【感想・ネタバレ】天冥の標 VII 新世界ハーブCのレビュー

あらすじ

男性24905名。女性27339名。成人1029名。残存人類、52244名──第7巻のさらなる絶望

《救世群(プラクティス)》が太陽系全域へと撒いた冥王斑原種により、人類社会は死滅しようとしていた。
シェパード号によって《救世群》のもとから逃れたアイネイア・セアキは、辿りついた恒星船ジニ号でミゲラ・マーガスと再会する。
しかし混乱する状況のなかジニ号は小惑星セレスに墜落、かろうじて生き残ったアイネイアとミゲラは、
他の生存者を求めてセレス・シティへと通信を送るのだったが――
さらなる絶望を描くシリーズ第7巻

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「行きましょう、アイン。今はもう、ここが世界よ」

「宿怨」の世界を逃げ延びた人類の生き残り50000人を、ほとんど成人が居ないので17歳くらいの少年少女たちが何とかして生き延びさせようとする。読み終わってみると7巻がこれまでで1番重かった。
地下世界でなんとかして生き延びようと、統率したり居住区を広げたりしてて…重機や作業をするロボットや兵器があるとはいえ、全てを取りまとめているのは、何もかも初めてなアイネイアやミゲラ、ジョージたちスカウト。
こういうとき大人ほど脆いのかもしれない…という出来事があるし、戦闘や疫病によって一時は20000人を切ったけど、それからかなりイザコザして、
1巻に続く小惑星セレスが出来上がる。

セレスの地下都市ブラックチェンバーを居住区として整備し、そのまま地上を降ろして(この辺りのラゴスのテクノロジーがよくわからない…)新しいセレス・シティにしてる。
フォートピーク、これか!と思ったり。

ブラックチェンバーで生活を始めて50年でここまできたけれど、エピローグでのアイネイアの慟哭には貰い泣きしてしまいました。
アイネイアたちがぶつかり合いながらも世界を創ってきたのはかなり凄いし、尊い。
でも、彼ら自身が「偽物の世界」と思っている。本物の…地球人類文明はとうに喪われてしまった。薄っすらとでも覚えている彼らが居なくなったら完全になくなる。

つらい…でも1巻に続く感じで生き延び……と思ってたら、7巻でも「救世群はセレスの地下からやってくる」が会話に出ていました。
1巻のラスト、そうでしたね。。

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2024年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リアリティすごない???
これまでも圧倒的な世界観の作りこみ具合を見せられてきた読者でも更に驚くレベルのリアリティですよ。
この圧倒的世界観に、極限までに追い詰められた人々の心の機微が組み合わさって、これは現実の我々の未来を見ているのか?と思わざるを得ないような展開の連続だった。
親兄弟と引き離されて明日も生きられるのか分からない環境に閉じ込められた想像を絶するような辛さとか、全てが手探りで何が正解なのか誰もが分からない中で一からルールを作って統治しなければならない苦しみとか、生き残るためにその時の統治者に気に入られようと擦り寄るずるさとか、病気や事故や…そして人為的に亡くしてしまった人々への悼みと反省、誰かを愛し人肌を求めあう悦び、そして苦しみを乗り越えついに平穏無事な暮らしを手に入れられた安心感…こういう、人間の持ち合わせる普遍的な感情全てがここに語られていた。すごかった。

人類…無事に命を繋ぐことができた…んだけど、統治のカラクリを知るとこれは仮初めの平和でしかなくない…?
まだ救世群は太陽系をうろうろしているようだし、国民は偽史を信じさせられているままだ。ここからⅠに繋がっていくし、まだまだ争いは続くんだろうな…

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2021年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1巻のメニーメニーシープの成り立ちの話。
救世群による太陽系の破壊、そこからの逃れ、少年少女達による地下世界社会の確立。5万人から2万人
に減ったり、その真実の隠蔽など。

アインとミゲラ、その他スカウトのメンバー達も何とか70歳までちゃんと生き永らえてるのが凄い、人間って逞しい。

蝿の王も読んでみたくなった。

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2020年12月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1巻に完全に繋がった……。そもそも、そこで語られていたことがミスリードでもあったわけね。議会が「スカウト」である意味も。
でも、まだ話は続く。

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2020年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

勘がいい人ならセレス地下世界に多数の人間とスカウトのメンバーが避難した時点で気付いたかもしれないが、これは意地悪だ。最初にハーブCは地球人が入植した惑星として説明され、途中でジニ号が新たな惑星を目指して旅立ち、読者のミスリードを誘う仕掛けがいくつもあった。しかしその事実を受け入れてしまうと後は人類がここでどのようにして数百年も生き続けて行くのかという純粋な興味と、無人島サバイバル的な物語に惹き込まれていった。これでⅠ巻に話が繋がっていく訳だが、もう少しだけこの世代の話を読みたかったというのが正直な感想。

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2019年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

プラクティスにより太陽系の人類社会がほとんど壊滅させられ、わずかな人類の生き残りの一部は小惑星セレスの地下に隠れている。
恒星船ジニ号に乗っていたアイネイア・セアキとミゲラ・マーガスはセレスに墜落するものの、オラニエと共になんとか生き残った。他の生存者を探しているとスカウトの仲間たちと連絡が取れ、セレスの地下に移ることに…

本シリーズにしては珍しく、前巻である第6巻宿命から地続きとなっている作品。

セレスでの生き残りはほとんどが十代の子供で、その子供たちがいかにしてこの地下世界で生き残るか、という物語。
太陽系社会から見ると小さくも、子供達から見ると想像もできないぐらい大きな世界を維持し、新たな社会を形成しなければならない苦悩と葛藤が次から次へと巻き起こる問題とともに表れる。

筆者の思考実験があまりにもすごく、筆舌に尽くしがたい。
巻き起こる問題にはリアリティがあり、人間味があり、追い詰められたときの恐ろしさを感じる。
この感動をうまく言葉にできないのが大変もどかしいが、とにもかくにも練り込まれた物語であると感じた。

最終的には第1巻のメニーメニーシープへと繋がっていくので、第1巻の伏線回収がままある。
例えば、羊飼いがなぜプラクティスを知っていたのかは、おそらくメララの子守唄による伝承が200年以上も続いたのだろう。

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2019年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読。絶望的な状況で子供たちがどう動いたか。つらい状況の中で、最後に次の世界に通じる風を感じられる。

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2021年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

少年少女の閉鎖空間での悲痛な話
最初はちょっと特異すぎて別作品を読んでいるようだった
だが、話が進むにつれてそれがあの1巻の世界へと確実に繋がっていく確信みたいなものが感じられ、終盤は高揚感があった
あの賑やかで厳しくも楽しかったスカイシーでのスカウトの日々を思うと、その境遇への悲痛さが際立つ

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2015年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

メニーメニーシープにつながってしまった。だけど、予想外の展開。重力とか電力とかまだわからないことがいくつかあるから、また意外な方向へ話が進んでいくんだろうか。

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2014年03月05日

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