あらすじ
戸惑いつつも、お互いに恋を認識した、魚住真澄と久留米充。
その関係は秘密をはらみ、進化する。
そんな中、2人が過ごした久留米のアパートが経年劣化で取り壊されることになり、久留米は会社の寮に移ることに。
一方、PTSDの症状に苦しめられつつも研究に励む魚住に、アメリカ留学の話が持ち上がる。
変わりゆくもの、変わらないもの。
失われてしまったものと、新たに生まれるものたち……。
青春群像劇、感動の最終巻。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
榎田先生の作品は、読めるものは読んだ。中学の時に読んだ宮廷神官物語が初めて手に取った作品だった。高校になって読み直して、妖琦庵夜話も読んで、その後に交渉人も、ラブトラも、猫とメガネも死神シリーズも読んだ。その上で魚住と久留米の5作を読んだ。
原点だと思った。先生の作品には、どうしても死が薫る。伊織先生にも、芽吹さんにも、鶏冠にも。その中で彼らは""自分""であろうとして、生きていた。もがいていた。その源流にいたのが、先生の中にいた魚住なんだと思った。
魚住は、生きるのが下手である。いや、下手というより、あれだけの惨事を引き受けた身の上でありながら、引きずられずに生きていられる点においては生きるのが上手なのかもしれない。それでも、久留米と、マリさんや大学院の人たちと関わることによって魚住は、川の中から引き上げられた。清濁を合わせ飲んで、感情を表す術を得て、自分のトラウマと共に生きていく。少しずつ、""上手""に生きていこうとするのである。
魚住の一歩一歩が、彼にとっても大きいものであるだけでなく、読者である私にとっても大きいものであった。いつか、取らないといけない選択がある。のらりくらりと流されていてはいけない大きな選択がある。そのときに、私はどうするのか。院進を目指す今だからこそ読んで大きな影響を受けてしまったと思った。
榎田先生の文章は、淡々とする中に大きなものを隠す。重い過去、恋心、そして生きる意志。なにか迷ったときに戻ってきたい碇のシリーズだなと思った。読んでよかった。
Posted by ブクログ
全5巻とおして、生と死を考えさせられた
毎回泣けてしまい、また読みたいなと思うシリーズ
BLだけど、それを超えて大きくなったら子供達にも読んでほしいと思う
薦めるには少しドキドキしちゃうけど!
愛と人生…
魚住くんが幸せでいてくれたらいいなと心から思った
Posted by ブクログ
全5巻。ついに読み終わってしまった。
最終巻である「夏の子供」が1番好きだ。
太一と魚住のふれあいが温かくて微笑ましくて、とっても好き。
あ、あとお祖母さんお手製の肉団子が食べたい。
沢山の出会いと同時に、沢山の死が描かれているシリーズだった。
魚住を通して、いつか迎える大切な人との別れ、自分自身が居なくなったあとのこと、そしてそれは突然訪れるのかもしれないという現実を考えざるを得なかった。
魚住のあまりに不運な生い立ちに胸を痛め、久留米やマリ、サリーム達との出会いを得て取り戻していく魚住の人間らしさに胸が温かくなる。良かったね、と魚住をだきしめたくなる。
このシリーズに、みんなに出会えてよかった。
魚住と久留米の関係にはヤキモキしたりもしたけど、魚住には久留米じゃないとだめだし、久留米には魚住じゃないとだめなんだよな。なんて温かくて素敵な関係。いいなぁ、いいなぁ。どうぞ末永くお幸せに。
表紙のイラストもとても良い。
5冊とも読み終わった後に改めて表紙を観ると心にじんわり沁みる。
はあ、良いシリーズだった。
Posted by ブクログ
あ〜読み終わってしまった、、、
でも魚住と周りの人々の人生は川の水のようにゆるやかに流れて続いていくんだなと思える、本当にほんとうに良い終わり方でした。
「そうだよね、人は生まれるんだよね。死ぬ人もいるけど、生まれる人もいるんだ」(p.319)
