あらすじ
恐怖と笑いは紙一重。「おぼえてろよ……ホラーな目にあわせてやる……」。クギ少年双一が、ホラーな呪いで人々を恐怖におとし込む。恐ろしいけど憎めない主人公双一とその家族がおりなすホラーギャグの金字塔。双一シリーズ全作品を収録。
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美麗な絵と卓越したストーリーテリングで数々の名ホラー作品を世に放ってきた伊藤潤二氏。氏の最大の功績は、ホラーでありながらシュールな笑いを誘う……ホラーギャグというこれまでにない新しいジャンルを打ち立てたことだろう!
その代表がこの「双一」シリーズである。主人公の双一少年は、日常的に釘を噛み、気に食わない奴に向かってペッペと吐きつけては、兄の公一さんに怒られ、「ホラーな目にあわせてやる……」と捨て台詞を残して、勝手に呪いをかけては毎回失敗し、自分が痛い目にあって終わるという、チャーミングな男の子。呪いの力は本物なのに、子どもであるが故にうまくいかず、じたばたするところがまた可愛らしい。
ガチホラーは怖くて読めないけれど、ホラーギャグならいけるかも……という方にぜひお手にとって欲しい。ちなみに『HUNTER×HUNTER』作者の冨樫義博氏も伊藤氏の熱心な読者というのは有名な話。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
釘をガチュガチュくわえ、怪奇少年双一が怪事件を巻き起こす!?……もうこの煽りだけでゾクゾクしちゃう。
比較的初期の方の作品群なのだろうか、現在の伊藤潤二作品と比較するとややキレに欠け、大人し目な気がしないでもないがそれでもやはり面白い。ほんとゾクゾクするって表現がしっくりくる。そしてなんだろう、双一はものすごい嫌な奴だ、それは間違いない。だけどなぜか……なぜかどこか憎めないところがあるのだ。なんとも不思議で奇妙なキャラクター。台詞回しもまたこの人独特、「ホラーな目にあわせてやるぜ!!」とか。
ひと通り読み終わってみると双一って基本的にかなりマヌケなんだよね。実は恋もしてるし構っても欲しいみたいだし。まあ物凄い迷惑な奴なことは間違いないけど。でもだからこそどこか憎めないのかもしれない。ただ自分だったら絶対関わりたくないなぁ。
そういう意味では「双一の誕生日」ちょっと好きかもしれない。布製の先生の話はかなり不気味だったなー。
Posted by ブクログ
伊藤潤二はホラー漫画家ではあるが、他のホラー漫画家とちょっと違っている。僕が考えるに5コマ目があるのではないかと思う。「起承転結」で怖がらせて、さらに「結」を加えることにより、ちょっと笑いに変えてしまうのである。それが顕著に表れているのが、この「双一シリーズ」ではないのだろうか。不気味な少年双一が関わった人間を恐怖に陥れる。まるで同氏の「富江」を彷彿させるようではあるが、そこにワンエッセンスを加えて、フフッと笑わせてしまう。何とも不思議なギャグ漫画である。