【感想・ネタバレ】夜行堂奇譚 下のレビュー

あらすじ

弟子入り先を破門されてしまった桜千早は夜行堂へと導かれ、成り行きで使い走りとして仕事を始める。夜行堂と特別対策室の依頼をこなす千早は、やがて業務の効率化の為に大野木の家に居候となることに。県庁の大野木に届いた依頼は、息子の変化に戸惑う母親からのものだった。訪問するとおかしくなるという都市伝説のある大学寮の廃墟。肝試しにいった息子は戻ってから様子がおかしくなり、部屋から一歩も出なくなってしまったという。一緒に行った友人から話を聞こうと、面談に訪れた青年はひどくおびえていた。大野木と千早は二人で話を聞くことに。多発する怪異には、人の情念や想いが、人ならざるものと混じっている。それらが引き起こす、数々の呪いと悲劇。それら怪異をあざ笑うかの如く静観する夜行堂店主の真の目的とは……。文庫化にあたり、上下巻それぞれに短編を書き下ろし収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

上下巻まとめての感想
『夜行堂忌憚』は、「バディ×オカルト×怪談×謎解き」という好み直撃の要素満載。帯を見て思わず手を伸ばしてしまった。短編連作で軽快に読めるが、高校を舞台にした狗神による惨殺シーンは強烈で、小野不由美『魔性の子』を思い出した。『魔性の子』が中国由来の妖怪観を背景に異界の侵食を描くのに対し、本作の狗神は日本の民間信仰や祟り神の系譜に近く、土着的な恐怖を孕む。両者に共通するのは、人間には理解できない異界の理が日常を破壊する瞬間の不気味さ。軽い読み口ながら、異界観の比較という思わぬ深みを味わえた。

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2025年08月11日

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