あらすじ
人生の節目で催される行事を総じて冠婚葬祭という言葉があります。冠は成年として認められる成人式を、婚は婚姻の誓約を結ぶ結婚式を、葬は死者の霊を弔う葬式を、祭は先祖の霊を祀る祭事を指します。四つの行事は、人生の始まりから終わりへ、そして当人が死してなおその先まで縁を繋いでいきます。故に冠婚葬祭は多くの物語で描かれてきましたが、連綿と変わりなく続いているように見えながら、私たちの社会や文化と同じように絶えず変化が生まれているはずです。現在の、そしてこれからの私たちと冠婚葬祭をテーマに書かれた六つの短編小説からなる文庫オリジナル・アンソロジー。/【目次】もうすぐ十八歳=飛鳥井千砂/ありふれた特別=寺地はるな/二人という旅=雪舟えま/漂泊の道=嶋津輝/祀りの生きもの=高山羽根子/六年目の弔い=町田そのこ
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Posted by ブクログ
久々に全部好きな話が詰まったアンソロジーだった。
何よりインパクトがあったのはラストの町田その子さんの「六年目の弔い」。最後にとんでもない爆弾をぶっ込んできたな…。
設定の時点で結構突っ込んだ内容になりそうだったけど、その中で珠美と志乃がいい関係性になれてほっこり終わるのかと思ったら最後に胸がざわつく展開に。
冠婚葬祭の中で、一番無難そうで難しいテーマの「婚」がSFだったのも面白かった。普段SF読まない人間でも読みやすくて好きな話だった。雪舟えまさん、他の作品も読んでみたいな。
寺地はるなさんも安定して好みの作品。40代の幼馴染たちがバタバタする話って微笑ましい。
Posted by ブクログ
嶋津輝「漂泊の道」
葬式の時にしか会わない遠い親戚との話。自分の母親の兄の奥さんの妹の娘、遠すぎてものすごく考えた…その親戚、カナさんと4回顔を合わせ、その後、父親の後妻になっていた、そんな複雑でもあり得そうな話。何度登場してもカナさんはステキで、自分に対してもハッキリ物申す人で憧れていたのに、いつか違う感情を抱くようになっていた。薄く長いスパンの付き合いの親戚ならではの動きのあるストーリーだと思った。
町田そのこ「六年目の弔い」
哀しみを共有してくれる人がいて必要と思えば手を差し出し触れ合える、それがありがたかった
というところ、が身にしみる。
亡くなった人は、思い出の中でしか生きられない、ひとりだと自分一人の胸に収めないといけない、そして万一自分が思い出せなくなったら、と辛いから。夫は家に住み始めた直後にカタクリを植えていた。開花まで8年ほどかかる、そして志乃の誕生花。ここでラストがよかったな。
アンソロジーは初読みの作家さんに出会えるチャンス!
Posted by ブクログ
飛鳥井千砂さんの作品が読める!ということでご本を見つけて即買いしました。
飛鳥井千砂さんのお話もちろんサイコーだった!そしてほかの作家さんのお話も面白かった。
飛鳥井千砂さんの書く主人公の女性がとっても好きで、今回のもうすぐ十八歳も夢中になりながら読んだ。
後半の展開に、主人公の気持ちになってえ!?え!?となった。主人公に起こったことを知っているから、締め方に納得した。ぜひ読んでほしい!
お話が進むにつれてページを捲る手が止まらなくなったのは雪舟えまさんの二人という旅。
最初は設定の読み込みに苦戦したんだけれど、読み込めた後には、どうなるんだろう??どこにお話しが着くのだろう??と興味津々で読んだ。
初めましての作家さんだけど面白かった!他の作品も読みたい!
展開が面白くて心に残っているのは寺地はるなさんのありふれた特別。
めっちゃ勘違いしながら読んでて、終盤ずっこけた。
勘違いしたのわたしだけじゃないはず。こちらもぜひ読んでほしい!
嶋津輝さんの漂白の道は、読んでてするすると頭に入ってきた!状況が映像で浮かんで、ドラマを見てるみたいで、こちらも夢中になりながら読んだ。こちらも展開にええ!?ってなりながら読んだ。まさかの展開すぎる。。
高山羽根子さんの祀りの生きものを読んで思ったのは、風景?周りで起きていること?の描写がとても丁寧だということ。
お姉さんが出たところでテンション上がった。
町田そのこさんの六年目の弔いは…これもぜひ読んでほしいなー!
締めがほんとうにすき。え!?終わり!?終わり!?ってなる!読んだ人絶対なる!(誇大広告)
今回も出会えてよかったご本でした。
Posted by ブクログ
飛鳥井千砂さんのもうすぐ十八歳【冠】
18歳で子供を持つという事
寺地はるなさんのありふれた特別【冠】
幼馴染のこどもと自らの成人式。予想外。
雪舟えまさんの二人という旅【婚】
宇宙ものはそもそも苦手なので、読み始めは理解できなかったが、途中から、どうなるのかなに変わった。読まず嫌いはいけない。
二人とはシガとナガノの『旅』についてだと思っていたが、シガの発した一言で『二人』が別のものだと気付いた。
「結婚生活も、人生そのものもー向き合うべきものを直視せずに時間だけ過ぎていくんじゃ、本質的には何も始まらないまま終わるってことさえ、あるのかもしれないね」
嶋津輝さんの漂泊の道【葬】
希和子のカナさんへの想いが経年とともに移ろい、関係性も予想外の方向へ。
初めての嶋津さんの作品で他の本も読んでみたくなった。
高山羽根子さんの祀りの生きもの【祭】
最初に登場した生きもの「南洋の妖精」と「お姉さん」のインパクトの強さよ。
町田そのこさんの六年目の弔い【(葬)祭】
なんてひどい祖母!
Posted by ブクログ
【収録作品】
「もうすぐ十八歳」 飛鳥井千砂
「ありふれた特別」 寺地はるな
「二人という旅」 雪舟えま
「漂泊の道」 嶋津輝
「祀りの生きもの」 高山羽根子
「六年目の弔い」 町田そのこ
冠婚葬祭アンソロジー。
「もうすぐ十八歳」 「成人」を巡る話。沖縄出身で、十八で子どもを産み、結婚した智佳。娘が十八になることで感慨を抱く。
「ありふれた特別」 取り立てて仲がいいわけでもなかった幼なじみたちの関係が変化した、出産騒ぎ。
「二人という旅」 結婚。旅をしている家読みのシガと助手のクローン・ナガノとの関係の変化。
「漂泊の道」 弔事のときだけ会う親戚のカナに漠然と惹かれる希和子の生き方。
「祀りの生きもの」 「私」は、子どものころ、縁日で買った「南洋の妖精」を思い出す。
「六年目の弔い」 交通事故で亡くなった夫の七回忌。夫の娘が訪ねてくる。
長い時間が流れていて、年を経ることの意味を思う。