【感想・ネタバレ】炎立つ 弐 燃える北天のレビュー

あらすじ

黄金の輝きが招いた戦乱を制した安倍頼良・貞任父子だが朝廷は源氏の総帥源頼義を陸奥守(むつのかみ)として任命した。安倍一族と源氏の永い宿命の戦いがいま始まる。朝廷側に身を置きながらも、蝦夷たちの真実に触れ、藤原経清(つねきよ)はもののふの心を揺さぶられる。後に「前9年の役」と歴史に記される戦いへと時は流れる。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

源頼義が陸奥守に任命され多賀城へ。
安倍のため、奥六郡のため忍耐を貫く頼時ら安倍一族だが、源氏の名を確固たるものにし義家に継がせるという頼義の執念が再び戦さへと向かわせる。
経清は頼時の娘・結有と結ばれ、従五位の位を授けられて亘理権太夫となった。そして陸奥守代理に。
頼時からは、安倍の血を守るためにも安倍と縁を切るよう申し渡されたが、頼義の謀略により永衡を失ったことが安倍への離反を決意させる。
永衡の最期が辛く、涙した。
経清の士道は真のものだが、それ故に散るのだろうなぁと、黄海での義家との邂逅から思う。

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2022年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東北にスポットを当てた歴史戦争もの。西国が日本史の主流だけど、東北でこそ雪をも熔かす熱い戦いが繰り広げられていた。



 戦が始まった!源頼義との闘いが始まったぞ!!アツイ!アトゥイ!!心昂るぅ!!!謀略、謀略ぅ!!!

 源頼義のずるさが出る。でも、武士は武士だった。この頃からこんなに武士の倫理はあったのかなぁ?

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p9 鬼切部の後
 藤原登任というアホ陸奥守を安倍頼良が誅伐してその後、新たな陸奥守の着任は遅れた。朝廷は登任という誤った人選をしたことを自分たちの責任と認めてはいけない。次の陸奥守はきちんと実力のあるものを選んで、安倍氏を力でも支配における者を置かないと、後の反逆の種を撒いたままにしてしまうことになる。

p21 戦しかない
 源頼義が新たな陸奥守に決まった。朝廷としても武士団の伸張は快く思えない。しかし、東北の東夷の勢力がこれ以上大きくなるのも快くない。目には目を、武士には武士をということか、頼義の派遣が決まった。これはもう、戦になることを見越しての人選である。それも、勝てる戦を見越しての源頼義の派遣である。
 朝廷の貴族は自分たちでは戦をしない。他人事だから東北の地の戦乱も軽く決める。この戦争で何万の兵士が死に、その家族が悲しみに暮れ、苦しい生活を送るようになるのか。考えもしないのだろう。そういう時代だった。

p36 噂で尾ひれをつける
 頼義が陸奥守に任じられてから、それまで東国のことなど何も知らないような京の民に、俄かに東国に危機が迫っているという噂が広まった。東国で安倍氏が挙兵すれば京に攻め込み政権を奪う大合戦が起きる。そうなる前に朝廷は軍を派遣して平定してほしい。そういうように派兵はもはや民の要請になっているようだった。
 この噂はおそらく源頼義から発信されている物だと経清はいった。もし頼義がさくっと東国平定を成し遂げも「なんだ大したことなかったんじゃん」で終り、手柄にならない。仕事をする時は、手柄を大きくするために、敵は大きく仕立てるのができるやつの仕事である。

p223 発端
 源頼義は何としても安部氏と戦をしたかった。何もしないまま帰ったところで何もない。問題はどうやって戦の口実を作るかであった。在任中、何度も安部氏に挑発をかけるも、無為に終わった。
 そこで頼義は安倍貞任に罠をかけた。頼義の軍団に護衛で就いた貞任の部隊に「頼義は貞任を罠にはめて夜討ちにかけるつもりだ、逃げろ。もし逃げなければ、頼義を奇襲したという罪を捏造され、戦争開始のきっかけにでっち上げられるぞ、逃げろ。ちなみに、陽動に使うから安部氏の旗を貸してくれ。」と密告を装い、貞任から安倍の旗をもらい、それで貞任軍を装い頼義軍に襲撃を捏造しようとした。
 ところが、義家が天然ボケを発揮してこの罠をかける前に、工作員に出会って殺してしまった。計画台無し。それでも頼義はゴリ押しで貞任の奇襲作戦を捏造し、開戦に持ち込んだ。

 不正義!!

p285 試される
 藤原経清と藤原永衡は安倍と懇意になったが、自分の職務に順じて義頼側に付いた。しかし、頼義は二人が敵方に密通していないかを試した。そのために初戦は二人に命じた。
 経清としてもこんな戦はやりたくない。初戦もできるだけ小規模なものにしたかった。それはうまくいった。でも流れ矢で負傷した。でも、その傷のおかげで疑いは晴れた。
 しかし、永衡は無傷だった。ということで疑念は晴れず、処刑されてしまった。とはいえ確証はないのでほぼ暗殺だった。切腹ではなく背中からブスリと。
 自白を強要し、それでもだめで、「逆心を疑われるとは武士の恥だから腹を斬れ」という無理強いをした。それでも聞かず、殿の前でなら腹を切るというところまで粘った。だからもう、背中からブスリと。

 経清はこれで頼義に愛想を尽かした。


p302 切腹の意味
 永衡にそこまで切腹を迫ったのは、あくまで逆心の罪を認めさせたかったからである。今も昔も取り調べの方法は変わっていない。自分で罪を認めさせて、正義を作り上げるのである。
 とはいえ、切腹させることには失敗した。背中の傷を隠せるように全力で工作した。

 ああ、不正義。

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 結局、頼義は敗走した。正義は勝つで終わってすごくスッキリだった。

 でも歴史では安倍氏は敗れる。このあとが楽しみでしょうがない。

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2015年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第二巻は源頼義の陸奥の守赴任から、頼義の策謀による戦いの再開と黄海の合戦での敗退まで。
前九年の役は詳しい資料があまりないとの事。アテルイもそうでしたが、史実以外はかなりの部分が作者の高橋克彦氏の想像(創造)で、それがかえって制約なく、面白さにつながっているように思えます。

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2014年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平安後期の陸奥を舞台にした全五巻の長編。
第一巻~第三巻はいわゆる前九年の役での安倍氏と藤原経清、源氏を巡る話。
第四巻は藤原経清の遺児、清衡が後三年の役を通じて安倍氏の血を再興するまでの話。
第五巻は奥州藤原氏が滅亡する際の源義経との関わりを描く話。
率直に言えば、第一巻~第三巻が最も見どころ(読みどころ)がある。個性の際立つ安倍貞任、藤原経清、源義家の交流と戦場での邂逅に心踊らされ、それぞれ異なる立場での苦悩に多くを考えさせられた。史実として知られていることが少なく著者の自由な想像力を働かせる余地が多かったのだと思う。読者として既に多くを知ってしまっている戦国・幕末あたりの題材と比較して自分にこの時代の知識が少なかったのも先の展開の予想がつかない面白さにつながり、あっという間に読み切ってしまった。

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2012年08月26日

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