魚住のこのセリフが全てだった。
最初にこのシリーズを読んでから8年の間に私も大事な人を何人か亡くし、心の病気にもなりました。なぜ今この本を再読しようと思ったのか自分にも説明はつきませんが、何か導かれたように思えます。魚住と周りの人々の言葉に私は何度も救われました。
「全然知らない人が死んでも、べつに悲しくないでしょう?ちょっと知ってる人だと、やっぱりちょっとショックで、大好きな人だと、それはもう……悲しい」
だから、と魚住は続ける。
「すごく悲しいっていうのは、悪いことばかりじゃないのかな、とか」(p.297)
欲を言えば久留米のバックボーンをもっと覗き見たかったな、とか、響子ちゃんやマリ、濱田の日々や魚住と久留米の幸せな日常なんかももっともっと見たかったー!なんて思ってしまいますが、またどこかで彼らに会えることをひっそりと願って、傷とともにゆるやかに嫋やかに私も生きていきたいと思います。
これがデビュー作だなんて本当に…榎田先生に出会える人生で良かったです。そして手に取りやすい文庫にしてくださった関係者の皆様にも心から感謝申し上げます。
さいこう
ただ2人の恋愛の話だけが書かれているのではなく周りの人達の話まで深くかかれていて、登場人物一人一人に愛着が湧きました。真澄の感情がだんだん豊かになっていくのがとても嬉しく感じました。
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シリーズ通して。
スラスラ読めるけど重いっちゃ重い。
マリちゃん、頼れるアネゴで大好き。
物語〜!!って感じでリアリティは薄いんだけどそこを面白く読み進められるから榎田先生すごいなぁ。これでデビュー作だったの天才以外の言葉見つからない。
榎田先生の言葉選びが好きでリストにめっちゃメモした。
Posted by ブクログ
去年読んで最終巻手前で止めてたシリーズを夏の塩から読み直し、ようやく最終巻まで読みました。
読めなかったのは飽きたわけじゃなく、もったいなくて。
読みながら薄々感じていたものが確実になって、泣きながら読みました。メッセージの時泣いたのとはまた違う、なんだろう。
普通、BL、というかこうした同性愛ものだと嘘みたいにハッピーエンドだと思うんだけど、途中からBLなのか?と思うくらい二人の関係が自然なものになって、またテーマがもっと重いものが見えた。別にバッドエンドでもない。ハッピーエンドでもない。そうした括りが必要ないほど、自然に流れていく終わり方。
辛い、けど『進んでいる』。
辛い別れが多いほど好きな人が多かったんだ。幸せだったんだ。
死んだ時、誰かが悲しんでくれて、でも引きずらないで、でも時々は思い出してもらって。それでいい。
魚住真澄というキャラクターを通して、『生と死』についてずっともやもやしてたものが少し晴れた気がする。
作者に諭されていたように感じた
大好きな祖母がなくなった時といろいろ重なって、辛いけど励まされた。
『夏の塩』を読み始めた時は予想もしなかったが、本当に読んでよかったと思うシリーズだ。
Posted by ブクログ
喪失を抱えながらもなお生きる。
生きていたら誰もが直面する誰かの死。大切な人であればあるほど辛いその死は私たちの心を抉り他の誰かで埋められるものではない。この物語では、その傷を無理に塞ごうとは誰もしない。むしろその大切な人への感謝の気持ちを持つことを、教えてくれる。私にとってあなたはこんなにも大きな存在だったのだと。
人と関わることを恐れないで、失うことを恐れないで、生きる。優しい気持ちになれる物語だった…。
Posted by ブクログ
魚住くんシリーズ(全5巻)
『夏の塩』
『プラスチックと二つのキス』
『メッセージ』
『過敏症』
『夏の子供』
辛い過去を背負って生きてきた魚住真澄。
