あらすじ
▼第56話/破壊の数式の巻▼第57話/心の行方の巻▼第58話/オールドフレンドの巻▼第59話/さまざまな再会の巻▼第60話/真実の真相の巻▼第61話/滅亡の時の巻▼第62話/ゲジヒトの遺言の巻▼第63話/星に願いをの巻▼第64話/終わりの音の巻▼第65話/史上最大のロボットの巻●主な登場人物/アトム(日本の科学技術を結集させた、高性能の少年型ロボット)●あらすじ/トラキア合衆国大統領・アレクサンダーは、彼のブレーンである人工知能ロボット“Dr.ルーズベルト”に、世界中の高性能ロボットが次々と破壊された一連の事件を「計画通り」だと語る。一方、日本ではついにアトムが長い眠りから覚醒する。だが突然、一心不乱に数式を書き始め…(第56話)。 ●本巻の特徴/すべての真相が明らかになるとき、想像をはるかに超越した最悪の事態が迫っていた。人類最後の希望であるアトムが、最終決戦に挑む…! 新『鉄腕アトム』伝説、ついに完結!!●その他の登場人物/お茶の水博士(日本の科学省長官でアトムの後見人)、ウラン(アトムの妹でロボット)、天馬博士(ロボット工学の権威で元科学省長官。亡き息子トビオとそっくりにアトムを作った)、アブラー博士(ペルシア共和国科学省長官。戦争で妻と子と、自身の体の大半を失う)、アレクサンダー(トラキア合衆国大統領。ボラー調査団の派遣とそれに続く第39次中央アジア紛争を主導した)、Dr.ルーズベルト(世界有数のロボットたちの人工知能を圧倒する容量を持つコンピュータ。トラキア合衆国大統領のブレーンで、クマのぬいぐるみ型端末を介して会話する)、ブラウ1589(8年前、史上初めて人を殺したロボット。ドイツの人工知能矯正キャンプに収監されている)、ゲジヒト(ユーロポール所属の特別捜査官。人間そっくりの外見を持つロボット)、エプシロン(ゲジヒトやアトムと並ぶ高性能ロボット) シリーズ完結巻!※この作品は2004年~2009年に刊行された『PLUTO』全8巻をカラー完全再録の上、再編集したデジタル特別版です。
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Posted by ブクログ
じっくり細かく描かれているので、読むのにかなりの忍耐力とエネルギーを要する。
ストーリーも画力もすごすぎる。
言語化できないものが心にどかっと残る。
自分もあの世界にいたかのような疑似体験ができる。
Posted by ブクログ
ゲジヒトの憎悪で目覚めたアトムがゲジヒトとの初対面のシーンにもいたカタツムリで我に返る展開がニクい。どんどん明らかになる過去と消えた記憶。憎悪をもってプルートゥを圧倒するアトムが怖い。これまでにしたことが許されるわけではないけど、プルートゥも最後は良い奴だった。ゲジヒトの最期の言葉が様々な場面で生きてくる。悲しく、熱い最終巻。また1巻から読み返したくなる良い作品でした。
Posted by ブクログ
最後まで浦沢直樹らしく読ませる漫画。
ロボットと人間性、人間と非人間性。
そういう対比がバランスよく押し込まれていて、結果、いろんな事を思い起こさせる。
どこまでが人間性に値するのか…
これからの社会で課題になる部分に気軽に触れられる事、そういう漫画を書くのは浦沢直樹だなぁと思う。
最終巻がでてかなり経つけど、時々手に取って読み返したくなる。
2020年12月記
Posted by ブクログ
ブラウ1589がいいもんなのか悪いもんなのか。「羊たちの沈黙」のレクターみたいな? いろいろと残された問題について、アトムが解決して回る。ある意味探偵的な役割ともいえるのかも。原作『アトム』って読んだことないので、よく知らなかったけれど、アトム自身が結構悩んだりする漫画なのだなと「あとがき」で知った。「その世代」の心をつかむ、原作、特に「地上最大のロボット」がどんなのだか読んでみたいところ。
Posted by ブクログ
ゲジヒトの最後の記憶が天馬博士によってアトムに注入され、アトムは目覚めた。しかし、そこにあった感情は憎悪だけではなかった。
ロボットに感情はあるのか。その命題を手塚治虫の『地上最大のロボット』を使って試みた浦沢直樹の実験がここに完結する。喜怒哀楽だけでなく、深い憎悪や満ち溢れる愛情が描く未来像は、ロボットのみならず人間の心の在り方を問う。
Posted by ブクログ
終わりまで読んで何度もページを繰り直した。
ゴジやプルートゥ、ボラー、物語の謎が明らかになった。しかし、謎が解けたスッキリ感は無い。
結末が、はっきりとは描かれていない。
ところで、「偏った感情」とは、喜びや慈しみや愛しみではいけないのだろうか?
