あらすじ
遥か後世まで伝えられるこの合戦には、いかなる意味があったのか……!? 人々が飢饉に喘ぐ小氷河期の時代、生への道を指し示す者たちの壮大なる戦記、ここに完結!! 死中に活を求める織田信長(おだ・のぶなが)が、今川義元(いまがわ・よしもと)の本陣へと迫る!! 戦国時代とは何か!? 乱世とは何か!? 答えは運命の地・桶狭間にある!!
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Posted by ブクログ
米と銭、兵制など時代の変革期のまさに狭間に存在する両極端な要素を今川義元(研ぎ澄まされたクラシック)と織田信長(パンク)をメタファーとしておもっくそ詰め込んで時代そのものをデフォルメしたかのように思える桶狭間戦記がついに完結。
緻密なようでいて主題はばっさりデフォルメしている(と思う)ので、作者(とサポートする歴史研究家の方々)の史観が非常にわかりやすく伝わった佳作でした。
それでいて単なる軍記物として読んでも面白い。この最終5巻での今川方の名将、松井、岡部両将の動き、今川旗本衆の戦術確認、それをひっくり覆そうとする織田軍(のこの作品でのアイコン的存在、服部兄弟の持論)など見応えがあります。
その服部兄弟&毛利新助を相手に大立ち回りをする『猛将』今川義元最期の奮戦も講談・軍記などで伝わるものをベースにじっくりとスリリングに描かれています。最期の最期はちょっとできすぎで漫画っぽいんだけれども、でもイイ(・∀・)!!
時代を先取りしていたはずが、いつの間にかその路は本道ではなく先のない袋小路になっていた残念な運命に呑まれる完璧で美しい思想の天才、今川義元の生涯を堪能できる作品です。