あらすじ
安禄山の乱の折、玄宗皇帝は最愛の楊貴妃を処刑せざるを得ない状況に陥った。そこで道士・黄鶴は、驚くべき提案をする。しかし、尸解の法を用いて貴妃をいったん仮死状態にするというその奇策は、無惨な結末を迎えることになった。四十数年前。安倍仲麻呂が李白宛に遺した手紙に記された身の毛もよだつ顛末。空海はゆっくりと読み下していった。
◆日中共同製作で映画化! 豪華キャスト競演!
『空海 ―KU-KAI― 美しき王妃の謎』
監督:チェン・カイコー
公開:2018年2月24日
配給:東宝 KADOKAWA
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Posted by ブクログ
根気がなくて2巻で早くもダレてきた私には、正直言ってこの3巻もだんだんと読むのがじれったくなってきていた。内容が水増しなのではないかと疑いさえしてきていた。
しかし、第26章の呪法宮の章を読んで、感動してしまった。一気に目が覚めたような気持ちになった。
空海と逸勢の「想いが人ならば、それは尽きることがない」という言葉に始まる問答を読んで、びっくりしたのである。
そこには、なぜ仏法があるのか、なぜ人は仏法を必要とするのか、というひとつの答えがあった。
そして私はその答えにとても納得したのである。
どうしてこんなに哀しいのか。この哀しみを、いったいどうして乗り越えればいいのか。
それを作中で空海が語っていたのだ。
「この天地の法である仏法を知ったからとて、人が永遠に生きられるわけではない」
「人は老い、死んでゆく。何ものもこの地上にとどまることはできない。哀しみも、天地の法を知ったからといって、消えるものではない。それを、(仏法で)はっきりと知ることによって、人は哀しみの前に立つことができる」
「哀しみすらも、輩(ともがら)として、それを受け止めることができるのだ」
「安心するがいい。哀しみすらも、永遠には続かない。それを知ることによって、人は、悲しみと共に立つことができるのだ」
なるほどなー、と思ったのである。
そして、胸が震えたのである。
やっぱり夢枕さんの仏教的世界観は、フィジカルでわかりやすい。