あらすじ
救命ポッドの冷凍睡眠から目覚めたギアリー大佐は愕然とした。なんと救出されるまでに百年がたっていたのだ。しかも、わが身を犠牲にして味方を脱出させた軍神にまつりあげられている始末。そんな彼に与えられた任務は、敵の本拠星系に攻めこんだものの大敗し、満身創痍となった艦隊を、司令長官として無事に故郷へと連れ戻すことだった! 周囲を埋め尽くす強大な敵艦隊を前に、はたして彼がとった驚くべき奇策とは……!?
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Posted by ブクログ
新章が発売されてたので復習のため再読。面白いね、いわゆるスペースオペラなSFで主人公の戦艦がやられて脱出して脱出装置の冷凍睡眠から目覚めたら100年が経過してて自分は英雄になっていて絶望的な状況の艦隊を任されてしまうと。作者が海軍出身てのもあって艦隊の雰囲気がよく出てていい。ご都合主義でうまく行きすぎるって評価もあるけど逆にテンポがよくなってサクサク進むから個人的には気持ちよく読めていいかなって。
Posted by ブクログ
百年の冷凍冬眠から偶然に蘇生させられたギアリーは、不本意ながら、星々から使わされた救世主として祭り上げられる。目覚めた場所は、敵地の奥深く、それも大規模な敵艦隊の目前。味方は艦隊戦で大敗したばかり。タイミングとしては、物語において最大のピンチと言ってかまわないだろう。
遠い未来世界の物語なのに、宇宙艦隊における信仰心は、とても厚い。軍人たちは、超越的存在である星々をあがめ、先祖の霊を身近に感じている。そのような環境のなかで、ギアリーは、神がかり的な英雄として崇拝を受けることになるのだが、ギアリー自身は自分が英雄などではないことを知っており、周囲からの大きすぎる英雄視との間に、齟齬を感じ、苦悩することになる。おまけに、百年ぶりに目覚めた彼は、ちょっとした知人すらいないので、孤独感にさいなまれることになる。
また、宇宙艦隊は軍隊組織であるにもかかわらず、意思決定の仕組みがトップダウンではなく、艦長会議という合議機関による評議制度というのも面白い(蘇生したギアリーにより真っ先にトップダウン式へと改善されるのだが)。
以上のような、不合理ではあるが、細かく丹念に設定された世界を語るナラティブは、情緒的でなく、クールで、ハードボイルド小説に近い。
やがて、物語中の時間が経過するにつれて、「伝説の英雄」ギアリーに対する神秘的な期待は、低下して行くだろう。というのは、ギアリーと、その他の人々が共に過ごすうちに、ギアリーの人間的な部分についての理解が深まるからである。
神秘的な期待が低下する代わりに、ギアリーは次々に敵艦隊を撃破し、軍事的な実績を上げることにより、現実的な評価を人々から受けるにいたる。
この作品は、百年後に蘇生した「伝説の英雄」が、時間をかけて現実の英雄へと様変わりしていく物語と言える。