久留米やマリ、サリーム、濱田さん、さちのちゃん。様々な人との出会いと別れによって自分の過去と真剣に向き合い、泣いて、笑って、恋をして。
彼が成長していく姿にはとても感動した…。
死はいつでも自分の身の回りにある。
もしも、自分の大好きな人が明日突然いなくなってしまったらどうなるんだろう。
今まで考えたようで考えていなかった人の生と死の関わりについて、この本を通して彼らと共に考えさせてもらえた。
榎田尤利(ユウリ)先生に魚住真澄というキャラクターを生み出してもらえて良かった。
優しくて、そして誰よりも強い。
「強い子供」な彼に出会えて本当に良かった。
魚住くんシリーズはこの5巻で完結しているけれど、彼らの人生はこれからも続いて、沢山の出会いや別れを繰り返していくのだろう。
私も、いつか自分の好きな人たちと別れるときが来たとしても、その人と出会えたことを大切にしていきたい。
Posted by ブクログ
魚住くんシリーズ完結編。
響子さんが就職して、そこでの仕事に悩み悲しむ「リムレスの空」
PTSDに苦しむ魚住、苦しむ魚住を救えなくて悩む久留米を描いた「 アイ ワナビー ア フィッシュ」 どんな濁流でも進んで行きたいと考えるようになった魚住くん。 魚住くんは強い、どんどん成長する。
太一くんを祖父母の家で預かり一緒に過ごした夏を描いた「夏の子ども」 魚住くんの強さは、強い子どもだからなんど感じた。 生き物の命にも違いがある、ラットより金魚よりあなたの方が大事だと伝えたい。 あなたが無事ならそれでいいと。 命を奪った悲しみがすでに罰なのだと、子どもに伝えられたらいいなあ。
Posted by ブクログ
ハードカバー版を既読。泣いた。泣いたったら泣いた。しかも本編であれだけぐずぐずと泣いたというのに、あとがきに更なるとどめを刺された。不安をかたちにしたキャラクターが読者のなかにもいるのだと感じるようになった、という著者の発言に特別と普遍の両方を感じて、それはまるで祝福だと感じられたのだ。覚えている限りの記憶では、わたしは昔から夏が好きではない。けれど嫌いにならないのは、数々の小説で描かれる夏の情景に惹かれるから。開放的でありながらさみしさもはらむ夏という季節は、太陽に背を向ける意地っ張りの背も確実に押す。
Posted by ブクログ
1巻から1日1巻ペースで完読です。 いろいろありましたが、二人は自分たちのペースで愛を育んでいますね。 二人ともいい男になってます(満足) マリちゃんにはビックリだったけど、あの子らしいし。 出来ればサリームと馨ちゃんのお話をもっと発展させて欲しかったかも…
Posted by ブクログ
魚住くんシリーズ最終巻。
最後まで一気に読みました。
暗に、アメリカに行っても魚住と久留米の関係が続いてることが描かれているけど、正直物足りなかったというか、モヤモヤしたというか・・・もっと二人がいちゃこらしてるところも読んでみたかったな!という感じw
次巻が出るのを楽しみにしていた日々が終わったのかと思うと、ちょっとさみしい><
Posted by ブクログ
魚住くんシリーズ Ⅴ
魚住に突如現れたPTSDの症状。心療内科にかかり、自分と向き合う魚住は、久留米に頼らず一人で病を克服していく。痛みを誰にも転嫁せず、誰をも恨まず、失なわれたものに拘泥せず、得られたものを数える彼の強さ。
あまりの自然体に、周りの者は愛されずにはおれない。太一との夏の交流がいい。大人目線でなく、同じ親を失った子供目線で接するからこその太一との信頼関係にホッとする。
アメリカ留学後、教授になって凱旋帰国の魚住と予備校生になった太一の再会シーンもジーンと来る。そしてマリの近況も。安岐さんの子じゃなかったのは残念だけど。
失われる命もあれば、新たに生まれる命もあるというラストは、あまりにも希望に溢れて嬉しくなった。魚住がマリちゃんの子につけた名前はなんだったのかなぁ〜。