイ・シデンが、実際の1年戦争当時を振り返りつつ、現状にも鋭く切り込んでいくというもの。
過去の振り返りと言っても既知のシーンではなく、WB内の何気ない日常のシーンであり、一方でその中で当時の情勢を上手く織り込んでいるもので、懐かしさと共に興味深い。
物語中「現代」となるシーンでも、WB時代の遺品を見て思い出を振り返りつつも、現代社会にも残るきな臭さ、さらには将来発生する出来事(F91へ繋がる話)の事も触れられている。
という事で、ファースト以来のガンダム好きには堪らない内容。
情勢分析も深く、ともすれば難解にも感じる面もあるが、じっくり読めばさらに色々見えてくるだろう。
「これぞ外伝」というべき内容であり、2巻で完結するという適度な長さも含め、ガノタにはぜひ読んでもらいたい作品。
また、仲間たちとの大切な思い出を振り返るという面では(そして、多くの仲間が既に亡くなっているという現状では)、「葬送のフリーレン」などにも通じるせつなさも感じられる。
一方で、1巻の話末に出てくる作者へのインタビューでは、まだ「現代」がいつかを明示せず、2巻以降の展開にかなりの含みを持たせた描写だった。
シャアが登場するかもとか、ロゼの両親に秘密があるように匂わせていたり。
結局2巻ではそれらに触れられることなく、また「現代」もいつかなのか2巻冒頭の本編外でアッサリ明記されたことなどは、ちょっと残念。
2巻しかないが連載が3年を超える長期にわたった事、2巻の後半の内容がかなり詰め込み気味になったと作者自身も言っている事を考えると、連載上の流れで変化が生じたという事かな?