あらすじ
そういえば、あの本のこと、なんにも知らずに生きてきた。
一度は読みたいと思いながらも手に取らなかったり、途中で挫折してしまったりした古今東西の「名著」を25分間×4回=100分で読み解きます。各界の第一線で活躍する講師がわかりやすく解説。年譜や図版、脚注なども掲載し、奥深くて深遠な「名著の世界」をひもときます。
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■今月のテーマ
私たちがいま抱える問題を解く鍵が、ここにある。
自由がもてはやされながら、誰にも頼れず孤立し、すべてが自己責任となる現代。同様の問題は、実は近代ヨーロッパですでに生じていた。人々が繫がりを見失うなか、デュルケームは分業を通じて互いに支え、頼り合う社会を構想した。彼の思索を通じて、現代に”連帯”を実現する方法を探る。
■講師:芦田徹郎
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Posted by ブクログ
よかった。
第4章はデュルケームが直接的にいったわけではないと思うけれども、今の社会で生きるために大事な記述が複数あったように思う。
この本の最も良いところは、デュルケームの『社会分業論』をただ紹介するだけでなく、その本の理解の先にどのような社会の形が考えられるのかまで示すことで、デュルケーム本を読むことの現代的な意義を著者なりに示したことだと思う。
分業とか、依存とかはあまり良い文脈で用いられないけれども、それらの言葉をデュルケーム的に用いてみると違った側面が見えてくる。自律した個人を良しとする現代社会だからこそ、依存をキーワードとしたデュルゲームの思想を読むと良いと思われる。そのはじめの一歩は本書から、と言えるのではないかと思う。
Posted by ブクログ
さすがの内容でした。『社会分業論』を読み返して、現代社会への応用を検討したくなりました。連帯について検討する上で、ジンメルの『社会学』も合わせて、読み返そうとも思いました。
Posted by ブクログ
社会分業論、面白かった。多様化、自由化が進むにつれて孤立化が伴うことは強く意識しておかなければならない。世の中の自由化は加速しているからこそ、意識的に「依存」していかなければならない。依存と聞くとマイナスなイメージがあったが、「自立とは依存先を増やすこと」という熊谷さんの言葉が響いた。依存してはいけないような風潮が広がる今だからこそ、依存にもスポットを当てていないといけない。自分に落とし込むなら、属するコミュニティを常に複数を保持するといいと感じた。
Posted by ブクログ
19世紀末の個人主義と現代が被り、デュルケームの主張が今こそ刺さるのではと感じた。特に個人主義が進むと、エゴイズムやアノミーに陥り、生きる目的を見失ってしまうという指摘はその通りかもしれない。
社会的な規範のようなものがなくなりつつある現代で、いかに依存先を確保し、連帯感を持てるかがより重要になってくると感じた。
Posted by ブクログ
社会学の祖として挙げられることもあるデュルケームの、聞き馴染みがないながらも重要な著作である『社会分業論』を分かりやすく解説してくれる
デュルケームの生涯を交えたり、注釈も豊富に解説されてるため、当時の時代背景や彼のことをよく知らない人でも読みやすいと思う
彼が社会学という学問を創るにあたってどういった要素を重んじたか、社会と個人はどう連関しているのか、なぜその発想に至ったかなど基本的な部分を多くの紙幅をさいて書いているため、理解もしやすく後々の話題でそれらが出た時もすんなり入ってきた
「個人の自由」と「社会の連帯」をどうすれば両立できるか、という現代にも通ずる問題提起をした上で、現実に則した形で理論を打ち立てた、現代に読むべき名著だと思った
第4回で扱われた、個人の社会への「依存」という話題は、私たちが普通抱く感覚がひっくり返されとても面白く読めた