【感想・ネタバレ】永遠の詩06 宮沢賢治のレビュー

あらすじ

今だから読みたい、理想に生きた詩人。

岩手の生んだ偉大な詩人にして童話作家の宮沢賢治は、人間の魂の真実の深み、自然の巧まざる真実の美を、鮮烈で絢爛たる言葉の魔術を駆使して詩に描いた。その言葉の数々は、宇宙に煌めく星のように、私たちのこころを射ぬく。すべての詩に、背景や言葉の意味がよくわかる鑑賞解説付き。

永遠の詩シリーズは、今日的に意義のある詩人をとりあげ、代表作を厳選しました。わかりやすい解説で、詩があなたにもっと近くなります。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

宮沢賢治はずっと好きだと思っていました。
ただ、レビューするにあたって、この「永遠の詩」シリーズの第六巻、全部読み直しましたが、賢治は小学校の教科書にも載っている、なじみの深い作家ですが、非常に難しい作家だと思いました。
しかし、好きなこと、イコール意味がよくわかることでは、必ずしもなくていいのだと、巻末の椎名誠さんのエッセイを読み励まされました。椎名誠さんも賢治の全集をただ漫然と読み流していただけで、実はまるで何も理解していなかったという過去を書かれていらっしゃいます。
このシリーズは親切に一篇一篇の詩に解説がついていますが、それでも難しく、いくらかみしめても読んでわからないものも多かったです。


「星めぐりの歌」
あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の  つばさ
あおいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。

オリオンは高く うたい
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくもの かたち。

大ぐまのあしを きたに
五つのばした  ところ。
小熊のひたいの うえは
そらのめぐりの めあて。

<解説より>
賢治の童話の中には、物語のエッツセンスを結晶させたかのような素敵な歌詞が多く出てくる。それは賢治の童話が詩と分かちがたく結びついていることを示しているし、また童話と詩の底に音楽が流れていることでもある。この「星めぐりの歌」も、1918年(大正7)8月作の童話『双子の星』の挿入歌に、賢治みずから曲を付けたもの。「あかいめだま」は蠍座の首星である赤星アンタレス。以下鷲座、小犬座、蛇座、オリオン座の星ぼしが夜空をめぐる。「大ぐまのあし」は大熊座の北斗七星のひしゃくのあたりだろう。「そらのめぐりのめあて」は北極星のこと。
賢治の宇宙感覚がのびやかに声をあげている。


「春と修羅」「報告」「永訣の朝」「無声慟哭」「告別」「雨ニモマケズ」もよかったです。


宮沢賢治(みやざわ・けんじ)
1896年(明治29)~1933年(昭和8)。
岩手県花巻市に生まれ、幼時から自然や動植物を愛した。
中学時代から短歌を手がけ、のちに農学校教諭として働きながら、膨大な数の童話や詩を創作した。
生のあるものすべてを慈しみ、絢爛たる言葉の魔術を駆使して表現するその詩は、多くの読者に愛されている。

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2019年10月19日

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