Posted by ブクログ
『鉄腕アトム』の「地上最大のロボット」をイラク戦争への皮肉を織り込みつつサスペンスにまで昇華させた名作。ところどころに登場する手塚ファンへのサービスが嬉しい。何だかんだで浦沢直樹は絵がうますぎる。手塚作品の登場人物が、面影を残しつつ浦沢化しているところはもはや芸術。ロボットや未来の街のデザインも芸術。
物語の構成上仕方がないことだけれども、どんどんロボットが殺されていく展開は悲しい。良質の映画を観終わった後のようなカタルシスあり。
Posted by ブクログ
鉄腕アトムよりジャングル大帝派でした。
そんなこと関係なく、PLUTOは面白い!!
地味目の絵柄が、よりリアリティを醸し出していて、傑作だと思ふ。
Posted by ブクログ
不覚にも涙しました。そうだよね。「憎しみは憎しみしか生まない」よな。でも、現実世界には、お茶の水博士もアトムもいない。今の憎しみの連鎖の世界状況をなんとかできる人は・・・なんて考えるのは甘いんでしょうかね。
Posted by ブクログ
そうか、ボラーはこう来たのか。
何せ初巻から名前だけは出てたし、原作ではいきなり登場の
イメージがあったので、どうなるのかと思っていたんですが。
クライマックス、盛り上がる緊迫感の割に
一大スペクタクル戦闘がなかったのは賛否分かれるところでしょうが、
ボラーがすでにああいう存在なので、なるほどなぁと思いました。
じんわりと、余韻の残る作品でした(´ω`)。
Posted by ブクログ
〔内容〕アトム目覚める?/プルートゥによるロボット破壊のバックにいたのは当然ながらトラキア合衆国だった/アトム、なぜか反陽子爆弾の作り方を完成させる(そういえば「ワンダー3」のキーになっていたのもそんなんやっけ)/ボラー登場/天馬、アドラーの正体を指摘する/アトム、完全復活/地球壊滅の兆し/アトム、できごとの全貌を語る/アトム対プルートゥ/二人の涙。
〔感想〕原作最終回もそうやったけどアトムも他のロボットも自分の命をすぐ捨てようとする。そしてそこにあまり葛藤がない。もう少し悩んでもいいと思うけどなあ。
■簡単な単語集
【アーノルド】トラキア合衆国の気象予報ロボット?
【アトム】日本のロボット。第39次中央アジア紛争に派遣されたがアイドル扱いで戦闘はしていなかったもよう。
【アドルフ】KR団の一員。兄を殺した? ロボットを恨んでいる。
【アブラー博士】ペルシアの科学者。中央アジア最高の頭脳と言われる。戦争で身体のほとんどを失っており種別としてはロボットに分類されている。
【一般生活用ボディ】ロボットは仕事用と生活用のボディを使い分けている者も多い。
【ウラン】アトムの妹。日本のロボット。遠くにいる生物の恐怖を感じる能力を持つ。
【エプシロン】オーストラリアのロボット。長髪の美形。戦いの機能を持っていない。原作でも人気のあるキャラやったんではないかと思われる。プルートも苦戦した記憶がある。平和主義で第39次中央アジア紛争での徴兵を拒否した。そのせいで批判され過酷な戦後処理に回され、そのとき出会った戦争孤児たちを引き取って育てているがそれも批判する向きがある。《私は思うんです。人間とロボットは近づきつつある。近づきすぎると…… よくないことが起きる》第三巻p.97。後の青騎士の話につながりそう。
【お茶の水博士】科学省長官。ボラー調査団の一員だった。
【KR団】ロボットを弾圧したいというか人権を認めたくない派。
【ゲジヒト】ユーロボールの特別捜査官。ロボット。夢を見る。
【ゴキブリ】ゴキブリ型小型ロボット郡を使うロボット登場。アブラー博士が作ったらしい。プルートゥを探している。
【国際ロボット法】ロボットに自由で平等な権利を与えた。
【ゴジ博士】ペルシア王国にいるとされた天才科学者。実在かどうか不明。
【坂本】ロボット教師。旧式。
【サハド】サマルカンド・ペルシア共和国を花でいっぱいにするためオランダに留学したという人物(ロボット)。《種をつけて、花は枯れなきゃだめなんだ》第六巻p.29。彼の残した枯れないチューリップの名前がプルートゥだった。
【ゼラニウム弾】破壊力の強い銃弾でロボットにしか撃てない。それも世界で数体しかいない。人間に対して使ってはいけないことになっている。
【第39次中央アジア紛争】すべてのキーになっていると思われる紛争。各地のロボットも派遣された。
【隆史】お茶の水博士の孫。
【田崎純一郎】法学者。国際ロボット法の発案者。ボラー調査団の一員だった。
