あらすじ
記憶を失った女性が手にしていた国防機密の図面。それを巧妙に掠め取った男に対する岬美由紀の過剰な暴力に周囲は困惑する。その様子を分析した臨床心理士の嵯峨敏也は彼女の暴力に一定の傾向があることに気づき慄然とする。そんな中、時折フラッシュバックする相模原団地の風景の謎を解き明かすために現地に乗り込んだ美由紀が目にしたおぞましい情景とは。最大の謎の核心に迫る――すべては今、白日の下に。
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Posted by ブクログ
相談者から受けた相談から、いつになく冷静さを失い、暴走して私的制裁を加えてしまった美由紀。刑事裁判の被告にとなってしまう。嵯峨(久しぶり!)は、美由紀は性的暴力と少女の要素に反応すると仮説をたて、美由紀の精神鑑定を要求する。美由紀は過去を探るため、時折フラッシュバックに現れる相模原団地へ向かうが、そこでの犯罪行為に気付き、藍とともに囚われてしまう。
Posted by ブクログ
民間人を暴行した国家機密調査員に対する美由紀の暴力制裁に、嵯峨敏也が美由紀にある一定の暴力傾向があることにきずく。米軍基地内にある日本人町。時間の流れが止まったようなその町に美由紀はデジャブを感じる
Posted by ブクログ
上下巻読み通しての感想
ずっとこのシリーズを読んでいた者としては衝撃的な物語でした。
はっきりとではないけれど、何となくかすかに「何かあるのでは?」と感じていた部分もあったので、「これだったのか!」と納得する面もあった。
考えるよりも先に行動している。
そんな美由紀が、この物語ではいつもとは少し違った様相をみせる。
自分自身に対して不安を抱き始める場面では、「そんなに自分ひとりで背負おうとしなくても」と思いながらも、やっぱりその方が美由紀らしいと感じてしまった。
美由紀以外のお馴染みのメンバーに見せ場があり、それぞれの立場で美由紀を助けようとする。
伊吹をはじめ、藍や嵯峨、成瀬や蒲生までが登場する。
美由紀に施された処置は、あの時点での彼女なりの優しさだったのだろうか?
それとも、まったく別の意図があったのだろうか?
今となっては真実は知ることは出来ないけれど、無理やり捻じ曲げた記憶は、やがて歪んだ影響を美由紀に与えることまで彼女は予想していたのだろうか。
あまりにも衝撃的な内容に、「ん~…」となってしまった。
過去を知り苦悩した結果、さらに成長した美由紀の姿が見られるラストシーンがいい。
美由紀の最後の台詞が、よりいっそう物語の余韻を強くしていた。