あらすじ
会津改め斗南藩としての北地転封は、挙藩流罪に等しいものだった。少ない石高により、荒涼の大地で困窮の生活をおくる人々の支えは幼少の主君容大と旧藩主容保の存在。だが、廃藩置県の非情の命が、藩士と主君を引き裂く――。故郷を奪われた会津藩士達を描き、勝者に歪められた事実を敗者から検証する。明治百年を経た今こそ必読の現代日本再生の示唆に富んだ歴史大河小説。
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Posted by ブクログ
“続”以前の部分では、史料引用がかなり混ざり、“地の文”が非常に目立ったのだが、この“第4巻”は“小説的表現”で綴られた部分が非常に多く、他方で余り広く知られていないかもしれない“斗南”の物語が確りと伝わる。『会津士魂』は大変高く評価されて賞を受けた経過があるそうだが、ある意味ではこの“続”の“第3巻”から起こされる「斗南の物語」はその“受賞作”よりも読み応えがあるかもしれない。
“斗南藩”は地勢や産業の知識が豊富な人材を欠いたまま苦闘し、時代の変転の中で「幻」のような存在になってしまったが、今でも下北半島等には会津家中に縁の人達の後裔が多く住んでいるという…この辺の話しは、意外に興味深く拝読している“巻末エッセイ”にあった。この巻では、斗南の地にある青森県むつ市の、出版当時の市長が綴ったものが載っている。