【ダリウス14世】ペルシア王国国王だった。独裁者でロボットの処遇もロボット権利条約から大きく外れていた。近隣諸国を侵略した。《神にとって、人間は失敗作だったのだ。》第五巻p.59
【田鷲】警部。国際ロボット法を快く思っていない。
【ダンカン】ポール・ダンカン。作曲家。盲目。ボヘミア出身。今はスコットランドの城で暮らす。
【テディベア】黒幕。もちろんテディベアが本体というわけではないでしょう。《すべて敗者で愚者で死者なんだよ。 この僕以外はね。》第五巻p.50
【天馬博士】電子頭脳の権威。アトムを作った。《人を殺すかもしれないほどの強い憎悪こそが………電子頭脳を育てるのだ。》《間違う頭脳こそが完璧なんだ。》第四巻p.193
【Dr.ルーズベルト】謎。
【中村】刑事。課長。
【ノイマン】ロボットの優秀な判事だったが殺された。
【ノース2号】軍隊出身のロボット。ダンカンにピアノを弾けるようになりたいと言った。戦場で数万体のロボットを破壊した。
【ハワード博士】ロナルド・ニュートン=ハワード。殺害された。オーストラリアのロボット学者にして光子エネルギー研究者。エプシロンを作った。
【伴/ばん】ウランやアトムが通っている学校の校長。《心に高性能モデルへったくれもあるか!!》第五巻p.126
【パンクラチオン・スーツ】ロボットの格闘技用強化服みたいなもの。
【ブラウ1589】ブリュッセルの人工知能矯正キャンプに幽閉されているロボット。八年前人間を殺した。今でも危険な存在で幽閉されながら何体ものロボットを破壊した。
【ブランド】パンクラチオン・スーツでの格闘技の史上最強と言われるチャンピオン。トルコのロボット。
【ヘラクレス】ギリシアのロボット。パンクラチオン・スーツ格闘技のチャンピオン。「闘神」と呼ばれている。ブランドとは過去四回闘っているがいずれも勝負がつかなかった。第39次中央アジア紛争での経験を経て、対戦相手を破壊できなくなっている。
【ヘレナ】ゲジヒトの妻。
【ボビー】孫の隆史にお茶の水博士がプレゼントしたロボット犬。
【ホフマン】ゲジヒトのメンテナンス等をしてくれる科学者。
【ボラー調査団】第39次中央アジア紛争のとき派遣された。ペルシア王国に大量破壊ロボットが隠されているというトラキア合衆国のアレクサンダー大統領の主張を受けて調査のため派遣された。
【モグリの日本人医師】ブラック・ジャック?
【モンブラン】ラインハルト博士が作ったロボット。スイス林野庁所属。気は優しくて力持ち系で世界中で愛されていた。
【ランケ】ベルナルド・ランケ。ロボット法擁護団体の幹部。殺された。ボラー調査団の一員だった。
【ロビー】巡査ロボット。破壊された。
【ワシリー】エプシロンが引き取って育てている少年。「ボラー」という言葉を発する。
Posted by ブクログ
少々間延びしている印象も受けたが、人工知能が心を持つ作品が元々好きなため、結局案の定良かった。人間のように他者への愛を持ち、悲しみに暮れる登場キャラクターたちが切なく愛しい。やっぱりゲジヒトええな。。憎しみや争いは何も生まない。手塚治虫先生の漫画も色々読んでいきたいなー
Posted by ブクログ
浦沢直樹は原作付きが抜群に面白い。
ところどころ繰り返し読んでも意味が分からないので、元ネタが全部分かればもっと楽しめる作品だと思う。
度々何が完全なのか不完全なのかゲシュタルト崩壊起こしそうだった。/借り物
Posted by ブクログ
人は喜怒哀楽の感情があり、特に悲しみ、憎しみ、怒りの扱いが難しい。もし、高性能のロボットが感情をもつことができたら、人とは違い、感情をうまく扱えるのか?それとも、人と同じように感情に振り回されより人により近づくのか?そうなったロボットは人となにが違うのだろう。
Posted by ブクログ
作画、内容、
本家とは、また違った感覚で読み終えました。
複雑な感情は、人がだけが持ってるが
これを同等に、与えられたら
人は共存できるのか?淘汰されるのか?
偉大な漫画家の原作を
偉大な手塚治虫の原作を忠実に模倣しているのかどうかはわからないが、本作品はたしかに偉大なる漫画家の作品をベースにしている。一つのロボットの身体にいくつも頭脳が宿っているのと同じ状態であるね
Posted by ブクログ
イラク戦争に対する反戦メッセージが色濃いけど、テーマはロボットと人間。これほどロボットを人間らしく描いた作品も珍しいと思う。手塚治虫読みたくなったな。
あれ?そういえばアトムは原子力で動いているという描写がなかったなぁ。わざとかな?
Posted by ブクログ
こういう結末なんだ。
この最後を読むまで予想できなかった展開。
話自体もちょいと複雑だし、
行間に込められたものも多いので、
何度も何度も読み返していきたい作品。
色々と感じるものがあるけど、
これをどう自分の生き方に反映できるかな?
読んだ後もそんな思いを馳せることで楽しめる作品。
Posted by ブクログ
せつなくて グッときた。
人間のようになろうとする(作ろうとする)ロボット。
読んでいて人間に嫌悪を感じた。
人間とロボット。
いつかPLUTOのような世界が来るのかもしれない。でも結末は違うかも。
一体いつまで人間は争うのかな。
Posted by ブクログ
アブラー博士、ゴジ博士、ボラーの真実。
そして、アトム対プルートゥの最終決戦!
壊れゆく地上を救うことができるのか?
ドキドキ。
しんみりのラストだった・・・
Posted by ブクログ
ラストがさみしい
手塚治虫さん自体が
答えを見つけたくて見つけられなかったからこその
ラストなんだろう
憎しみと復讐で解決することは何もない
痛みも傷みも大きくなるだけだ
と言うところまではわかっても
その先どうすれば自分の心が満たされるのか
わからないんだよね
辛さが形となって押し寄せてくる
Posted by ブクログ
目覚めたアトム・・・
与えられた偏った感情によって彼は進化したのか?
憎しみからは何も生まれない。
ロボットが辿り着くであろう世界は、人類が踏み入る事は出来ないのであろうか??
Posted by ブクログ
途中でだれて売ってしまったが、最終巻を読んで売らなきゃよかったと後悔。ものすごく美しい終り方だった。ロボットたちのやるせなさを通じて原作が投げかけている生きる・モノ・心・命とはといったテーマにもきちんと触れている。
ロビタ・・火の鳥に出てきたような?
Posted by ブクログ
1巻から一気読み。
お話はとてもこの作者さんらしく書かれているなあと思った。小難しいと思うところもあるけれど、人であろうとロボットであろうとも心は大事だなと思う。
あと、とりあえずウランがやったらかわいいな。
Posted by ブクログ
素晴らしかった。
「MONSTER」も「二十世紀少年」も、さんざん引っ張っといてこれかい!という感じが最後に残ってしまったので、浦沢式ストーリーテリングにあまり期待をし過ぎないよう距離を置いていたところだったのだけれど、この「PLUTO」は最高の構成だった。
この作品で特に好きなのは、未来都市のデザインだった。世界各地の建造物や都市のデザインが、惚れ惚れとするぐらいに美しい。国際機関や、モスクや、空港などは、本当に近未来の街に存在しそうなリアリティがあるし、話しの中に登場する車やインテリアの造型も、そのまま製品化出来そうなぐらいの完成度だ。
「アトム」の名前がタイトルにも出ず、しかも登場回数的にもそんなに多くないというところも好みだった。主人公は彼だけではない。この物語は、一人のヒーローによって世界が救われる個人戦の話しではなく、様々な立場や能力を持つ人たち(ロボットたち)が、いかにして調和していくかという、団体戦の話しなのだ。
余計な伏線を張ったり、未消化の謎が残ったりということもなく、冗長にならずに、きっちりとまとめられているという点も、とても素晴らしいと思った。それぞれの巻の終わり方まで、計算され尽くしているように思える。大作映画をしのぐ感動をペンによって作り上げた、この偉業を讃えたい。
「不思議だね、ロボットは・・
我々人間に涙を流させる。なぜだろうね。」(p.52)
「そう、もうひとつ教えてやろう。
最高の人工知能というのは・・嘘をつく。
自分自身にも嘘をつく。」(p.67)
Posted by ブクログ
「アイアムアヒーロー」「アンダーニンジャ」の花沢健吾さんがTVでオススメしていたマンガです。
手塚治虫の「鉄腕アトム」に収録されている「地上最大のロボット」をリメイクした作品となっています。
「戦争」が大きなテーマとなっています。
本作品は2000年代の物ですが、今現在もウクライナ、ガザ地区で戦争は続いている現実に、人類の愚かさを感じざるお得ません。
アトムが作中で
「憎しみからは何も生まれない」
と1人呟く言葉がとても印象に残りました。
事件の黒幕や謎を解き明かしていくミステリー要素もあります。巻数も全8巻と1日あれば、読み終える事ができる量です。
私自身、原作となっている作品を読んでいないので、とても読みたくなりました。